こんにちわ、ゲストさん

ログイン

蘇州セミナー(2007年6月28日)Q&Aレジュメ

中国ビジネスレポート 投資環境
水野 真澄

水野 真澄

無料

2007年8月28日

記事概要

蘇州総合保税区(旧、保税物流中心)の管理規定は何ですか?「保税物流中心B型に関する暫定管理規定(中国税関総署令[2005]第130号)」でしょうか?総合保税区と改称されましたが、新しい根拠規定はでたのでしょうか?など。

質問1

蘇州総合保税区(旧、保税物流中心)の管理規定は何ですか?

「保税物流中心B型に関する暫定管理規定(中国税関総署令[2005]第130号)」でしょうか。

総合保税区と改称されましたが、新しい根拠規定はでたのでしょうか。

 

総合保税区回答

蘇州工業園区税関保税物流センター(B型)の管理規定は「中華人民共和国税関対保税物流センター(B型)の暫定管理弁法」になります。

蘇州工業園綜合保税区は7月分検収をうけ、合格後、税関がまもなく発行予定の「保税港区」管理弁法に執行する。

 

水野解説

蘇州園区総合保税区は、「蘇州工業園区が保税港区総合保税機能を有する税関特殊監督区域を試験展開する事に関する国務院の批復(国函[2006]128号)」に基づき、認可された開発区です。

この認可において、総合保税区の税務・外貨管理政策は、「洋山保税港区の設置に関する国務院の批復(国函[2005]54号)」に基づくと規定されています。

総合保税区は、従来の、保税物流中心B型と輸出加工区を統合し、保税区の機能を加えた開発区という位置付けになっていますので、その根拠規定は、保税物流中心の管理弁法でも、輸出加工区の管理弁法ありません。

洋山保税港区の扱いに準じるという事がかろうじて分かるのみですが、その準拠規定は公布されていません。

近々公布予定という事ですので、管理運営の詳細は、この規定公布を待つ必要があります。

 

 

 

質問2

総合保税区と改称されましたが、従来の、保税物流中心B型との違いは何でしょうか。

 

総合保税区回答

綜合保税区は保税加工区、保税物流と港の機能、同時貿易の機能を加え、

貿易会社が区内に登記経営することを許可する。

蘇州工業園綜合保税区は実際元輸出加工区(A区とB区)、税関保税物流センター(B型)と税関監管点業務、さらに1.88平方キロの区域を港作業区とし統合しました。よって、従来の、保税物流中心B型は蘇州工業園綜合保税区の一部になりました。

 

水野解説

蘇州園区総合保税区の認可には、以下の内容が規定されています。

●  蘇州園区が、保税港区総合保税機能を有する税関特殊監督区域を、試験展開する事を許可する。計画面積は、5.28平方Kmとする。

● 設置に当たっては、現在の輸出加工区A・B区と保税物流中心B型を統合して改組する。

用地の拡張は行なわず、統合後、輸出加工区A・B区と保税物流中心B型は廃止される。

●  総合保税区の税務・外貨管理政策は、「洋山保税港区の設置に関する国務院の批復(国函[2005]54号)」に基づく。

つまり、輸出加工区と保税物流中心を統合した上で、洋山港区の管理を適用して運営されるのが、総合保税区という事になります。

総合保税区への昇格によって生じる機能の変化は以下の通りです。

① 国際中継貿易、配送、調達、輸出加工等の機能を果たす。

  従来の、蘇州保税物流中心(B型)は物流企業のみ、輸出加工区は主に輸出加工企業のみを受け入れていましたが、今後は、サービス業(貿易・物流・その他)、生産型企業の双方を受け入れる事になります。

② 保税区・輸出加工区の税務、外貨管理政策が適用される。

外貨管理に関しては、保税区外貨管理弁法などが準用されると思われます。

  また、「関税・増値税の徴税に関しては、区内に搬入される輸入貨物に対しては保税措置が(区内から区外の一般区に搬入された段階で関税・増値税等を課税)」、「輸出貨物(中国国内から総合保税区に搬入される貨物)に対しては、区内に国内貨物を搬入した段階で、増値税の輸出還付が適用」されます。

 

 

質問3

総合保税区は、貿易会社等の受け入れも行なうと言う事ですが、総合保税区に設立された貿易会社は、外商投資商業領域管理弁法(8号令)に基づく販売流通権を取得できるのでしょうか。

 

総合保税区回答

可能です。

 

