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4月の主要経済指標

中国ビジネスレポート マクロ経済
田中 修

田中 修

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2010年5月19日

記事概要

4月及び1-4月期の主要経済指標と、人民銀行第1四半期貨幣政策執行報告の概要を紹介する。【7,923字】

はじめに
本稿では、4月及び1-4月期の主要経済指標と、人民銀行第1四半期貨幣政策執行報告の概要を紹介する。

1.4月及び1-4月期主要経済指標
(1)物価
①消費者物価
 4月の消費者物価は前年同期比2.8%上昇し、3月より伸びが0.4ポイント加速した[1]。都市は2.7%、農村は3.0%の上昇である。食品価格は5.9%上昇し、居住価格は4.5%上昇した。前月比では、3月より0.2%上昇した。3月より食品価格は0.1%下落し、居住価格が0.9%上昇している。

なお、国家統計局の盛来運スポークスマンによれば、食品価格が消費者物価を1.9ポイント、居住価格が0.7ポイント押し上げており、この2つだけで2.8%上昇の93%を占めている。また、国家発展・改革委員会価格司の責任者によれば、2.8%のうち前年度からのタイムラグによる影響部分が1.5ポイントであり、新たな物価上昇要因は1.3ポイントである。この1.3ポイントのうち、穀物・生鮮野菜・果物の上昇による押し上げ効果が1.1ポイントであり、上昇要因の84.6%を占める[2]

(参考)10月-0.5%→11月0.6%→12月1.9%→1月1.5%→2月2.7%→3月2.4%→4月2.8%

1-4月期では前年同期比2.4%上昇である。都市は2.2%上昇であり、農村は2.6%上昇であった。食品価格は5.3%上昇、居住価格は3.3%上昇である。

②工業品工場出荷価格
4月の工業品工場出荷価格は前年同期比6.8%上昇し、3月より上昇が0.9ポイント加速した[3] 。原材料・燃料・動力購入価格は12.0%上昇した。前月比では3月よりも1.0%上昇している。

(参考)10月-5.8%→11月-2.1%→12月1.7%→1月4.3%→2月5.4%→3月5.9%→4月6.8%

1-4月期では前年同期比5.6%上昇であり、原材料・燃料・動力購入価格は10.4%上昇である。

③住宅価格
4月の全国70大中都市の建物販売価格は前年同期比12.8%の上昇となり、3月より上昇幅は1.1ポイント加速した。

(参考)10月3.9%→11月5.7%→12月7.8%→1月9.5%→2月10.7%→3月11.7%→4月12.8%

新築住宅販売価格は前年同期比15.4%上昇で、こちらも3月より上昇幅が1.2ポイント加速している。新築住宅販売価格の上昇率が比較的大きかったのは、海口64.3%、三亜58.2%、温州26.1%、金華23.8%、北京21.5%等である。

1-4月期の全国分譲建物販売面積は2.34億㎡で、前年同期比32.8%増となった。うち、分譲住宅販売面積は30.3%増である。1-4月期の分譲建物販売額は1.24兆元、前年同期比55.4%増であった。うち、分譲住宅販売額は51.5%増である。

1-4月期のディベロッパーの資金源は2兆1603億元であり、前年比59.9%増であった。うち、国内貸出が4522億元、39.9%増、外資が137億元、-17.4%、自己資金が7459億元、52.5%増、その他9454億元、81.9%増(うち手付金・前受金が5240億元、73.9%増)である。個人住宅ローンは2955億元、102.1%増であった。

(2)工業
4月の一定規模以上[4] の工業付加価値は前年同期比17.8%増なった。4月の主要製品別では、発電量21.4%、粗鋼27.0%、セメント16.1%、自動車34.6%(うち乗用車36.9%)増となっている。

工業の伸びが鈍化したなかで発電量が増加した原因につき、盛来運スポークスマンは、①4月以降エネルギー消費の大きい重工業の生産が増加した、②西南地方の旱魃対策に多くのエネルギーを消費した、という理由を挙げている。また、工業の伸びが鈍化した理由としては、自動車生産量の減少(3月175万台、4月160万台)を指摘している。

(参考)工業付加価値 10月16.1%→11月19.2%→12月18.5%→1月20.7%→2月12.8%→3月18.1%→4月17.8%

1-4月期では前年同期比19.1%増となった。重工業は21.4%増であり、軽工業は14.1%増である。主要製品別では、発電量21.5%、粗鋼25.4%、セメント18.9%、自動車61.9%(うち乗用車66.4%)増となっている。

