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ログイン2008年6月13日
四川省で発生した大地震が中国経済に与える影響について、様々な論評が発表される一方で、政府も対策に乗り出している。
はじめに
地震発生から1週間以上過ぎ[1]、そろそろ地震が中国経済に与える影響を論ずるものが出てきた。本稿では政府の対応と、主要な論調を整理しておきたい。
1.国務院常務会議(5月21日)
温家宝総理が召集し、当面の経済情勢と対策が議論された(中国政府網2008年5月21日)
1.1 当面の経済情勢
農業生産状況はかなり良好であり、夏の穀物と食用油はかなりの収穫が期待できる。豚の生産の引き続き回復に向っており、工業生産は基本的に安定しており、市場の消費は引き続きかなり旺盛である。
存在する際立った矛盾は、主として物価上昇圧力が依然存在すること、一部地域の石炭・電力・石油の供給がかなり逼迫していること、財政支出の圧力がかなり大きいこと等である。汶川地震は被災地域に深刻な影響をもたらしており、経済運営全体に新たな不確定要因を増やしたが、経済発展の基本面を変えるものではない。
1.2 当面の施策
引き続き地震対策・災害救助を、当面の最も重要で緊迫した任務としなければならない。両手で次の2点をしっかり把握しなければならない。1つは、地震対策・災害救助をいささかもおろそかにしてはならないということである。人間本位を堅持し、指導を強化し、統一的に企画し協調させ、科学的に調整し、責任を強化し、紀律を厳格にして、各種施策をしっかり行わなければならない。もう1つは、断固として経済発展をしっかり手中にしなければならないということである。マクロ・コントロールを更に強化・改善し、物価上昇のコントロールに力を入れ、経済の平穏でかなり速い発展の維持に力を入れなければならない。
(1)全力で、地震対策・災害救助活動をしっかり行う
引き続き全力で被災者を捜索救助し、重傷者を速やかに条件の良い医療機関に搬送して治療を受けさせる。防疫の専門家を増派・充実させ、被災地域の防疫活動を強化する。被災地域での大衆の食事・衣服・水・安全な住宅を確保する。被害を受けたインフラを早急に修復し、重点を危険が発生しているダム・水力発電所・川がせき止められてできた湖におく。2次災害による新たな損失の発生を厳重に防止する。
中央財政は250億元を計上し、地震対策・災害救助への資金投入を増やす。
(2)生産回復・災害復旧活動を早急に計画し、適時展開する
国務院の指導の下、専門家を組織し、災害復旧計画と具体的実施案を早急に検討・制定する。計画策定に当たっては、現地の地質条件・資源環境の受容能力を十分に考慮し、都市と町、工業と農業の生産配置と建設基準を合理的に確定する。全国の力を挙げて多様なルートで災害復旧資金を調達する。
中央財政は今年まず700億元を計上し、災害普及基金を設立する[2]。来年以降も引き続き所要の計上を行う。厳格な監督管理制度を確立し、救援資金・物資をしっかり管理する。被災地域の幹部・大衆は自力で更生しなければならず、生産の自力回復を奮起して展開しなければならない。
(3)経済の平穏でかなり速い発展を維持する
農業生産を適切に強化する。穀物の作付面積を安定的に拡大し、洪水・干害対策をしっかり行い、1年の豊作達成に努力する。
物価の速すぎる上昇を抑制する。物価管理を強化し、重点商品の価格モニター・予測・アラームを強化する。法に基づき、価格の違法行為・買占めを厳しく取り締まる。
石炭・電力・石油・輸送の安定的供給を確保する。夏のピーク時に電力・石炭の供給を保障することを第1の任務とする。
安全生産をしっかり行う。社会治安の総合的管理を強化し、社会の安定を維持する。
全国において、被災地域支援のための国民的節約運動を展開する。各レベルの党・政府機関、国有企業、事業単位は、会議・接待・公務出張・公用車の使用による支出を減らし、団を組んでの出国を圧縮する[3]。公用車の購入を厳格に抑制し、党・政府機関の庁舎建設プロジェクトの審査・許可を暫時停止する[4]。中央国家機関は、今年の公用経費支出を予算よりも一律5%削減し、地震対策・災害救助に充当する。
