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人民銀行支店長座談会事前予告

中国ビジネスレポート マクロ経済
田中 修

田中 修

有料

2015年8月3日


はじめに
人民銀行は7月28日、8月初めに開催予定の支店長座談会の議論内容を事前公表した。これは異例のことであり、上海株式市場の動揺が背景にあろう。消費者物価がやや上昇傾向にあるなか、金融政策の方向性に基本的変更がないことを事前に明らかにし、市場を沈静化しようとしたものと考えられる。
本稿では、公表内容と、これに対する経済参考報2015年7月29日の解説を紹介する。

1.人民銀行の事前公表内容(7月28日)
人民銀行は慣例により、8月初めに支店長座談会を開催し、現在の内外経済・金融情勢を分析し、下半期の重点政策を検討・手配する。
今年に入り、人民銀行は党中央・国務院の統一的手配に基づき、穏健な金融政策を引き続き実施し、緩和・引締めの適切な度合をさらに重視し、適時・適度に事前調整・微調整を行ってきた。

現在、各政策は秩序立って実施されており、銀行システムの流動性は充足され、マネー・貸出は平穏で比較的速く伸びており、貸出構造は引き続き改善され、金利水準は顕著に低下し、人民元レートは平穏を維持している。
金融政策による実体経済支援の効果は徐々に顕在化しており、主要経済指標は安定化・好転しており、経済構造の転換・グレードアップの特徴が明らかになり、経済運営には積極的な変化が出現している。

成長安定化政策の効果等多様な要因の影響を受けて、最近の物価水準は低レベルで安定傾向にある。その中で個別商品価格に一定の上昇が出現してもいるが、総じて見ると、庶民の物価予想は安定を維持している。
中央銀行は主として総体的な物価水準等のマクロ指標を観察し、下半期なおも穏健な金融政策の方向を堅持し、多様な金融政策手段を柔軟に運用して、流動性の合理的で適切な度合を維持し、マネー・貸出及び社会資金調達規模の合理的な伸びを実現する。資金調達構造・貸出構造を改善・最適化し、合理的均衡水準において人民元レートの基本的安定を維持し、金融市場の予想を安定化し、実体経済が安定化・上昇するよう引き続き支援する。

2.経済参考報2015年7月29日
中央銀行が28日に公表したわずか400字のニュース原稿は、市場に幾重もの波を引き起こした。これは、中央銀行がはじめて、官製ホームページでニュース原稿を公表する方式によって、年中の会議開催を予告したものである。
しかも、「金融市場の予想を安定化」という言葉は、少なからぬ業界関係者によって、金融当局が資本市場にシグナルを発したと解釈された。

注意に値するのは、中央銀行がニュース原稿において、最近の市場がかなり関心を寄せている物価問題に言及していることである。業界関係者の分析によれば、3月中旬以降、豚の価格が強烈な反転上昇の波を迎えており、豚肉価格の前年同月比はCPIの前年同月比とかなり強い関連性がある。このため、豚肉価格の急速な上昇はインフレ期待の反転上昇をもたらし、市場において、金融政策が緩和を取り止めるのではないか、という猜疑心を誘発したのである。
ニュース原稿の「金融市場の予想を安定化し、実体経済が安定化・上昇するよう引き続き支援する」という言い方は、市場の広範な関心を誘発している。

民生証券の李奇霖固定収益チーフ研究員は、次のように述べている。
「これは、最近の資本市場の大幅な変動と無関係とは言い難い。市場の変動幅がかなり大きく、自信が脆弱とみたとき、中央銀行が以前よりも予想の管理を更に重視し、資本市場の安定を維持しようとしたことは明白である。すなわち、中央銀行のニュース原稿公表の前日、上海証券取引所総合指数は8.48%下落し、創業8年来1日での最大の下げ幅となった。

もしCPIが年末に2%にまで上昇すれば、公定実質金利はマイナスとなってしまい、これは利下げの余地がなくなってしまうことを意味する。このため、金融緩和は量をかなめとする可能性がある。①外為ポジションの低下に対しては、長期の流動性供給手段であるSLF(常設貸出ファシリティ)ないし預金準備率引下げを打ち出し、②定性的な再貸出・PSL(担保補充貸出)を含む、方向を定めた金融政策手段の使用を引き続き強化して、成長安定化の政策決定の中に金融政策を入れ込むのである」。

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