(3)消費
4月の社会消費品小売総額は前年同期比で18.5%増となった。都市は同18.9%増、郷村は同16.0%増である。農村の消費の伸びが都市をかなり下回っている。一定額以上の卸・小売では、穀物油・食品・飲料・タバコが20.3%、アパレル・靴・帽子類21.0%、建築・内装は29.2%、家具35.1%、家電・音響機器類34.3%増、自動車は36.9%増である。

(参考)10月16.2%→11月15.8%→12月17.5%→1月17.9%→2月22.1%→3月18.0%→4月18.5%

1-4月期の社会消費品小売総額は4兆7884億元、前年同期比18.1%の増加である。都市は同18.5%、郷村は同15.5%増であった。一定額以上の卸・小売では、穀物油・食品・飲料・タバコ18.8%増、アパレル・靴・帽子類23.3%、建築・内装は27.4%、家具類は37.0%、自動車39.0%、家電・音響機器類30.7%増となっている。

(4)投資
1-4月期の都市固定資産投資は4兆6743億元で、同26.1%増であった。中央プロジェクトは3833億元、10.6%増、地方プロジェクトは4兆2910億元、27.6%増であった。

不動産開発投資は9932億元で同36.2%増である。うち分譲住宅は6854億元、34.0%増であり、不動産開発投資の69.0%を占めている。鉄道運輸は17.5%増であった。

(参考)都市固定資産投資 1-10月期33.1%→1-11月期32.1%→2009年30.5%→1-2月期26.6%→1-3月期26.4%→1-4月期26.1%

不動産開発投資 1-10月期18.9%→1-11月期17.8%→2009年16.1%→1-2月期31.1%→1-3月期35.1%→1-4月期36.2%

1-4月期のプロジェクト新規着工は8万5196件で、前年同期比1224件減となった。新規着工総投資計画額は4兆8328億元であり、前年同期比31.3%増となっている。都市プロジェクト資金の調達額は6兆7596億元で、前年同期比35.1%増となった。うち、国家予算内資金が14.2%増、融資が33.8%増、自己資金調達が31.9%増、外資利用が-9.5%となっている。

(5)対外経済
①輸出入
4月の輸出は1199.2億ドル、前年同期比30.5%増、輸入は1182.4億ドル、同49.7%増となった。4月は16.8億ドルの貿易黒字となり、3月の赤字から再び黒字に転換した。

(参考)10月輸出-13.8%、輸入-6.4%→11月輸出-1.2%、輸入26.7%→12月輸出17.7%、輸入55.9%→1月輸出21%、輸入85.5%→2月輸出45.7%、輸入44.7%→3月輸出24.3%、輸入66%→4月輸出30.5%、輸入49.7%

1-4月期の輸出は4360.5億ドル、前年同期比29.2%増であり、輸入は4199.4億ドル、同60.1%増となった。貿易黒字は161.1億ドルであり、同78.6%の減少となった。輸出入総額では、対EU34.6%増、対米25%増、対日37.5%増、対アセアン58.5%増である。

1-4月期の輸出の伸びを地域別にみると、広東22.1%、江蘇40.2%、上海27.1%、浙江31.8%、山東30.3%、福建37.9%、北京11.4%増である。

1-4月期の労働集約型製品の輸出は、靴類14.7%増、アパレル類9.5%増、家具21.2%増、紡績26.1%増である。電気・機械は同31.3%増である。また自動車の輸入は2.7倍になった。

②外資利用
4月の外資利用実行額は73.46億ドルであり、前年同期比24.69%増となった。

(参考)10月5.7%→11月31.97%→12月103.1%→1月7.79%→2月1.08%→3月12.08%→4月24.69%

1-4月期の外資利用実行額は307.89億ドルであり、前年同期比11.28%増となった。

(6)金融
4月末のM2の伸びは前年同期比21.48%増と、3月末より1.01ポイント、昨年12月末より4.47ポイント減速した。M1は31.25%増加している。人民元貸出残高は前年同月比21.96%増であり、伸び率は3月末から0.15ポイント加速し、昨年12月末から7.76ポイント減速した。4月の人民元貸出増は7740億元であった。4月の人民元預金は1.18兆元増、非金融企業預金は8235億元増である。