水野解説

総合保税区は、質問2で回答した通り、保税区機能も兼ね備える事となっています。

保税区企業の国内流通権・貿易権取得に付いては、「保税区及び物流園区貿易関連問題に関する通知(商貿字[2005]76号)」に可能である事が明記されていますので、総合保税区での販売会社・貿易会社設立も可能、という事になります。

 

 

質問4

区内に設立された商業企業(販売会社)は、要件を満たせば、増値税の一般納税義務者になれるのでしょうか。

 

総合保税区回答

区内に登記した貿易会社の最低登記資金は50万元です。登記資金は150万元に達せば一般納税義務人の資格を取れます。

 

水野解説

旧会社法に基づくと、卸売り企業の最低資本金は50万人民元でしたが、会社法改定に伴い、これは、3万元に引き下げられています。

勿論、外資企業の場合は、総投資と資本の比率に関する規定を遵守する必要がありますので(総投資金額が3百万米ドル以下の外商投資企業の場合は、総投資金額の70%以上を資本金として設定しなくてはならない)、実務上、会社法の最低資本金で会社を設立する事は困難ですが。

総合保税区では、区内の貿易会社の最低資本金を50万元として設定している様です。

また、増値税一般納税人資格条件を150万人民元以上の資本金としている様ですが、これは、蘇州園区総合保税区のローカルルールと言えます。

因みに、増値税一般納税人資格取得のためには、当然の事ながら、年間180万人民元以上の課税売り上げなどの条件が必要で、この条件も同時に満たす必要があります。

注:会場では、総合保税区側から、年間180万人民元の課税売り上げが無くても、会社の登録資本金が150万人民元以上であれば、一般納税義務者登録を認める、という発言がありました。但し、この通りであれば、増値税関連規定に準拠しない運営となりますので、この回答の妥当性に付いては、水野個人は疑問を持っています。

 

質問5

総合保税区は、物流、貿易会社以外にどの様な形態の企業を受け入れるのでしょうか。

 

総合保税区回答

加工製造業、諮詢サービス、展示展覧など、特に登記企業の類型を限定していません。

 

水野解説

「輸出加工区は、輸出加工企業とそれに付随する物流企業」を、「物流園区は、物流会社と貿易会社」を受け入れるという、比較的受け入れ制限が厳しい開発区です。

一方、保税区は、生産型、サービス企業等、幅広い受け入れが可能です。

質問2で解説した通り、総合保税区は、保税区機能・輸出加工区機能・保税物流中心機能を統合した開発区ですので、広範囲な業種受け入れが可能です。

 

 

質問6

総合保税区の貿易会社は、区外に分公司を開設できますか?

根拠法はありますか?

 

総合保税区回答

綜合保税区外の貿易会社は、区内に子会社が設立できるが、分公司が設立できない。

綜合保税区の貿易会社は、現在は区外に分公司を開設できない。

理由として、蘇州工業園区は園区内の貿易会社に一連の優遇政策を出しているが、本支店は会計・税務が一体となっており、優遇対象となる区内企業とならない区外企業の区分が難しいため、現在のところ、区外分公司の開設を認めないものである。

 

水野解説

全国15箇所の保税区の内、主要保税区では、過去の政策の結果として、「区内に貿易会社を登記するものの、実際の運営は、区外に開設した連絡事務所で行っている」という変則的な運営をしていた事は、既に、解説するまでも無いでしょう。

それが、昨年より、外資企業の国内出張所の登記が認められなくなり、混乱が生じた結果、上海では、上海市外高橋保税区管理委員会・浦東新区工商局外高橋保税区分局はが、「外高橋保税区企業工商管理の若干の問題に関する通知」を公布し、保税区企業が区外に分公司を開設できる事を明確にし、事態を収拾しました。

これは、上海市の地方通達ですが、他の地域でもおおむねこの運用に準じています。

但し、総合保税区では、現時点では、区外分公司を開設する事を認可しない方針と言う事です。

理由は、区内の優遇措置の実行上、本支店が区内外に跨ると管理上の支障があるというものです。

勿論、蘇州工業園区の中にある(市街地に近い)総合保税区は、他の保税区(立地が悪い)とは少々状況を異にしており、この点、区外分公司の必要性は薄いかもしれませんが。

尚、区外企業が区内に分公司を開設する事も同様認めておらず、法人格が異なる子会社に限って、受け入れを許可するという事です。

 

 

質問7

分公司を開設できるとした場合、営業性・非営業性の双方が可能ですか?

