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インフレ・経済過熱防止の諸施策(2)

中国ビジネスレポート マクロ経済
田中 修

田中 修

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2008年2月14日

記事概要

 2007年12月20日、人民銀行は21日からの利上げを発表した。2007年に入って6回目の利上げである。本稿ではその前後の状況と今回利上げの特徴を紹介したい。

インフレ・経済過熱防止の諸施策(2)

 

田中  修

 

はじめに

 2007年12月20日、人民銀行は21日からの利上げを発表した。2007年に入って6回目の利上げである。本稿ではその前後の状況と今回利上げの特徴を紹介したい。

 

1.住宅価格

 

 11月の全国70大中都市の建物販売価格は前年同期比10.5%の上昇となった。うち、新たに建設された分譲住宅は12.2%の上昇となっており、上昇幅の大きい都市は、ウルムチ21.1%、寧波18.8%、北海18.3%、北京17.4%、長沙17.2%、深圳17.0%、杭州16.7%、南寧16.1%である(証券時報2007年12月21日)。

 他方で、不動産市場の過熱がターニング・ポイントを迎えたのではないかとの見方も強まってきている。12月17日には不動産会社の株価が大きく下がったが、社会科学院金融研究所の尹中立副主任は「不動産株の下落は、不動産市場にターニング・ポイントが出現した可能性が非常に大きい。分譲住宅の市場価格に比べ、上場不動産会社の株は将来の不動産市場の全体状況をより反映できるからである」と指摘している(北京晨報2007年12月18日)。

10月に入り、広州の住宅価格の上昇は緩やかになり、深圳では一部値下がりが出ている。北京では上昇が続いているものの、販売面積が減少している。経済参考報が行ったネット調査によると、調査対象の59.23%が不動産市場はターニング・ポイントを迎えたと考えており、69.13%が今は住宅を購入するタイミングではなく、もう少し待つべきと考えており、なおも住宅価格が上昇すると考えている者は18.11%に過ぎなかった。今後1・2年の住宅価格についても、下落が47.56%、急上昇が7.95%、安定的上昇が32.05%となっている(経済参考報2007年12月20日)。

 しかし、北京大学不動産研究所の陳国強所長は、「深圳の住宅価格は今年に入って爆発的に上昇したので、現在調整局面にあるに過ぎず、これをもってターニング・ポイントが出現したと考えることはできない」としており、識者でも見方が分かれている(前述経済参考報)。

 

2.経済に対する関係者の見方

(1)国家発展・改革委員会価格司 曹長慶司長

 新華社のインタビューに対し、次のように答えている(新華社2007年12月13日)。

 「現在の情勢から見て、国際・国内の各種要因を総合的に分析すると、現在の物価総水準の上昇がかなり大きい状況は、なお一定期間持続する可能性がある。

 具体的品目からすると、今回の物価上昇の最も顕著な特徴であり、国際・国内市場に共通した物価上昇の特徴は、食品価格が主だということである。しかも、食品価格は主として農産品価格により決まる。農産品の生産は、自然条件の制約を受けるため周期性がある。わが国の農産品価格の上昇は、一部の農産品の供給不足ないし需給不均衡で説明できる。これには供給を増加すればいいのだが、供給増加には作付け面積の拡大が必要である。もし人々が努力し、天の助けがあれば、1年で需給が緩和する可能性がある。もし、天の助けがなく災害が発生すれば、供給不足はさらに長く続くだろう。豚の生産サイクルは一般に3年であり、母豚を養い生まれた子豚が十分に成長するには16-17ヶ月を要する。このため、農産品の供給を短期間に大量に増加させることは難しい。

 需要面からすると、食品需要は弾力性が低く、価格が上昇したからといって食を減らしたり、食べなかったりするわけにはいかない。豚肉が上昇すれば一定期間食べないことは可能だが、長期間豚肉を食べないことは不可能である。同様に、価格が下がっても多く食べることはできない。このような弾力性の弱い需要の状況下、食品が新たな均衡価格に達するにはなお一定のプロセスを要する」