党中央・国務院の断固たる指導の下、我々にはあらゆる困難・障害を克服し、地震対策・災害救助と経済社会の良好で速い発展を促進するという2つの戦場の激戦に、断固として勝利する決意・信念・能力がある。
2.指導者の動向
(1)胡錦涛総書記
5月22日午前、中央政治局常務委員会を開催し、上記の国務院常務会議の方針を確認した(新華網北京電2008年5月22日)。続いて午後は浙江省に行きテント生産工場を視察するとともに、テント生産企業の責任者と座談会を開催し、被災者向けのテントを大量かつ迅速に生産するよう指示している(新華網浙江湖州電2008年5月22日)。5月25日には河北省廊坊に赴き、仮設住宅の生産を督励した(新華網河北廊坊電2008年5月25日)。
5月26日には政治局会議を開催した。会議では、経験のある専門家を増派し、医療救急物資の供給を保証し、一部の負傷者の搬送・治療活動をしっかり行い、負傷者を全力で救助し、負傷者の生命の安全保障に最大の努力を払うことを強調している(新華網北京電2008年5月26日)。
5月27日には四川省で指揮をとっている回良玉に電話し、北川唐家山の地震により川がせき止められてできたダムの危険対策の進展状況を聴取し、大衆の生命安全の確保を最優先にするよう指示している(新華網四川綿陽電2008年5月27日)。
(2)温家宝総理
5月22日夕方、再び重大な被害を受けた四川省北川県に赴き、被災状況を確認するとともに、川がせき止められてできたダムを空中から視察した(新華網四川綿陽電2008年5月22日)。5月24日は紫坪鋪ダムの安全を視察し、同日夜には成都で会議を開催して負傷者の救助と衛生防疫活動をしっかり行うよう督励した(新華網成都電2008年5月25日)。
5月27日には総指揮部会議を開催し、今後の重点活動を①傷病者の救済、②被災者の生活安定、③衛生・防疫活動の全面強化、④死亡者の善後処理、⑤2次災害の防止、⑥生産の組織的回復、⑦被災地域の社会安定の維持、⑧災害復旧前期活動の実施、としている(新華網北京電2008年5月27日)。
(3)その他
次世代指導者の李克強は5月18日から四川省を視察して指揮をとり、5月24日には国家電力コントロールセンターを視察して、できるだけ早く被災地域の電力供給を全面的に回復するよう指示した(新華網北京電2008年5月24日)。
習近平も5月19日から陝西省を視察した[5]。また本来オリンピックの担当である彼は、5月27日には北京のオリンピック施設を視察し、地震対策・災害救済とオリンピックの最終段階の準備を共にしっかり行うよう指示した(新華網北京電2008年5月27日)。
序列2位の呉邦国も5月26日に四川省入りしている。
3.財政・金融等の対策
3.1 財政部・国家税務総局
(1)減免税
主なものは以下のとおりであり(新華網北京電2008年5月19日)、これによる減免税は総額202.3億元(うち企業所得税分は167.5億元)と見られている(上海証券報2008年5月21日)。
①企業所得税
地震災害により実際に発生した財産の損失を、納税所得額から控除する。同時に企業の公益的な義捐金支出を、納税所得から控除する。
②個人所得税
地震災害により重大な損失のあった個人に対し、個人所得税を減額する。被災地域の個人が受け取った義捐金・救済金は個人所得税を免除する。個人が被災地域に送った義捐金は納税所得から控除する[6]。
③不動産税
損壊により居住・使用に耐えない家屋・危険家屋について、使用停止後不動産税を免除できる。家屋の大修繕により半年以上使用を停止するときは、修繕期間の不動産税を免除する。
④契約税
地震災害により住居が滅失し、住居を新たに購入した場合には、契約税を減免する。
⑤資源税
納税者が課税対象の産品を採掘・生産している過程で、地震災害により重大な損失を受けた場合には、資源税を減免する。
⑥都市土地使用税
納税者が地震災害で重大な損失を受け納税が困難な場合には、土地使用税を期間を定め減免する。
⑦車船税
納税が完了した車・船が地震災害により処分・滅失した場合には、納税者は処分・滅失時から本年度末までの分の税金の還付を申請できる。
⑧輸出入税
外国政府・民間団体・企業・個人等が被災地域に贈った食品・生活必需品・薬品・救助道具等の物資については、輸入段階で免税とする。