開設した場合、企業所得税、増値税、営業税、個人所得税の納税地は各々何処になりますか?

営業性・非営業性で納税方法に違いは有りますか?

 

総合保税区回答

分公司開設は認められていない。

但し、現在、総合保税区の管理規定の準備を行っているところであり、将来的には、区外分公司の設立を認める可能性はある。

 

水野解説

蘇州園区総合保税区は、外高橋保税区とは違い、区外分公司の開設が認められておらず、結果として、税金の納税地の問題は発生しない、つまり、本店所在地で全ての税金を納税するという事になります。

因みに、上海市の運用は、「上海市内に本支店の双方が存在する場合、本店所在地で全ての税金を一括して納税する」というものです。

 

質問8

総合保税区の企業所得税率は何%ですか?

2008年1月の企業所得税法改正以降は25%と理解しますが、現在(2007年末まで)は何%ですか?

また、外高橋保税区の様な財政補助(企業所得税、流通税の一部還付)は有りますか?

 

総合保税区回答

2007年現在の企業所得税率は33%、08年両税合併後は25%。

蘇州総合保税区は一連の奨励措置を持ち、綜合保税区に登記する企業に対する奨励を行う。

 

水野解説

現時点での税率は33%という事ですが、これは、現在の保税物流中心B型に設立できるのがサービス企業に限定されており、生産型企業の優遇措置の対象外となっているため、標準税率である33%が適用されるものです。

但し、総合保税区は、現在の保税物流中心B型だけでなく、輸出加工区も含まれています。輸出加工区に設立された外資生産型企業は、現時点では15%の企業所得税率が適用されていますので、現在の税制が継続されたとすれば、総合保税区に転換した後の適用税率は、外資生産型企業は15%、外資サービス企業は33%の税率となる筈です。

但し、来年1月より新企業所得税法が施行され、外資企業の税率が25%に統合されますので、総合保税区に付いても、これに従う事になります(内外資、生産型・サービス型を問わず、25%の企業所得税が適用されます)。

また、総合保税区の優遇措置は、今後、詳細が決められるものと思われます。

 

 

質問9

加工貿易貨物を総合保税区に搬入し、再度、中国国内に戻すオペレーション(香港一日遊の代替)は、総合保税区でどの程度盛んに行なわれているのでしょうか。

また、加工貿易貨物を搬入し、再度、区外に搬出するまでにどの程度の標準日数がかかりますか?因みに、外高橋物流園区は、4日程度かかるようです。

 

総合保税区回答

香港一日旅が保税区内に運行の頻度は約60%-70%と予測されている。

蘇州工業園税関保税物流センター(B型)の税関申請時間、普通は2日(前提:企業は関連の資料を揃え、正確な内容、車両到達の時間が間に合うなど)。

 

水野解説

全国7箇所の物流園区は、香港代替機能(加工貿易製品の国内販売、保税再輸入の為の経由地)を最初から期待される保税開発区ですが、保税物流中心も同様のオペレーションが実施されています。

総合保税区の回答によると、現在の蘇州保税物流中心の場合、全体の取扱の60~70%程度が、香港代替機能という事のようです。

因みに、外高橋物流園区の場合、取扱量が多い事から、搬入から搬出までに4日ほどかかっている様ですが、蘇州の場合は、2日程度での搬入・搬出ができている、という回答です。

 

 

質問10

物流園区には外貨管理規定(保税物流園区外貨管理に関する問題の通知;外貨管理局・匯発[2005]92号)がありますが、保税物流中心には類似の外貨管理規定はありますか?

 

総合保税区回答

綜合保税区の外貨管理弁法は現在外貨管理局にドラフト作成、意見徴収段階に来ています。税関関連管理弁法が一旦公布されれば、同時公布予定です。

 

水野解説

蘇州保税物流中心B型も、物流園区と同様のオペレーションが、実務運用上はできています。

保税物流中心の管理規定としては、「保税物流中心B型に対する暫定管理弁法(税関総署令第130号)」が公布されており、物流中心の活用方法を把握する事ができます。

但し、物流園区とは違い、外貨管理規定が無いため、区内での所有権移転が生じた取引等に際して、外貨送金の可否、外貨送金に際して必要となる書類等を、明確に把握する事ができないという難があります。

総合保税区に付いては、外貨管理規定の準備が進んでいると言う事ですので、昇格後は、外貨送金面での運用が明確になると期待されます。

 

 

質問11

物流園区には、「外国企業の貨物、保税区企業の貨物、中国企業の貨物(非保税区の加工貿易企業、更には非加工貿易企業)」の全てが保管可能と規定されていますが、総合保税区はどうですか?

