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水野真澄の中国ビジネスこぼればなし(2) 現金販売は安全か

中国ビジネスレポート 投資環境
水野 真澄

水野 真澄

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2006年4月4日

<投資環境>
連載・中国ビジネスこぼればなし

第2回 現金販売は安全か

 
 

 「中国は与信リスクが高いので、商売の基本は現金引渡し」と、中国ビジネスのマニュアルにはよく書いてある。

  勿論、ここでいう現金販売というのは、与信リスクを取らないという意味であって、必ずしも現金の受け払いを意味してはいない。つまり、「銀行保証手形」、「国内信用状の活用」、当然の事ながら「前金」でも良い訳である。

  それはさておき、実際の現金と現物の引渡しを想定した場合、これならリスクは無いのか、というと、そうは行かないのが中国ビジネスの難しいところである。

  一番の問題点は、偽札の多さ。

    日本で偽札に出会う事は極めて少ないが、中国で一年生活すれば、誰でも12回は偽札を掴むものである。「また偽札だ!」という会話が、当たり前の様に交わされる、というのは考えてみれば恐ろしいものである。

    中国の偽札の特徴は、作りが雑で、注意すればそれと分かる事であるが、問題は真札自体の作りもあまりよくない事である。結局、両方質が悪いので、それが理由で偽札判定が難しい。

     とは言え、1999年から人民元が段階的に新札に切り替わり、随分作りが良くなっている。ところが、困った事に、偽札の作りも良くなってきてしまった。

   僕自身、通算10年の中国滞在で、何度か偽札を掴まされた事がある。最初は1998年。そして去年である。

  最初の中国滞在は、1989年であるが、この時は偽札に出会っていない。

   その当時は、まだ、外国人が使用する外貨兌換券(Foreign Exchange Certificate)と、中国籍の人間が使用する人民元が分かれており、外貨兌換券の流通自体が少なかった為であろう。次の滞在は、1997年から現在に至る9年弱であるが、駐在暫くして、初めて偽札に出会ったわけである。外貨兌換券が廃止されてから(廃止は1994年)1997年の赴任まで、中国訪問の経験がなく、人民元に対する慣れがなかったのが災いした。

   ただでさえ、おもちゃの紙幣の様な人民元なので、本物も偽物も区別が付かないで使ったら、レストランの会計の人間が、走って追いかけてくる。

  偽札だと言われて半信半疑で紙幣を交換し、それをズボンのポケットに入れておいたら、知らないうちに裏表に分かれてしまった。あまりのひどさに、あきれてしまったのが最初の経験である。

   最初の偽札はカラーコピーの張り合わせで、こんなちゃちなものを作る方も作る方だが、引っかかった自分も情けない。大いにげっそりしたものである。

そして次が、1ヶ月ほど前に掴まされた100元札。

   これは腹が立った。受け取ってすぐ紙質の違いを覚えたので、「これは偽札だろう」と相手に言ったが、相手は、堂々と弁明する。曰く、「これが偽札の訳が無い。よく見てくれ。透かしもあるし、紙面のざらつきも有るだろう」。

    確かに、透かしはくっきりしており、何より毛沢東の服の襟のざらつきが本物っぽく感じる。

    数年前に出会った、ちゃちな偽札のイメージがあるので、これだけしっかりしていれば本物だろうと信用して受け取ったが、落ち着いて調べると、色合い・紙質が微妙に違う。確認したら、偽札であった。

    こんな感じで、ここ数年の間に偽札も技術が発達し、もっともらしい作りになってしまっている。

   急いでいるとき、酔っているとき、大量の紙幣を扱うときは、よく注意しないとだまされる。現金を受け取っても安心できない。

   それが、リスクの多い中国ビジネスの難しさである。 

   結局、現金引渡しは安全な方法ではない。

    その場で大量の現金を確認するのは、現実的には困難なものである。

    現金渡しとするのであれば、バイヤーと一緒に銀行に行き、口座入金を確認した上で引き渡す。そのくらい慎重にやらなくては、安心できないという事である。 

   因みに、本物か偽物か分からないまま、机の引き出しに入れてある10元札がある。

     これは、昨年、バーのおつりで渡されたものであるが、偽札のような気もするし、そうでない気もする。水をかけたり、紙面に傷をつけたりして、破れないかと試してみたが、さすがにそんな単純な作りではなかった。若干、紙質が違うか違わないか、という微妙さである。

   10元なので、真剣に調べないままとなっているが、これが偽札だとしたら大変だ。自衛に、もっと本腰を入れなくてはならない。 (本記事は200510月に読売新聞で掲載された内容を加筆)

(2006年4月4日掲載・1,713字)
丸紅香港華南会社コンサルティング部長・広州会社管理部長
水野真澄

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