(2)納税の延期
国家税務総局は、四川・重慶・甘粛・陝西・雲南・青海・湖北等の地震災害の強烈な地域では、納税を延期することができることとした(新華網北京電2008年5月20日)。
(3)臨時生活救助金
中央財政は四川・甘粛・陝西・重慶・雲南等の省(市)に対し、緊急に臨時生活救助資金25億元を支払うこととした(新華網北京電2008年5月20日)。資金は被災地域の生活困難な大衆の臨時生活救助に充当される。
財政部によれば、災害により住居・生産財・収入を失った困難な大衆には、1日当たり10元を支給する。災害により独りとなった児童・老人・身障者には、1月当たり600元を支給する。災害以前から独りであった児童・老人・身障者にも、1月当たり600元を支給する。これらの期限は3ヶ月とする。
5月27日14時の時点で、全国財政部門の地震対策・災害救済への資金投入は192.16億元であり、うち中央財政は151.26億元、地方財政は40.9億元となっている。
(4)物資横流し・資金横領の防止
中央紀律委・監察部・民生部・財政部・審計署は5月25日連合会議を開催し、支援物資・資金が全て被災地域に用いられ、被災者のために用いられることを確保するため、監督管理を強化する旨を決定した(中国青年報2008年5月26日)
3.2 人民銀行・銀行業監督管理委
(1)特別金融政策
四川・甘粛・陝西・重慶・雲南等の被害の重大な省市に対し、金融サービスを回復させるための以下の政策を通知した(新華網北京電2008年5月20日)。
①各銀行は、被災地域の大衆・企業の現実の困難を十分に考慮し、被災地域で期限どおり借金を返済できない単位・個人に対して、督促し、懲罰的利息を課し、不良記録を作成し、貸出支援の継続を渋ってはならない。
②被災地域の各金融機関は、緊急にサービスネットワークを設置し、被災者が避難場所のすぐ近くで銀行サービスを利用できることを確保しなければならない。
③各金融機関は、あらゆる手段を用いて資金を調達し、柔軟・有効な措置により、被災者が簡便に預金を引き出すことを確保しなければならない。
(2)預金準備率
人民銀行成都分行は、総行の同意を得て被災が重大な成都・綿陽・徳陽・広元・雅安・アバチベット族チャン族自治州等6市州の地方法人金融機関については、5月20日以降も預金準備率を暫時引き上げないこととした。これは、この地域の金融機関が資金を利用できるようにし、四川地域への貸出を増やし、自己救済能力を高めるための措置である(中国新聞網2008年5月20日)[7]。
(3)人民銀行周小川行長記者会見
5月26日、成都で記者会見し、「震災後の中国経済の運行状況に高度に注意を払い、地震対策・災害救助と経済発展の要求に基づき、地震対策・災害救済に関する企業の需要を満足させるとともに、マクロ・コントロール措置をしっかり実施し、物価と投資の速すぎる伸びを防止しなければならない」と強調した(新華網2008年5月27日)。
3.3 国家発展・改革委員会
5月21日、被災地域の物価安定を保障するため、四川省の遂寧・甘粛省の隴南の2つの市の物価部門は被災地域での違法価格行為を迅速に取り締まる旨を発表した(新華網2008年5月21日)。
4.経済への影響
(1)国務院発展研究センター 巴曙松(人民日報2008年5月26日)
地震は経済成長の趨勢を変えることはない。現在、わが国の経済は基本的に良好で速い成長を引き続き維持している。関連するマクロ・コントロール政策が実施されるに伴い、政府活動報告が提起した2008年の経済活動目標は実現可能である。
しかし、経済運営における際だった矛盾である、投資・貸出・貿易黒字が大きすぎるという問題は、一定程度緩和されたものの依然際立っている。インフレリスクは有効にコントロールできる範囲内にはあるが、構造的物価上昇が全面的に蔓延する傾向は依然存在し、マクロ・コントロールを堅持するとともに、インフレ・経済過熱防止の政策措置を実施しなければならない。
(2)人民銀行貨幣政策委員会 樊綱委員(上海証券報2008年5月26日)