 

総合保税区回答

総合保税区も同様で、区内の物流会社を起用する事で、上記の貨物の全てが保管可能です。

 

水野解説

保税物流中心B型に関しては、管理規定として、「保税物流中心B型に対する暫定管理弁法」がありますが、ここの第3条には、保税物流中心B型には、以下の貨物を保管する事ができると規定されています。

  ● 中国からの輸出貨物

  ● 三国間貿易貨物

  ● 外国企業の一時保管貨物

  ● 加工貿易輸出入貨物

  ● その他

これは、物流園区も似たような規定になっています。

但し、物流園区の場合は、以下の規定により、園区内での貨物の所有権移転に関する、税関手続、外貨送金手続が明確になっており、これは、保税物流中心の規定には無い内容です。

「保税物流園区に対する管理弁法(税関総署令[2005]第134号)」第36条

⇒ 物流園区内の貨物は、自由に所有権の移転ができる。園区企業が貨物の譲渡・所有権の移転を行う時は、貨物の品名、数量、金額等の関連事項に付いて、税関に電子データ登録を行うと共に、譲渡・所有権移転後、税関で申告手続を行うものとする。

☆ 「保税物流園区の外貨管理問題に関する通知(匯発[2005]92号)」第3条

 ⇒ 中国国内の園区外企業が園区内の貨物を購入する場合は、園区企業に支払いを行ってもよく、直接国外に支払ってもよく、また「その他の国内園区外企業で貨物の所有権を有する企業」に支払ってもよい。

 

実務上は、蘇州保税物流中心でも、物流園区と同様のオペレーションはできているようですが、法整備が物流園区に遅れを取る点は否めず、総合保税区への昇格によって、この点が改善される事が期待されます。

 

 

質問12

物流園区では、園区内に中国企業が在庫を持ち、これを他の中国企業に販売する場合、中国居住者間の決済でも外貨決済ができる(送金に際しては、園区内の物流企業に対する保管協議書の提出を要求される)と規定されています。

総合保税区ではどうですか?

可能とすれば、必要となる書類は何でしょうか。

 

総合保税区回答

物流園区の規定と一致しています。

但し、外貨管理規定は現在公布されておらず、現在、準備中です。

 

水野解説

物流園区の管理規定においては、ご質問のケースでは、送金に際して区内物流会社との保管協議書を提出する事が求められています。

実務上は、これ以外に、売買契約書・倉庫会社(物流会社)が発行する、所有権移転を証明する書類が求められます。

物流園区と同様のオペレーションが行われているというのが実情の様ですが、外貨管理規定が整備されていないので、この点は、若干の不安が残るところで、早い段階での外貨管理規定の公布が期待されます。

 

 

質問13

中国一般区の貨物を総合保税区に搬入した場合、決済は、外貨ですか人民元ですか?

形式による違いがあれば、場合に分けて教えてください。

 

総合保税区回答

区内と区外の貿易は外貨決済でなければならない。

区内間企業の貿易につき、決済は外貨と人民元両方可能です。

 

水野解説

これは、保税区外貨管理弁法に準じています。

つまり、保税物流中心⇔区外一般区の取引は、通関手続が伴う貿易取引になります。

この場合、外貨決済が義務付けられます。

一方、区内企業間の取引は、外貨・人民元決済の双方が可能であり、これは、保税区の運用と同様です。

 

 

質問14

外国⇒総合保税区⇒中国一般区という形で貨物を輸入したとします。

総合保税区で貨物を引き取るのは、蘇州総合保税区の貿易会社(ケース1)、外高橋保税区の貿易会社(ケース2)とします。

共に貿易権は保有しています。

この場合、

● 中国企業⇒保税区・総合保税区企業に対する決済

● 保税区・総合保税区⇒外国企業に対する決済

が生じます。

保税区・総合保税区企業から外国企業に対して外貨決済を行なう場合の必要書類を教えてください。

 

総合保税区回答

中国企業⇒保税区・総合保税区企業に対する決済の場合:

領収書(発票)、契約書、輸入通関表、及び関連銀行単表の提示が必要。

 

保税区・総合保税区⇒外国企業に対する決済の場合:

領収書(発票)、契約書、形式通関表、関連銀行単表の提示が必要。

以上(2007年7月記 6,872字)

 

 

 

 

 

 

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