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外資企業向け借入制限の緩和

中国ビジネスレポート 投資環境
水野 真澄

水野 真澄

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2005年10月30日

<投資環境>

外資企業向け借入制限の緩和

 国家外貨管理局から「外債管理の関連問題に関する通知(匯発[2005]74号)」が公布され、今年4月から実施されていた、外資企業に対する借入制限が2005年12月1日から緩和されることとなりました。

 ここでは、今までの経緯と、今回の通知に織り込まれた規制緩和の内容を解説します。

(1)今までの経緯

 外資企業の総投資(会社の設立・稼動に際して必要となる資金の総額)と資本金は、一定の比率に従うことが、「中外合資企業の登録資本金と総投資の比率に関する暫定規定(工商企字[1987]第38号)」で要請されています。

 元々この規定は、外資企業が行う設備の免税輸入に関する制限という意味合いが強いものでした。つまり、以前は全ての外資企業(現在は、奨励分類の外資企業のみ)が、総投資の枠内で設備・原材料を免税輸入できたので、総投資額に対して、一定の出資義務を強制する事で、免税輸入額を制限していたということです。

 これが、徐々に外資企業に対する借入制限に準用されるようになり、2003年に施行された外債管理弁法(国家発展計画・財政部・国家外貨管理局令第28号)には、「外資企業が借り入れる中長期外債累計額、及び短期外債残高の合計は、審査批准部門が批准したプロジェクトの総投資及び登録資本金の差額内でなければならない」ことが規定されました。

 さらに、2005年早々には「2005年中国内の外資銀行の短期外債指標査定に関する通知(匯発[2005]4号)」が公布され、4月1日より、外資企業が国外機構の保証を元に人民元借入を行う場合、借入可能な金額は、総投資と資本金の差額であることが規定されています。

 以上の結果として、外資企業に対しては、以下の借入制限が行われていることになります。

  1. 外貨借入を行う場合は、総投資と資本金の差額の範囲内でしか外貨債務登記を行うことができない。結果として、外貨借入(厳密に言えば、短期借入残高と中長期借入累計額の合計)が可能な金額は、総投資と資本金の差額の範囲内に制限される。
    注:「国内外資銀行の対外債務管理弁法(国家発展改革委員会・中国人民銀行・中国銀行業監督管理委員会令第9号)」により、中国内の外資銀行からの外貨借入は、外貨債務登記が不要となりました(内資銀行からの外貨借入は、以前より不要)。
    そのため、厳密に言えば、中国内で外貨借入を行う場合は、外貨債務登記が不要であるため、この規制の制限を受けないことになりますが、現実的には、この部分の運用・解釈は、不明確なままとなっています。

  2. 海外機構(親会社等)の保証をベースとした人民元借入も、上記の範囲内に制限される。
 中国の現地法人で、自己の信用力のみで資金調達を行う事が出来る会社は極めて限定されますので、結果として1.・2.の制限により、人民元であれ外貨であれ、外資企業が借入を行うことができる金額は、総投資と資本金の差額に制限されることになります。

■ 参考(総投資と資本金の比率)

  • 総投資金額がUS$ 3百万以下の場合
    資本金は、総投資額の70%以上

  • 総投資金額がUS$ 3百万超〜US$ 10百万以下の場合
    資本金は、総投資額の50%以上
    ただし、総投資額が US$ 4.2百万以下の場合は、最低 US$ 2.1百万の資本金が必要。

  • 総投資金額がUS$ 10百万超〜US$30百万以下の場合
    資本金は、総投資額の40%以上
    ただし、総投資額が US$ 12.5百万以下の場合は、最低 US$ 5百万の資本金が必要。

  • 総投資金額がUS$ 30百万超の場合
    資本金は、総投資額の3分の1以上
    ただし、総投資額が US$ 36百万以下の場合は、最低US$ 12百万の資本金が必要。

(2)2005年12月より実施される規制緩和の内容

 今回公布された新通知、「外債管理の関連問題に関する通知(匯発[2005]74号)」による規制緩和は以下の内容です。

  1. 国外機構の保証付き国内借入の外債管理を、「保証提供額」から「保証履行額」に変更する。

  2. 保証履行を実行する場合、債務者は履行後15日以内に所管の外貨管理局で外貨債務登記を行うが、登記可能な額(中長期外債累計額、短期外債残高、及び国外機構の保証履行額の合計)は、総投資と資本金の差額(新通知では、「投注差」という表現が使われています)に限定される。

  3. 国外機構の保証に基づく国内貸付に関する偶発債務登記は、今後、金融機関が行うこととする(現在は、債務者が登記を行う必要がある)。
 上記

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