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2006年12月12日

記事概要

  2005年12月10日、上海洋山深水港第1期が完成した。上海国際航運中心の中核となる施設だが、コンテナ取扱量は日に日に増加し、1年を待たずに設計基準だった220万TEUを突破し、2006年11月に326.8万TEUに達した。

 

 

1.            概況

 

 2005年12月10日、上海洋山深水港第1期が完成した。上海国際航運中心の中核となる施設だが、コンテナ取扱量は日に日に増加し、1年を待たずに設計基準だった220万TEUを突破し、2006年11月に326.8万TEUに達した。また、国際中継ぎコンテナも3.14万TEUとなっている。この洋山港が上海港全体に果たした役割は大きい。統計によれば、2006年1月~11月まで上海港が取り扱ったコンテナ量は1978.4万TEUで、香港、シンガポールについで全世界3位となった。この間に、洋山港の業務の効率化も確実に進歩し、1時間あたりクレーンが処理できるコンテナの量は35個、トラック1台当たりにかかる時間が25分以内と現在の外高橋港区以上のスピードを実現した。

 一方で、洋山港は杭州湾に浮かぶ島であるため、心配された天候による影響も、実際には予想範囲以下で収まっている。公表されたデータによれば、天候によって作業が実際に中止となった時間は年間で51時間、作業が延長された時間は年間で54.5日間とされており、予想より少なかったようだ。

 そして、開港から1年後の2006年12月10日、上海市洋山深山港区第2期工事が完成し、上海市国際航運中心の中核となる施設がまた一歩拡充された。洋山港の第2期は、ちょうど第1期の南東側に隣接する。港の海岸部の長さ1400メートルあり、7万トン~10万トンクラスのコンテナ船が4隻停泊できる。第1期とあわせると、港の海岸部の長さは3000メートルとなり、コンテナが置ける陸地面積も、これまでの87万平方メートルから140万平方メートルに一気に拡大する。

 

 

表1  洋山港の1年

 

2005年12月10日 上海洋山深水港第1期が完成。中国で初めての洋山保税区となる。東海大橋、港区、芦潮港関連施設など3つの部分から構成される。5隻の7万~10万トンのコンテナ船が停泊可能。設計取り扱い貨物量は年間220万TEU。
2006年5月1日 洋山港の貨物取扱量が100万TEUを突破。
2006年11月10日 上海芦潮港鉄路コンテナセンターが完成。中国で初めて鉄道と連動した港となった。
2006年12月6日 洋山港区情報センターが開通。電話番号38280888で、洋山港の天気、交通、業務などの情報を入手できるシステムを導入。
2006年12月10日 洋山港第2期工事が完成し、供用開始。9隻のコンテナ船が接岸可能に。また、上海港全体でコンテナ取扱量が2000万TEU突破間近に。

 

表2 洋山港第1期~第3期

第1期 1600メートルの海岸線、5隻のコンテナ船の停泊が可能

210万TEU

第2期 1400メートルの海岸線 4隻のコンテナ船の停泊が可能

210万TEU 一度に2個のコンテナを運べるクレーンを16台設置

第3期 2650メートルの海岸線 7隻のコンテナ船の停泊が可能

最大水深が20メートルあるため、10万トン~15万トンのコンテナ船の停泊も実現する 2010年までに完成予定。投資額150億人民元

 

2.            洋山港周辺の港も貨物取扱量が増える

 

 上海港の今年のコンテナ取扱量は前年比20%の増加となっているなかで、上海周辺の港も軒並みコンテナ取扱量を増やしている。一時は、競合する懸念があったが、たとえば寧波港では、前年比40%の増加となっている。長江デルタエリアの貨物ネットワークが形成されつつあるといえよう。それにあわせて、長江沿岸の都市も、貨物取扱量を増やしている。中心となっているのは、重慶・宜昌・城陵磯・九江・蕪湖・南京・鎮江・蘇州・南通などの各都市の港だ。結果、上海洋山港を中心として、荷物の積み替えを行い、長江のネットワークを利用して、各地にコンテナを運ぶ仕組みが徐々に整いつつある。

 

3.            洋山港で行われている新しい試み

 

 まず、コンテナの中身の検査で、係員がコンテナの中に入らなくても、外部からスキャンすることで、中身が分かるシステムを導入し、コスト削減と作業の効率化を達成した。また、保税区の通関や検疫においても、これまでは国際船舶の場合、海事部門に7日前に申請する必要があったが、新しいシステムでは、3日前の申請が可能になった。さらに利便性を高めるために、現在「国際航行船舶報検所」の設置の準備を行っていて、24時間いつでも船舶の通関・検疫が行えるようにする。

 さらに、これまで通関手続きをする際に、市民が多くの部門に一つ一つ申請書を提出しなければならなかったところを、1箇所に申請書を提出することにより、税関や検査に必要な手続きを済ましてしまうことができるようになった。また、毎回提出する必要がある書類に関しては、一度原文を提出して登録しておけば、検査機関が書類を登録したという証明書でもってチェックできるシステムを導入した。これにより、毎回多量の文書を持ち歩く必要がなくなった。

 洋山港は、中国ではじめて「口岸制限区域」を明確に設定した港でもある。この制限区域内では、車両・人ともども通行証がなければ出入りできない。また、船員などの管理を簡素化するため、船員はあらかじめ登録しておいた声や容姿をもとに、ゲートに設置した機械から出入りを管理して船から陸上に上がれるシステムも開発して、2007年度から実用化されることが決まった。その結果、船員の乗船・下船が効率的に管理されることになる。

 

 第2期が完成したことにより、この洋山港の上海市国際航運中心としての骨組みの基礎がほぼ完成したことになる。さらに、第3期の開発に向けて、すでに工事が始まっているが、すでに世界各国の港岸投資会社から、投資の申し出が来ているという。現在、第3期のプロジェクトは、中外合作方式で進められることになっている。建設エリアは、洋山港の中でも、最も港としての条件が整っているエリアで、7隻のコンテナ船が接岸することができる規模。2010年までには完成させたいとしている。 洋山港の全体構想では、2012年までに1500万TEUのコンテナ取扱量を目指す。

 

 東海大橋をわたって、洋山港を目指す観光客も最近増えつつあるという。それだけに、今後観光開発を含めた、島全体の整備も進める計画で、近い将来に喫茶店なども島に作られる見込みだ。(2006年12月記・2709字)

 

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ビジネスコンテンツ:http://www2.explore.ne.jp/business/sbi2/article.php?article=2880

一般コンテンツ:http://www.explore.ne.jp/feature/yangshan.html

 

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