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日系企業社員の告発状を読む(2)

中国ビジネスレポート 労務・人材
田中 則明

田中 則明

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2006年5月8日

<労務・人材>

日系企業社員の告発状を読む(2)

田中則明

 

   

  どこの国にも、いつの時代にも、内部告発(中国語:掲発)は存在するでしょうが、現代中国で一般的な内部告発の流儀は、果たして日本のそれと違うのか、あるいは、全く同じなのか?

 

何はともあれ、生きたサンプルから見てみましょう。

 

以下紹介する告発状の概要は、下記の通りです。(固有名詞を伏せた以外、原文を一字一句変えず、忠実に訳出しました)

 会社    :日系独資企業

 被告発者  :A総経理(男性、中国人、日本語が出来る)

告発者   :社員全員(と、告発状の末尾に記されています)

 告発状の宛先:董事長(日本人、日本在住)

 

『A総経理 二十の大罪』

1.2000年に、○○○○にあるA総経理の家の内装工事を行った際、その費用の100%、数十万元を全て会社の費用で落した。これに対し、会社の経理担当であるB女史が異議を唱えたところ、A総経理が不当な理由を口実に彼女を辞めさせてしまった。

 

2.会社所有の車が、A総経理とその家族に占有されており、会社の用に供されたことはないにも係らず、その費用は全て会社負担となっており、毎年5万元にものぼっている。特に、2001年、A総経理夫人が大きな自動車事故を引き起こした際、約5万元にものぼった修理費と賠償金を全て会社負担にした。

 

3.2000年、A総経理は、社員皆の反対を押し切って、会社を○○○○から○○○○○へと引っ越したが、なぜそこへ引っ越したかと言えば、新しい住所となったマンション2室は、彼自身の所有物件だからであり、これにより、毎年30万元近い家賃が彼の懐に入ることとなった。A総経理は、他に、分かっているだけで3つもマンションを持っており、それらの価値総額は500万元にも達する。この引越しにより、会社には高い家賃の支払いによる損が生じ、毎年赤字を計上するようになってしまった。

 

4.A総経理は、ずっと前から彼個人と家庭の生活費を会社持ちとして処理し、全くプライベートの生活用品(例えば、一家揃っての外食、スーパーでのトイレットペーパーなど)まで、会社持ちとし、その額は、毎月1万元を下らない。

 

5.2003年、会社が○○○○公司に○○○○を売った際、売買契約がまとまろうとしたその時に、A総経理が再三にわたり販売担当に対し、価格を抑えるよう圧力を掛けた。と同時に、その商売がまとまるや否や、○○○○公司の担当者に対し、10%のリベートと報奨金を支払った。更に、その商品代金が振り込まれて来ると、その中から20万元をA総経理が勝手に引き出してしまった。当時、経理担当も、販売担当もその事実に気付かずにいたが、銀行から問い合わせが来て始めてA総経理が自らお金を引き出し持ち帰ったことを知った。これは、会社の会計規則に対する重大な違反である。

                                   (2005年5月記・1,145字)

心弦社代表 田中則明

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