自然災害は2種類に分けられる。1つはSARSのような災難であり、物質・財産を毀損はしないが人民の生命・健康に危害を及ぼす。GDPへの影響の観点からは、人々の需要を引き下げ、経済活動を低下させ、GDPの成長を引き下げる。
もう1つは今回の地震のような自然災害であり、この特徴は人民の生命に危害を及ぼし、大量の物質・富を毀損することにある。このような災害は過去に蓄積した多くの物を毀損するため、地震対策・災害救助・災害復旧の過程で大量の物質・建設の需要をもたらし、GDPの成長を加速することになる。
このため、「地震対策・災害救助のためにマクロ政策を緩和あるいは調整する必要がある」という考え方には私は同意しない。他の理由によりマクロ政策を調整するかしないかは議論してもよいが、地震対策・災害救助そのものは金融政策を調整する理由にはならない。
(3)JPモルガン・チェース総経理・アジアチーフエコノミスト 龔方雄(上海証券報2008年5月26日)
5月の消費者物価は8%前後と予想する。もしこのような地震災害がなければ8%以下であったろう。地震災害がインフレにもたらす影響は5月のみであり、下半期のインフレは徐々に緩和し6%以下になるだろう。
下半期にインフレが徐々に緩和したなら、石油製品価格の改革等の多くのマクロ政策を打ち出すべきである。石油価格が高止まりの状況下では、これは非常に切迫した問題である。石油製品価格改革はインフレ率を大幅に上昇させるのではないかと、恐れる必要はない。昨年10月に中国は石油価格を10%調整したが、インフレへの影響は0.4%に過ぎなかった。現在、中国の石油価格と国際的石油価格には30-40%の開きがあり、インフレへの影響は最も大きくて1.5%前後である。
(4)中金公司チーフエコノミスト 哈継銘(上海証券報2008年5月26日)
商務部・農業部の農産品価格予想によれば、5月前半は前月より2.9%低下しているが、農産品価格の消費者物価への影響は3分の1にすぎず、非食品価格は工業品出荷価格の影響を受ける。石油価格の上昇により5月の工業品出荷価格は比較的高くなると考えるが、総合的に見ると、5月のインフレ率は4月よりやや緩和し、1年では6-7%となる可能性がある。
地震の被災地域は全四川省の5%前後にすぎず、全国の0.4%前後にすぎない。インフレに対しては短期的に不利に働くが、インフレと経済活動にそれほど大きな影響は与えないだろう。
(5)ゴールドマンサックス・チーフエコノミスト 梁紅(北京青年報2008年5月26日)
①四川省の農業の地位は相対的・比較的に重要であり、豚肉・その他農産品価格が地震の損害により大幅に上昇するのでは、と心配する人がいる。このようなリスクは確かに存在し、今後密接に注意を払う必要がある。しかし、現在までのデータでは損害の程度は比較的限定的である。豚の損失は100万頭以下と見られており、全国には4億頭以上の豚の在庫がある。最近豚肉価格が安定を維持していることもこれを反映している。地震が食糧生産に与えた直接的影響はもっと限定的といえる。
②一部の投資家は災害復旧需要が基本的な原材料・エネルギー価格に影響を与えるのではないか、と心配している。確かに、国内インフレ率が上昇し、世界の商品価格が不断に上昇している状況下、災害復旧需要は中国のマクロ政策の制定を更に複雑化した可能性がある。しかし、被災地域の経済規模からすると、総体としてのマクロ政策の立場を維持し変えなければ、当該地域の復旧が全国の需要全体・価格に与える影響はかなり限定的といえる。
③しかし、政府が時機が成熟していないときに(地震災害によるか一部の輸出商の呼びかけによるかを問わず)金融政策を緩和するならば、インフレを悪化させることになり、中国の将来のマクロ経済情勢は更に厳しいものとなろう。今のところ、このような状況が発生する可能性は大きくないが、我々は政策の変化に密接に注意を払い、インフレ率の上昇リスクに直面するか否かを判断することになろう。
(6)社会科学院数量経済・技術経済研究所経済モデル室 李雪松主任(光明日報2008年5月21日)
地震により多くの人が死傷し、インフラが大きく破壊された。しかし、このような損失は、主として人力・資本・物質のストックの損失であり、GDPは経済のフロー量を反映するものである。このため、地震は現地の第2四半期の経済成長に一定のマイナス影響をもたらすものの、中長期に見れば全国GDPへの影響はそれほど大きくはない。
