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恥をかかないための中国ビジネス講座(3)有限責任公司と股分有限公司はどう違うか

中国ビジネスレポート 投資環境
筧 武雄

筧 武雄

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2005年9月6日

<投資環境>

恥をかかないための中国ビジネス講座

(3) 有限責任公司と股分有限公司はどう違うか

筧武雄

 今までのところ、中国に設立されている日系企業のほとんどは有限責任公司(いわゆる有限会社)形態である。中国の会社法である公司法(1994年7月)には、そのほか股分有限公司(いわゆる株式会社)形態による企業設立も認められている。

 株式会社形態の場合は、さまざまな点で、いわゆる合弁・合作・独資の馴染みのある有限会社形態とは基本的な仕組みが大きく異なっている。

 下表のように、株式会社では日本と同様に株主総会(股東大会)が企業経営権を持ち、出資者ではなく、株主総会が董事、董事長を選出する仕組となっている。ちなみに経営期限の定めもなく、決議方法も一人一票ではなく、出資持分に応じた議決権行使で、重要決議事項は全員一致ではなく三分の二以上の賛成で議決されることになっている。

 株式会社の最大の特徴は、従来の三資企業(有限会社)にある経営期限がなく、中国側に資産を没収されるというリスクを軽減して、中国企業として永続的な事業が展開できることと、重要決議事項が持分比率の三分の二以上であるので合弁形態の有限会社がもつ「全員一致リスク」を回避できることである。

 また、中国の関連法規に従って条件が整えば、国内外の株式市場への上場も可能である。ただし、株式会社も外資であれば「外商投資産業指導リスト」の適用を受けることから、投資分野はあくまでも外資有限会社に対して認められているものと同じとなる。

有限会社(有限責任公司)
株式会社(股分有限公司)
最高意思決定機関 董事会 株主総会(股東大会)
議決方式 一人一票 一株一票
重要決議事項 全員一致 三分の二
経営期限 土地使用期間と同一 無期限
最低資本金 各地条例にもとづく 1、000万人民元(外資は3、000万元)
株式上場 不可 要審査、現状困難
利益処分 三項基金 公益金

 「公司法」は地場企業による株式会社の規定を定めたもので、登録資本金は10百万元以上である。また、募集方式での設立の場合、発起人の株式引受額は発行株式総額の35%を下回らないことという規定がある。

 公司法制定後、「外国企業の投資による株式会社設立に関わる若干の問題に関する暫定規定」(95年1月)、「外商投資株式会社の関連問題に関する通知」(01年5月)、「上場企業に対する外国企業投資に関わる問題の若干の意見」(01年11月)、と相次いで外国資本による株式会社の設立に関する規定、通達類が制定されている。外資による株式会社設立の条件は公司法にある内資の場合と大きく異なるので注意が必要である。

 外商投資により設立される株式会社の登録資本金は30百万元以上(内、外国株主の比率が25%以上)、上場する場合は資本金50百万元以上、上場後の外資比率が10%以上となっている。

 外商投資株式会社を新規設立する場合は、発起方式と募集方式の2種類がある。
「発起方式」は発起人5名以上、うち過半数が中国国内に住所を有し(公司法75条)、1名以上が外国籍株主であることが必要で、外国籍株主の株式保有は25%以上と義務付けられている。これに対して「募集方式」は、以上の条件に加えて、発起人のうち1名以上が株式募集前3年間のあいだ連続して利益を計上していることが条件である。
 
 既存の三資企業(独資、合弁、合作)の有限会社が「株式会社成り」する場合は、設立後すでに3年以上を経過しており、直近3年間連続で利益を計上していることが条件で、有限会社の出資者がそのまま引き続いて新しい株式会社の発起人となる。また、有限会社の既存の全債権債務は新しい株式会社に引き継がれる。

 外資系株式会社の場合は最低資本金が30百万元と比較的高く、上場の条件もかなり難しく、上場できたとしても外国株主は上場から三年間保有株を売却することができないなどの制約があるため、いまだにあまり一般的な進出形態ではない。

 しかし、今後中国の資本市場が発展すれば直接資金調達の道が開けること、また中国市場販売面でのステイタス向上、あわせて有限会社よりもはるかに日本の企業経営制度に実質的に近い株式会社形態へと、日系合弁会社の法人形態転換(株式会社成り)が進むのではないかと思われる。

(次回へ続く)

(2005年9月記・1,730字)
チャイナ・インフォメーション21
代表 筧武雄
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