(参考)M2 : 10月29.42%→11月29.74%→12月27.68%→1月25.98%→2月25.52%→3月22.50%→4月21.48%

なお、外貨の購入に伴う中央銀行の人民元発行量が1月2981.67億元、2月1794.96億元、3月2701.5億元であったのに対し、4月は3747億元と急増した。このため、ホットマネーの流入が警戒されている(経済参考報2010年5月14日)。

(7)財政
4月の全国財政収入は7925.66億元で、前年同期比2028.51億元、34.4%増となった。

1-4月期の全国財政収入は2兆7552.73億元、同7013.53億元、34.1%増に達した。中央レベルの収入は1兆4107.54億元で、同38.9%増、地方レベルの収入は1兆3445.19億元、同29.5%増である。

1-4月期の税収は2兆5004.57億元で、同36.4%増となっている[5]。税外収入は2548.16億元で、同15.7%増である。

(参考)財政収入 10月28.4%→11月32.6%→12月55.8%→1月41.2%→2月20.4%→3月36.8%→4月34.4%

4月の全国財政支出は5575.55億元で、前年同期比497.5億元、9.8%増となった。

1-4月期の全国財政支出は1兆9905.51億元で、前年同期比2016.54億元、11.3%増となっている。中央レベルの支出は4088.35億元で、同13.2%増、地方レベルの支出は1兆5817.16億元で、同10.8%増である。

2.人民銀行第1四半期貨幣政策執行報告(5月10日)
(1)中長期貸出
 2010年以降、金融機関の中長期貸出が引き続き急増している。3月末の貸出残高は17.9兆元で、前年同期比36.4%増である。

 産業構造からすると、第3次産業向けの中長期貸出が伸びており、3月末で前年同期比43.4%増(中長期貸出全体の77%)となっている。

 業種構造からすると、インフラ施行業(交通運輸・倉庫・郵政業、電力・天然ガス・水の生産・供給業、水利・環境・公共施設管理業)、不動産業、製造業の分野に集中し(中長期貸出全体の45.8%)、3月末で前年同期比33.3%増となっている。3月末の不動産業向け中長期貸出は同38.5%増であり、1-3月期の不動産業向け新規貸出は3394億元、中長期貸出全体の21.9%を占めている。

 現在、中長期貸出の伸びは依然高水準であり、貸出拡張の勢いは依然かなり強く、潜在的な問題・リスクにあらかじめ注意しなければならない。

①中長期貸出の需要が非常に旺盛である
 2009年に施工したプロジェクトの計画総投資額42兆元、前年比34.0%増であり、建設中のプロジェクトの規模が大きいため、中長期貸出には硬直性がある。加えて、地方のプラットホームへの貸出の積極性がなお高く、プロジェクトへの貸出需要が旺盛である。

②中長期貸出の急増が金融機関の流動性リスクを増大している
 現在、金融機関の預金の当座化と貸出の中長期化傾向が明らかであり、短期預金・長期貸出は金融機関の資産・負債の期間構造のアンバランスを激化させており、これによってもたらされる関連リスクの防止に注意を払うべきである。

③一部の業種・分野で投資効率の低下、生産能力の過剰激化の問題が出現する可能性があ
 る

(2)公開市場操作
 1-3月期の中央銀行手形発行は1.43兆元であり、短期の資金回収は8930億元、3月末の中央銀行手形残高は4.37兆元に達している。

(3)物価動向
 1-3月期の輸入価格は、1月前年同期比13.5%、2月同15.6%、3月同17.6%、平均で同15.6%上昇した。

 1-3月期、全国都市労働者の月平均賃金は2754元であり、前年同期比13.1%増加した。
 1-3月期のGDPデフレータは4.8%である。

(4)インフレ期待の管理
 2009年以降、国内のインフレ期待は徐々に明らかになっている。2010年1-3月期はやや反落したものの、なおかなりの高水準を維持している。その主要な原因は以下のとおりである。

①世界の主要な経済体が危機に対応するため、あまねく超緩和の金融政策を実施した
 世界の通貨環境の緩和とりわけ米ドル等の主要通貨が超低金利となったことが、世界的なインフレ期待を引き起こし、これが国際一次産品価格の大幅な反転上昇となって現れている。

②2009年以降、国際金融危機に対応するため、貸出が急増した
 これが一定程度、社会大衆の将来の物価水準上昇の期待を引き起こした。

③CPI、PPI等の物価総水準の指標の変化は相対的に平穏であるが、一部の一次産品・サービス価格・住宅価格等の資産価格が明らかに上昇している

④最近の極端な天候、重大災害も将来の農産品価格の上昇期待を引き起こしている
 インフレ期待の管理に際しては、国外の経験を参考にするだけでなく、国情から出発して的確に管理しなければならない。