年初の雪害と比べ、地震がもたらした損失の集中度は更に高く、復旧には相当長い時間がかかる。インフラの回復のみならず、負傷者の救助・被災者の移送・独り住まいの障害者のケアなどの一連の問題について、財政は長期的・統一的に考慮することが必要となろう。
(7)リーマンブラザーズ報告(光明日報2008年5月21日)
地震が中国の経済成長に与える影響は限定的である。人口と農業産出について言えば四川は大省であるが、四川省・重慶市の2006年の工業付加価値は中国の3.5%にすぎず、2007年の輸出は全国の1%にすぎない。このほか、当該地域で生産施設を擁する大型会社については、輸送・生産において臨時の中断が出現した可能性があるが、生産は臨時に他の省市に移転が可能である。地震が中国の2008年第2四半期のGDP成長に及ぼす影響は軽微である。
地震がマクロ・コントロールに与える最大の影響は、インフレ期待の上昇リスクが高まる可能性である。特に、食品価格上昇に影響を与える可能性が大きい。しかし、地震は突発的な自然災害であり、四川現地の経済発展に局部的影響を与えても、マクロ経済全体の運行動向を変えるものではない。地震の影響がフェードアウトするにつれて、経済活動は正常な水準に回復し、同時に食品価格の波動も安定してくるだろう。
(8)モルガンスタンレー・チーフエコノミスト 王慶(中国証券報2008年5月19日)
地震発生後、金融政策を緩和する余地は大きくないが、引締め強化もないだろう。供給面の原因がもたらしたインフレは金融政策では解決できず、中央銀行は地震後のインフレ状況下で利上げは行わないだろう。
(9)国家情報センター・チーフエコノミスト兼経済予測部主任 範剣平(中国証券報2008年5月21日)
第2四半期の四川省の消費・サービス業(主として旅行業)は影響を受け、全国のGDP速度はマイナスの影響を受けるだろう。しかし、1年で見ると、災害復旧が投資の伸びを牽引し、全国のGDPは加速する可能性がある。
(10)中信証券チーフマクロアナリスト 諸建芳(中国証券報2008年5月19日)
地震は現地の生産を1ヶ月前後中断することになり、被災地域のGDPは四川省の50%前後であり、全国の2%前後であるので、地震は全国の工業生産の伸びを0.3ポイント減速させる可能性がある。同時に、人員の死傷と財産の損壊は、被災地域の消費を30%低下させ、全国の消費の伸びは0.6ポイント低下しよう。災害復旧は投資を激発させ、全国の投資の伸びを0.3ポイント前後押し上げよう。初歩的に推計すると、地震は1年のGDPを0.2ポイント加速することになろう。
地震がもたらした自然災害は、第2四半期の経済と企業利益の伸びに一定のマイナス影響を与えるが、この影響は短期のものである。第3・第4四半期には経済は正常な伸びに回復し、一部の領域では反動増が出現する可能性がある。
(2008年5月記 7,995字)
[1] 5月27日12時現在で、死亡者は6万7183人、負傷者は36万1822人、行方不明者は2万790人、避難者は1500万6341人に達している。
[2] 財政部によれば、これは災害復旧計画に定められた民間住宅・インフラ建設・学校・病院などが対象となり、財政部が資金を各部門・地方政府に配分することになっている(南方報業網2008年5月23日)。
[3] これを受けて、中国の訪日団が次々と訪日を延期している。
[4] 地震で学校や病院が倒壊したにもかかわらず、政府庁舎に被害が少なかったことが被災者の怒りを増幅させていることに配慮したものであろう。
[5] 人民日報2008年5月26日は、仲祖文の署名で「指導幹部は被災者の中に分け入らなければならない」という記事を掲載している。
[6] 本来は30%までしか控除されないが、赤十字事業・農村義務教育等27項目への義捐金については全額控除するものである(江南時報2008年5月19日)。
[7] 5月19日までの各銀行・金融機関の復旧融資額は27.3億元に及んでいる(新華網2008年5月20日)。
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