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ログイン2007年5月21日
2007年4月27日に全国省エネ・汚染物質排出減テレビ電話会議が開催されたが、その前日、国家発展・改革委員会は経済の現状と今後取るべき政策について、集中的に見解を公表している。この概要を紹介しておきたい。
はじめに
2007年4月27日に全国省エネ・汚染物質排出減テレビ電話会議が開催されたが、その前日、国家発展・改革委員会は経済の現状と今後取るべき政策について、集中的に見解を公表している。この概要を紹介しておきたい。
1.経済構造調整と成長方式の転換を加速しなければならない(人民網2007年4月26日)
1.1 経済運営において、現在関心を払うべき問題
(1)工業生産の伸びが大きいうえに加速しており、経済の平穏な運営を維持することの困難が増している
一定規模以上の工業が連続4年16%以上の伸びを維持しているうえに、2007年1-3月期の工業生産は前年同期比で18.3%増加し、伸びは1.6ポイント加速しており、ここ10年の1-3月期では最高水準となっている。工業使用電力量は前年同期比で16.8%増加しており、伸びは5.5ポイント加速している。
工業のかなり速い伸びを牽引している要因としては、工業化・都市化の加速推進と消費構造の急速な高度化という長期的要因があるばかりでなく、現在内外市場の需要が旺盛であり、電力・資金供給がかなり緩和されているという短期的要因があり、貸出の伸びがかなり速く、貿易黒字が引き続き増加し、固定資産投資に反動増の圧力が存在するといった問題が工業領域に存在することを一定程度反映している。
もし工業生産速度が引き続き加速するならば、国民経済の総体が加速するのみならず、エネルギー・資源を過度に消費し、汚染の排出を増加させ、構造調整の難度を高めることにより、経済の安定的な成長は更に大きなプレッシャーに直面することになり、経済運営に大きな起伏が出現する可能性がある。
(2)一部のエネルギー多消費業種の成長が速すぎ、省エネ・汚染物質排出減の情勢が峻厳になっている
推計によると、鉄鋼、非鉄金属、化学工業、電力、石油加工・コークス、建材等の6つのエネルギー多消費業種の付加価値が一定規模以上の工業に占める割合は、33%前後であり、電力使用量では工業の64%前後を占め、エネルギー消費は工業の70%前後を占めている。
これらの業種は、省エネ・省資源を展開し、省エネ・汚染物質排出減の全体目標を達成するうえでの重点対象となっている。1-3月期、これら6業種の付加価値は前年同期比20.6%増加し、一定規模以上の工業の伸びよりも2.3ポイント速く、電力使用量は18.2%増であり、工業の電力使用量より1.4ポイント速い。一部のエネルギー多消費産品の輸出も増加傾向を示している。
もしこの傾向が抑制できないならば、本年の全国省エネ・汚染物質排出減のノルマ達成に、かなり不利な影響を生み出すことになる。
(3)局部的・時期的な石炭・電力・石油・運輸の逼迫はなお存在する
石炭・電力・石油・運輸の需給は総体として均衡に向かっているが、1-3月期、なお12の省クラスの電力網で電力の短時間の逼迫あるいは電力制限の状況が出現した。4-6月期になると、工業生産は旺盛な時期に入るため、石炭・電力・石油製品(とりわけディーゼル油)の安定供給にはなおプレッシャーが存在する。鉄道輸送は総体として依然逼迫しており、特に西北、西南、華中、東北地方の運輸の問題はかなり際立っている。
このほか、近年異常気象が増加する傾向にあり、エネルギー・交通の正常な生産供給にも一定の影響をもたらしている。
1.2 経済運営を調節する各種施策を真剣に実施しなければならない
2007年以来、わが国経済発展の内外環境は依然かなり有利であり、地方・企業の発展を加速したいという願望もかなり強烈である。このような状況下、科学的発展観を更に深く実施し、中央の各種方針・政策を真剣に貫徹し、施策の重点を経済構造調整と成長方式の転換におき、経済運営の各種施策をしっかり行わなければならない。
(1)経済の良好で速い発展の実現に努める
引き続き、マクロ・コントロールを強化・改善し、政策の連続性・安定性を維持する。経済運営中に出現した新状況・新問題に基づき、経済・法律手段を主とした総合的措置をタイムリーに採用し、経済のかなり速い(発展)が過熱に転ずることを防止し、経済の平穏でかなり速い成長の勢いを可能な限り持続させる。
(2)引き続き重点業種の構造調整を推進する
有力な措置を採用し、エネルギー多消費産品の速すぎる成長の勢いを断固として抑制する。市場参入許可基準を整備し、産品技術の規範と使用基準を引き上げ、劣後した生産能力の淘汰を加速する。エネルギー多消費産品の輸出を制限する各種政策措置をできるだけ早く実施する。差別的な電力価格政策を更に整備し、監督・検査を強化し、各地が独自に行っている、エネルギー多消費産品の発展を優遇電力価格で支援する措置を禁止する。優位な企業が地域・業種を超えて合併・再編を実現することを推進する。