①大衆との意思疎通・誘導をしっかり行い、社会大衆の物価安定のコンフィデンスを増強する。
 物価安定が政府の重要政策目標であることを明確に表明し、政府は所要の措置を採用して物価の基本的安定を維持する。物価に影響を及ぼす可能性のある要因については、大衆に解説しなければならない。例えば、エネルギー・資源改革形成メカニズムの改革は、主として価格関係の合理化のためであり、資源の節約利用と省エネ・汚染物質排出削減を促進し、生産力を発展させ、人民大衆の生活水準を高めるための良好な物価環境を創造するものであり、決して物価全体を上昇させることを意味しない。

②適切な政策操作を通じて、流動性・マネー・貸出の総量を適切に管理し、インフレ期待の管理における金融政策手段の役割を発揮する。

③わが国の食品消費の比重が比較的高く、食品価格の消費者物価総水準への影響が比較的大きいという現実に対しては、総合的措置を採用して国内農産品供給を増加し、国内農産品価格の基本的安定を維持する。

④わが国の資産市場が相対的に不成熟であり、庶民の金融資産への需要が徐々に増加しているという特徴については、総合措置を採用してマクロの周到かつ慎重な管理を強化し、金融のレバレッジ率を合理的で周到かつ慎重な水準に維持し、不動産等の資産価格の速すぎる上昇により一般消費者物価の上昇期待が強化されることを防ぐ。

⑤わが国の投資率が比較的高く、資源の消費比重が大きく、川上の物価が国際一次産品の変化の衝撃を受けやすいという特徴については、引き続き積極かつ穏当に水・電力・石油・ガス等の資源類製品価格の改革を推進し、同時に低所得層の利益を保障する健全なメカニズムを確立し、社会保障・財政補助等の措置を積極的に採用し、困難な大衆の実際の生活水準に改革が及ぼす影響を緩和する。

(5)不動産融資の現状
 3月末の主要金融機関の商業性不動産融資残高は8.18兆元であり、前年同期比44.3%増である。うち、土地開発融資残高は7453億元で、同80.2%増、建物開発融資残高は2.10兆元で、同19.6%増である。

 3月末の住宅ローン残高は5.33兆元で、同52.6%増である。
 3月末の不動産融資残高は各種融資残高の20.1%を占めている。

(6)マクロ経済の見通し
 当面、経済発展の環境はなお比較的複雑である。世界経済の運営における不確定要因は依然存在し、世界経済の新たな成長点はなお不明瞭である。同時に、内需回復の基礎もなおアンバランスであり、民間投資と内生的成長動力が強化されなければならない。個人消費の持続的拡大、所得分配の改善、経済構造の最適化促進の任務は非常に困難であり、財政・金融分野の潜在リスクも軽視できない。わが国経済の現在の平穏で比較的速い発展を維持することと、長期発展のために良好な条件を創造することとを有機的に結びつけ、いささかも動揺することなく、経済発展方式の転換を加速しなければならない。

 物価上昇の潜在圧力は注意に値する。現在外需はなお回復の途中にあり、国内工業の生産能力はかなりゆとりがあることは、物価安定に有利である。しかし、世界のマネー条件はかなり緩和されており、経済総体の回復という大きな背景の下、国際一次産品価格は上昇傾向を示しており、国内経済の持続的でかなり速い回復に伴い、市場のコンフィデンスは徐々に強まっており、わが国の物価上昇圧力も増している。現在、国内労働力価格は上昇傾向にあり、資源・環境保護のコストは増大しており、物価水準に影響を及ぼす可能性もある。総体として見ると、物価上昇圧力は相対的に大きくなっており、物価安定への潜在的脅威はある程度増加している。

(7)当面の金融政策の考え方
 2010年は、引き続き国際金融危機に対応し、経済の平穏で比較的速い発展を維持し、発展方式の転換を加速するカギとなる1年である。当面、中国人民銀行は引き続き科学的発展観を真剣に貫徹し、国務院の統一的手配に基づき、適度に緩和した金融政策を引き続き実施し、政策の実施の程度・テンポ・重点をしっかり把握し、政策の連続性・安定性を維持し、的確性・柔軟性を増強する。経済の平穏で比較的速い発展の維持・経済構造の調整・インフレ期待の管理の関係をうまく処理し、経済発展に対する金融支援の持続可能性を高め、金融システムの健全で安定した運営を維持する。

