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対外貿易法の改正と対外貿易経営者登録・登記管理弁法の施行

中国ビジネスレポート 法務
水野 真澄

水野 真澄

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2004年9月5日

<法務>

対外貿易法の改正と対外貿易経営者登録・登記管理弁法の施行

1.対外貿易者登録について

 2004年7月1日に、対外貿易法が改正され、貿易管理における重要な改革が実現しました。対外貿易法の改正の重要なポイントは、貿易管理が「許可制」から「届出制」に変更となったことですが、これは、取りも直さず貿易権という概念の廃止を意味します。
 つまり、貿易行為を行う権限を特定企業に集中する制度は廃止され、所定の届出を行えば、内資・外資を問わず、どの企業でも貿易行為に関与することが可能となります。

 対外貿易法の改定に合わせて施行された「対外貿易経営者登録・登記管理弁法」では、以下の方法で対外貿易経営者登録を行うことを規定しています。

  • 対外貿易経営者登録に関する主管部門は「商務部」であること。
    商務部は、各地の「対外貿易主管部門」に委託して、実際の登録・登記手続を行うこと。
  • 貨物・技術の輸出入行為を行うことを希望する者(対外貿易経営者)は、登録・登記機関(各地の対外貿易主管部門)に以下の書類を提出すること。
    ⇒ 申請書、営業許可証副本、組織機構番号証明書副本、(外資企業の場合は)外商投資企業批准証書副本、(個人経営者の場合は)公証機構が発行した財産公証証明、(外国企業の在中機構の場合は)資本信用証明
  • 登録・登記機関は、上記資料を受理した日より5日以内に登録・登記手続を行うこと。
  • 対外貿易経営者は、登録・登記機関が捺印した「登記表」を各地の関係部門(税関・検験検疫局・外貨管理局・税務局等)に提示し、必要な手続を行うこと。
    登記表の取得後、30日以内にこの手続を行わない場合、登録は自動的に失効します。
 以上の通り、対外貿易法改正の趣旨に基づき、対外貿易経営者登録も、審査不要で、機械的に淡々と行われることとなります。実際に、7月以降、各地で対外貿易経営者登録が大きな問題もなく進められています。
 さらに、地域差がありますが、保税区の貿易会社等のように、本来、営業範囲が保税区に限定されている企業でも、対外貿易経営者登録が行われています。
 では、対外貿易経営者登録を行えば、保税区の貿易会社・生産型企業でも、自由に輸出入ができるようになるのでしょうか。ここで、ひとつ注意しなくてはならない問題があります。

 対外貿易経営者登録・登記管理弁法には、実際の登記表の雛型が添付されていますが、この注意書きには、「経営範囲に輸入商品の販売業務(分鎖業務)」を含まない場合は、登録・登記機関は、備考欄に『輸入商品の販売業務なし(無進口商品分鎖業務)』と明記しなくてはいけない」と規定されています。
 つまり、生産型企業が対外貿易経営者登録を申請しても、原則としては登録が受理されますが、その会社の営業範囲に流通(卸売・小売)業務が入っていない場合は、製品を輸入したとしても、これを国内で販売できないということになります。
 また、登記表の注記には、製品輸出については特段の記載がありませんが、これは、流通業務の認可を得ていない企業は、当然商品の国内調達はできないため、輸出業務自体行うことはないという状況を前提にしているものと考えられます。
 つまり、流通権を持っていない企業でも貿易経営者登録自体は可能ですが、仮に、商品を輸入したとしても、これを国内で販売することはできず(輸出も同様)、実務上は、貿易を行えません。
 結果として、生産型企業は、従来通り自己製造に関連する貿易行為(自営輸出入)のみが可能ということになります。
 つまり、従来の「貿易行為という観点からの管理(貿易権管理)」が、「営業範囲という観点からの管理」に切り替えられるというのが適切な解釈でしょう。
 

2.保税区企業の対外貿易経営者登録

 対外貿易経営者登録・登記管理弁法の施行後、各地で対外貿易経営者登録を申請する保税区貿易会社ができており、これを受理する動きが出てきています。
 ただし、実際の対応は、地域によって以下の3種類に分けられます。
 1) 登録を認めない保税区
 2) 独資の場合は2004年12月11日迄待つよう指示される保税区
 3) 独資企業でも登録を受け付ける保税区

 見事に対応が分かれていますが、その実、どれも一理ある(根拠がある)対応です。この点、中国の貿易・流通管理が急速に変化しており、部分的な歪みが生じている状況が窺い知れて興味深いものがあります。
 まず、

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