(3)省エネ・汚染物質排出減の施策を適切に強化する
省エネ・汚染物質排出減を促進する関連政策を早急に打ち出し、重大省エネ・プロジェクトの建設をしっかり行い、先進的な省エネ・汚染物質技術を積極的に普及させ、資源の総合利用と循環経済のテストを支援する。電力の需要サイドの管理を強化し、先進的な節電とピークをずらす技術の普及に力を入れ、電力網の負荷率と電気エネルギーの使用効率を高める。エネルギー・資源の需給構造を改善し、循環経済・総合利用・省エネ・汚染物質排出減をうまく行っている企業に対し、限りある資源・輸送力を優先的に振り向ける。
(4)成長方式の転換推進に力を入れる
生産的サービス業の発展に力を入れる。生産製造企業が生産加工セクションから自主研究開発・ブランドのマーケッティング等のサービスセクションへと延伸を図り、資源消費を低下させ、産品の付加価値を高めることを奨励する。現代物流業の発展に力を入れ、製造業と物流業の相互融合・連携発展を推進する。国家の産業政策に符合した中小企業の速やかな発展を支援する。
(5)石炭・電力・石油・運輸等経済運営を保障する要因をうまく協調させる
エネルギー供給が緩和傾向にあり、一部の地域・時期でなおかなり逼迫している現状に対し、焦点を定めた経済運営を強化する。生産要素配置を改善するプロセスにおいて、クリーンな生産・節約生産・循環経済・持続可能な発展を重点的に支援する。石炭企業が市場の変化に基づき生産量を調整するよう誘導し、電力がピークを迎える夏への各種準備活動を早めにしっかりと行い、夏季農繁期の農機具用ディーゼル油の安定的供給を確保する。重点地域の輸送力の割当を強化し、重点物資の輸送需要の保障に努める。各種緊急対応プランを整備し、天候災害等突発的な事件への準備をしっかり行う。
2.エネルギー多消費業種の速すぎる成長を抑制しなければならない(人民網2007年4月26日)
2.1 2007年以降のエネルギー多消費産品の生産の伸びが速すぎるという問題を高度に重視しなければならない
(1)一部の業種産品の生産の伸びが速すぎる
1-3月期は次のようになっている。
①粗鋼:生産1億1470万トン、前年同期比22.3%増、伸び率前年同期比4.7ポイント増
②電解アルミ:同277万トン、 同 36.6%増、 同 18.2ポイント増
③酸化アルミ:同428万トン、 同 53.7%増、 同 8.4ポイント増
④鉄合金: 同357万トン、 同 44.4%増、 同 28.2ポイント増
⑤コークス:同7301万トン、 同 23.7%増、 同 15.5ポイント増
⑥セメント: 同 14.5%増、 同 やや反落
(2)一部のエネルギー多消費産品の輸出が大幅に増加している
1-3月期は次のようになっている。
①鋼材: 輸出1413万トン、前年同期比120%増
②ビレット:同178万トン、 同 98.1%増
③コークス:同365万トン、 同 20%増
④鉄合金: 同75万トン、 同 70%増
(3)投資の反動増の圧力が増大している
電解アルミ産業の投資反動増圧力が増している。一時期かなり低かった酸化アルミの価格が電解アルミのコストを引き下げ、加えて電力供給の逼迫局面が緩和したため、2005-2006年初に建設された電解アルミの生産能力が続々と生産を開始し、アルミ精錬の投資までもが強力に反動増となり1-3月期前年同期比49.3%増となった。
セメント産業の投資の伸びもかなり大きく、1-3月期は39.4%増となった。とくに注意すべきことは、一部の地域が規定に違反しエネルギー多消費・高汚染企業に対して優遇政策を実施し、資本を呼び込んでいることである。この現象は断固として制止しなければならない。
(4)一部地域の劣後した生産能力の退出が緩慢である
一部の地域の劣後した生産能力の企業が利潤を片面的に追求し、運営コストを引き下げるために、環境保全施設を建設あるいは稼動していない。不正確な政治業績観及び退出メカニズムの未確立等の多方面の要因の影響を受け、一部の地方は劣後した生産能力の淘汰に積極的ではなく、劣後した生産能力の退出が緩慢となっている。
(5)資源のボトルネックの制約が更に際立っている
近年鉄鉱石の輸入が大幅に増加し、2006年、国内製鉄所が必要とする鉄鉱石の対外依存度は50%を超えた。国内の酸化アルミの生産量が大幅に増加したことにより、ボーキサイトの需要が急激に増加し、ボーキサイトを過度に採掘する局面が出現し、ボーキサイトの輸入価格も倍増している。銅鉱資源の逼迫も激化しており、多くの精錬企業がその日暮らしとなり、産業の利潤が過度に鉱山に集中している。前2ヶ月、銅鉱山の採掘業の実現した利潤は前年同期比176.7%増となった。銅精鉱の輸入量は前年同期比23.1%増となり、金額では81.2%増となった。