①流動性管理を強化し、マネー・貸出の適度な伸びを維持する
 経済金融情勢・外貨流動の変化の状況に基づき、多様な金融政策手段を総合的に運用し、金融政策手段の組合せ・期間構造・操作の程度を合理的に手配する。流動性管理を強化し、銀行システムの流動性を合理的・適度に維持し、マネー・貸出の適度な伸びを促進する。マクロコントロールの要求と実体経済部門の借入需要に基づき、金融機関が年間貸出のテンポを相対的にバランスよく手配するよう誘導し、乱高下を防止する。

②経済発展方式の転換と経済構造調整への金融支援を強化する
 引き続き、維持するものと抑制するものを区別する貸出政策を実施し、貸出構造と調整・最適化する。経済社会の脆弱部分・就業・省エネ・環境保護・戦略的新興産業・産業移転等の方面への貸出支援を強化し、農業・小企業の融資難問題を有効に緩和する。重点建設プロジェクトの借入需要を保証し、エネルギー多消費・高汚染・生産能力過剰業種への貸出を厳格に抑制する。

差別化した不動産融資政策をしっかり執行し、不動産市場の健全で平穏な発展を促進する。金融機関へのリスク提示を強化し、地方融資プラットホームへの貸出リスク管理を強化する。マクロの周到かつ慎重な管理の制度枠組みの確立・整備を模索し、その景気サイクルを超えた逆方向への調節機能を発揮させる。銀行の資本制約・流動性に重要な影響を与えるシステム上の要求について検討・強化し、金融システムの安定を維持し、システミックリスクを防止し、経済発展に対し金融が持続的に支援する能力を増強する。

③金利市場化改革を段階的に推進し、人民元レート形成メカニズムを整備する
 マネー市場の基準金利体系の建設を引き続き推進し、科学的な価格決定能力を不断に高め、金利の調節作用を発揮させる。人民元レート形成メカニズム改革の原則に基づき、市場の需給に基づき、通貨バスケットを参考とする管理された変動相場制度を更に整備し、人民元レートの合理的な均衡水準での基本的安定を維持する。

外為市場の発展を引き続き推進し、為替レートリスクを管理する手段を豊富にする。国境を越えた貿易の人民元決済テストを段階的に推進し、貿易・投資の簡便化を促進し、企業の海外進出を支援する。外貨管理体制改革を引き続き深化させ、資本のバランスのとれた流動を促進し、国境を越えた資本流動の管理を規範化・整備し、違法・異常な資金に対するモニター・管理を強化する。

④金融市場の健全な発展を推進する
 引き続き金融企業改革を深化させ、現代的な金融企業制度を早急に確立する。企業の直接資金調達のルートを更に開拓し、債券市場の発展を加速し、金融デリバティブを豊富にする。非金融企業の借金・資金調達手段の革新を引き続き推進し、中小企業の短期融資券・集合中期手形の発行を更に推進し、中小企業の転換社債発行の可能性を検討し、企業の資産支持手形の発行を検討・推進する。

 このほか、財政政策・産業政策・金融政策の間の協調・組合せを更に強化し、内需の合理的で安定した伸びを維持し、新たなタイプの消費モデルを発展させ、消費のホットスポットを育成し、民間投資の健全な発展を奨励・誘導する。構造調整を積極的に推進し、経済成長が主として投資・輸出の牽引に依存することから、消費・投資・輸出の協調した牽引への転換、主として第2次産業の牽引に依存することから、第1次・第2次・第3次産業の協同による牽引への転換、主として物質・資源の消費増加に依存することから、主として科学技術進歩・労働者の素質向上・管理のイノベーションへの転換、を促進する。

[1]ピークは2008年4月の8.7%である。

[2]このほか、ニンジンサンシチ(人参三七)等の漢方薬の材料、ニンニク、緑豆も高騰している。

[3]ピークは2008年3月の10.1%である。

[4]年間の主たる営業収入が500万元以上の企業。

[5]主な収入の内訳は、国内増値税前年同期比11.2%増、国内消費税58.1%増、営業税38.2%増、企業所得税28.7%増、個人所得税21.5%増、輸入貨物増値税・消費税56.5%増、関税53.5%増、車両購入税63.9%増である。

(2010年5月7,923字)

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