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外商投資企業の常駐代表所開設禁止の動きと保税区企業の対応

中国ビジネスレポート 投資環境
水野 真澄

水野 真澄

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2006年5月11日

<投資環境>

外商投資企業の常駐代表所開設禁止の動きと保税区企業の対応

 

1.外商投資企業の出張所開設禁止の動き

今年早々(20061月)より、外商投資企業の国内出張所の開設が認められない動きが全国的に広がっています。 

誤解を防ぐ為に補足すると、外国企業(香港・マカオ企業等を含む)の出張所の開設は、なんら影響は有りませんが、問題となっているのは、既に、中国内に設立された、外商投資企業の国内出張所です。 

この動きに対し、過去数ヶ月に渡り、国家工商行政管理局が統一的な見解を発表せず、各地の工商行政管理局が独自の解釈で運用・対応を行なっていた為、実務手続に混乱が生じていました。

例えば、ある地方では、「外商投資企業に付いても、内資企業と同様、登記手続無しで出張所が開設できるようになったものであり、これは、内国民待遇賦与の一環である」と発言し、ある地域では、「外商投資企業の出張所は既に開設不能である為、分公司に改組するか、閉鎖するかを選択しなければならない」と発言する、という状況でした。 

同じ事象をめぐって、これだけ地方の発言が正反対に分かれるというのも極端な話ですが、仮に、前者の通り、登記無しで出張所が開設できるとしても、その後、外国人の就労許可等の手続に影響が出来る事は容易に想像され、従来通りの運営が可能かというと、疑問が残ります。

この混乱の中で、「3月中に国家工商行政管理局が統一的な対応を公表する」という噂も有りましたが、現段階では具体的な動きが無く、営業許可の切り替えが必要となった出張所が、これを受理されず、組織の継続に窮している状況が各地で生じています。

 

この状況下、416日に、北京で外商投資政策セミナーが開催され、国家工商総局外資局註冊指導処長は、以下の通り発言しています。

    外商投資企業の出張所開設に関する根拠は、「企業登記管理条例」と「企業法人登記管理条例実施細則」であったが、「会社法」と「会社登記管理条例」の改訂により、出張所の法的根拠が無くなった。よって、出張所の開設は今後認められない。 

確かに、200611日より、「会社法(公司法)」の大改定が行なわれ、又、これに合せるように、「会社登記管理条例」の改正も行なわれています。

会社法の第14条には、「有限責任会社は、分公司を開設できる」という規定、更には、「法人格を有した子会社を設立できる」という規定はあるものの、出張所に関しては何ら明記が有りません。但し、これは従来の会社法も同様であり、会社法の改正によって、出張所の開設が認められなくなったというのは、説得力に欠ける感があります。

又、会社登記管理条例の改定に付いても、直接的に出張所の開設に触れた部分はありません。

結局、何らかの内部通達の存在(一説には、「外資企業の登記様式を部分的に修正する事に関する通知:工商外字[2005]213号」)が有り、運用面の見直しが行なわれたと見るのが妥当と思われます。

 

前述の、国家工商総局外資局註冊指導処長は、外資企業の出張所問題に対して、以下の様に発言しています。

● 20061月から、外商投資企業の出張所の新設登記を受理しない。

● 同様に、出張所の期限延長と変更を受理しない。期限満了後は閉鎖、若しくは分公司への組織変更を申請すべきである。

● 外資企業の分公司の経営範囲については、「会社(本社である外商投資企業)の経営範囲内の連絡・コンサルティング等の業務に従事する」、若しくは、「会社経営範囲内の経営活動に従事する」という内容の何れでもよい。

● 出張所(弁事機構)の名義で経営活動を従事する場合、登記機関が取締りを行なう。 

上記の結果、国内出張所を持つ外商投資企業は、基本的には傘下組織を分公司に組織変更するか、閉鎖するかを選択せざるを得ないという事になります。

 

2.保税区企業の対応 

一般区域(非保税地域)の外商投資企業であれば、出張所が禁止されても、分公司への組織変更を選択すれば、会計・税務上の煩雑さは伴いますが(分公司は独立採算組織であり、それに応じた会計処理・税務申告を行なう必要が有る)、営業自体は、従来同様、若しくはそれ以上の活動を継続できます。 

一方で、保税区企業にとっては、これは極めて深刻な問題です。

保税区企業は、ここで説明するまでもなく、保税区で会社登記を行なっているものの、区外に出張所を開設し、実質的な活動拠点としているケースが大半であり、この出張所の継続が出来なくなった場合、会社の存続に影響を与える危険性もある為です。

 

保税区企業の区外分枝機構に関しては、時系列的に見ると、以下の通りの規定が公布されています。

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