(2)社会科学院数量技術経済研究所 汪同三所長

 経済参考報の取材に次のように答えている(経済参考報2007年12月20日)。

 「物価上昇の初期の段階では、物価上昇は往々にして特殊あるいは脆弱な部分から始まるのであって、普遍的な上昇からではない。豚肉価格の上昇は導火線に過ぎず、今後豚肉価格が落ち着いても物価上昇は違う形をとって現れるだろう。なぜなら、過去の一時期に累積した物価上昇要因と最近新たに出現した物価上昇要因により、総体物価水準の明らかな上昇を生み出しうる圧力が既に形成されているからだ」

(3)人民銀行貨幣政策委員会 樊綱委員

 12月16日「2008年中国経済情勢解析ハイレベルフォーラム」において次のように発言している(中国証券報2007年12月17日)。

 「米国の経済成長が緩慢になる等の不利な要因が来年の中国の輸出に影響を与えるだろうが、中国はオリンピック年の消費・投資需要が強い勢いを維持しており、外需が弱含みになることによる不利な影響を補うに足る。来年、中国経済は『外冷内熱』の発展環境に直面し、まずは抑制しその後引き上げる局面が現れるのではないかと思う。各国の中央銀行はサブプライムローン危機を救済するため流動性を注入しているが、これによりわが国は更に大きな過剰流動性問題に直面する可能性があり、経済過熱の一層の防止が必要である。

 来年は、米国の経済成長速度は1%前後を維持しよう。米国の経済成長の反落がわが国の輸出に与える影響は有限である。わが国の米国市場への依存度は低下しているからだ。現在、アジア・太平洋地域の内部貿易はわが国の貿易総額の40%以上を占め、米国市場がだめになってもアジア・太平洋市場が安定していさえすれば、輸出に大きな問題が発生することはない。同時に、人民元は対ユーロで切り下がっており、このことによる中国の対欧州への輸出の増加が米国市場を一定程度代替することになろう」

(4)北京大学中国経済研究センター 林毅夫主任

 12月22日に開催された「21世紀中国年会」で次のように語った(北京晨報2007年12月24日)。

 「11月の消費者物価が11年ぶりに最高の伸びを示したことを重視している。16の主要経済部門中、2007年に物価上昇が現れた部門は既に10に達しており、以前より明らかに多い。

 ここ数年わが国に出現した生産能力過剰は、投資・消費・輸出の『三頭立て馬車』による高成長により徐々に解消されつつある。これに伴うインフレ率の上昇により、中国が長年持続してきた『高成長・低インフレ』情勢に既に変化が発生しており、来年中国経済はかなり大きなインフレ圧力に直面することになる。

 金融政策の選択肢としては、利上げが望ましい。預金準備率の引上げにより圧縮されるのは中小企業向け貸出しであり、これは就業・所得分配・内需振興にとって、プラスよりマイナスの作用が大きい。これに対し、金利の調整は投資を減少させ、資産バブルを減少させるので、利上げによるコントロール効果の方がより好ましい。もし金利を迅速に調整することによりプラス金利を維持できなければ、銀行の貯蓄を株式市場・不動産市場に向かわせることになる」

 

3.人民銀行アンケート調査

 人民銀行は第4四半期(11月中下旬)に預金者・企業家・銀行家に対して行ったアンケート結果を公表した。その概要は以下のとおりである。

(1)都市の預金者(人民網2007年12月20日)

①物価

 物価が「高すぎ、耐え難い」と感じている者の割合が47.6%(前年同期比23.2ポイント上昇)と調査を始めて以来の最高値となった。これに対し、3年間優位を占めていた「かなり高いが、我慢しうる」が48.8%となり、前年同期比で15.7ポイント低下した。最近の肉・卵・野菜の価格上昇が庶民の生活に少なからぬ影響を与えている。