2.2 エネルギー多消費産品の速すぎる成長を断固として抑制しなければならない
現在、1年を通じたマクロ・コントロールの重点の1つは、エネルギー多消費産品の速すぎる成長を抑制することである。有力な措置を採用し、投資規模を厳格に抑制し、エネルギー多消費・高汚染・資源性の産品の大量輸出を抑制しなければならない。
(1)産業政策を貫徹実施し、産業構造調整を積極的に推進する
循環経済の発展を支援し、産品構造を調整し、企業が経済手段を通じて連合再編することを奨励する。川上・川下の企業が国際競争力を有する企業集団を形成することを支援し、優位な部分を互いに補わせ、産業の集中度を高める。生産能力の配置を改善し、一部の地域における生産能力の短期的に速すぎる成長を抑制する。
(2)業種の参入許可管理を強化し、劣後した生産能力の淘汰を加速する
市場参入許可条件を厳格に執行する。新規・拡張プロジェクトについて、関係部門が投資管理・環境評価・土地供給・融資・電力供給等の審査を行う際には、参入許可条件に基づき厳格に検査しなければならない。同時に公告制度を厳格に実施し、参入許可条件に符合した企業に対して予め公告を行い、動態管理を実施する。
劣後した生産能力の淘汰を加速する。各地方及び関係部門は劣後した生産能力の淘汰を督促・推進することに引き続き力を入れ、既に明白に淘汰を指示している小鉄鋼・コークス等の劣後した生産能力を断固として淘汰し、自焙槽による電解アルミの生産能力の再稼動を杜絶する。劣後したセメント生産能力の数量化指標を早急に制定し、閉鎖する企業と淘汰する生産ラインの具体的リストを提出し、適切に実行可能な劣後した生産能力の淘汰実施方案を制定し、責任をもって実施しなければならない。セメント生産許可証の交換発行実施細則、セメント工業汚染物質排出基準を厳格に実施し、劣後した生産能力を速やかに淘汰しなければならない。
同時に、劣後した生産能力の退出メカニズムを積極的に研究・確立し、劣後した生産能力の淘汰と産業構造の改善を確保する。
(3)エネルギー多消費業種の投資反動増を厳格に防止する
減免税等の各種優遇政策により資本を誘致し、盲目的にエネルギー多消費プロジェクトを新たに立ち上げることを厳禁する。各地方は、規定に違反し自ら提供したエネルギー多消費産業を発展させるための土地・税制・電力価格等の面での優遇政策を整理しなければならず、その事実を確認したら直ちに取り消さなければならない。もし取消を拒むようであれば、通報するとともにメディアに暴露しなければならない。
まだ許可が降りず、産業政策・参入許可基準・配置計画に符合せず、法に基づく土地使用手続きがなされておらず、必要な環境影響報告書が報告されていない酸化アルミ・電解アルミのプロジェクトについては、一律に建設を停止する。建設予定の酸化アルミ・電解アルミのプロジェクトで配置計画に符合しないものは、一律に着工不許可とする。
建設中の銅精錬プロジェクトの整理を強化し、銅精錬の盲目的投資の傾向を抑制する。産業政策と土地・融資政策の協調・組合せを強化し、国家の産業政策・市場参入許可条件に符合しない各種プロジェクトに対しては融資支援を提供せず、土地・計画・建設・環境保全・安全生産監督管理部門は関連手続きを処理しない。
(4)先進的な適用技術を普及し、省エネ・汚染物質排出減の活動を促進する
差別的な電力価格政策を整備実施し、等級差を拡大し、奨励・制限・淘汰の分類基準に厳格に基づいて執行する。差別的汚染物質排出費用・差別的水価格等の経済措置を研究実行し、劣後した生産能力ができるだけ速やかに市場を退出することを促進する。
乾式セメント窯の余熱発電プロジェクトと、工業廃棄物・ゴミを協同処理・利用してセメントを生産する技術を発展させる。鉱熱炉低圧補償技術等を普及する。電解アルミ企業は大型預焙槽に水蒸気を加える浄化システムの採用を普及させ、フッ素化合物等の汚染物質の排出を減少させる。
(5)輸出入政策を整備し、エネルギー多消費・高汚染・資源性の産品輸出を厳格に抑制する
エネルギー多消費・高汚染・資源性の産品輸出抑制に関する政策措置を更に研究し、輸出還付税率を徐々に引き下げ、輸出監督管理を強化し、一次加工産品の輸出還付税率を更に引き下げる。
(6)鉱産資源を合理的に開発利用する
国内資源を合理的に開発利用し、鉱産資源開発の秩序規範化と整理を結びつける。環境を破壊し、安全生産条件を具備しない鉱山企業を閉鎖する。低品質の資源を利用する技術を開発する。資源開発利用計画をしっかり行い、産業構造調整を促進し、経済の持続可能な発展を促進する。
(2007年5月18日記・5,763字)
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