 また来年も物価が引き続き上昇すると答えた者は64.8%(前年同期比14ポイント上昇)と、これも歴史的最高値となった。

②預金金利

 預金金利の水準が「適度」と答えた者は第2四半期から増加傾向にあり、46.3%(第1四半期は39.6%)と調査を始めて以来の最高水準になった。

 預金金利の引上げと最近の株式市場の動揺・調整により、「更に多く預金する」と答えた者は30.2%となり、4四半期連続の低下傾向を脱し第3四半期より4.9ポイント上昇した。

③株

 株を買いたいと答える者は急速に減少しており、35.8%と第3四半期より8.5ポイント低下した。

 最も主要な金融資産が株だと答えた者は、第2四半期の12.8%をピークに下降に転じ、9.8%にまで下がった。家庭の最も主要な金融資産が「ファンド」と答えた者は、第3四半期の25.4%をピークに、25.0%にまで下がった。

④住宅

 住宅を購入したいと答えた者は第3四半期より0.1ポイント低下し、歴史的に2番目に低い水準となった。庶民の住宅購入意欲は2005年末以来7四半期連続低下しており、第3四半期に上向いたが、今期は上昇の勢いを維持していない。

 調査の対象となった7の大都市では、広州と重慶以外いずれも第3四半期より低下しており、北京が7ポイント低下、天津が3.5ポイント低下と下落幅が顕著である。所得構造で見ると、中低所得家庭の住宅購入意欲は住宅価格の不断の上昇に伴い低下しているが、高所得家庭はなおもかなり強い住宅購入意欲をもっている。

(2)企業家(人民網2007年12月20日)

①マクロ経済動向

 第4四半期においてマクロ経済が「かなり熱している」と回答した企業家は21.6%(第3四半期21.1%)であり、1993年の経済過熱期の22%の水準に接近し、史上2番目の高い数値となっている。

②物価上昇

 39.8%の企業家が生産財価格が上昇していると判断しており、これは1997年以来の最高値となった。うち、42.9%の企業家が原材料購入価格が上昇していると感じており、19.0%が販売価格を上昇させている。大多数の企業は製品販売価格にコスト上昇を転嫁させることに慎重な態度を維持している。

これを業種別にみると、販売価格を上昇させていないのが競争力を有する業種であるのに対し、上昇させている割合がかなり高いのは、石油加工・コークス業、石油天然ガス採掘業、鉄合金精錬・加工業といった独占業種である。

③固定資産投資

 2004年以降上昇を続けた固定資産投資指数が9.1%と、第3四半期より0.5ポイント低下した。2008年度第1四半期見込みについても3.2%と大きく低下している。

 これを業種別に見ると、過半の業種の固定資産投資指数が低下している。その中でも低下がかなり大きいのは主として、石油天然ガス採掘業、鉄合金精錬・加工業、金属鉱業、非鉄金属鉱業等のエネルギー多消費・高汚染業種であり、これは国家のマクロ・コントロール政策が現れてきていることを説明している。

④経営状況

 39.5%の企業家が企業の総体的な経営状況を「良好」と回答しており、調査以来最高水準となった。他方で、25.1%の企業家が銀行融資が「かなり厳しい」と感じており(第3四半期より3.5ポイント上昇)、ここ2年で最高水準となった。同時に、企業の支払能力が「かなり強い」と答えた者は31.0%と、第3四半期より1.4ポイント低下した。

⑤電力・エネルギー・原材料の供給状況

 電力供給が「充足している」と回答した企業家は32.8%(第3四半期より1.2ポイント上昇)であったが、エネルギー供給が「充足している」と回答した者は26.6%(同0.6ポイント低下)、原材料供給が「充足している」と回答した者は22.4%(同1.3ポイント低下)と下降した。2008年についても、企業家はエネルギー・原材料供給を楽観していない。

(3)銀行家(第一財経日報2007年12月21日)

①マクロ経済

 81.3%の銀行家は、マクロ経済動向が「かなり熱している」と感じており(史上2番目の高さ、最高は第3四半期)、7割の者が2008年第1四半期の経済動向は引き続きかなり熱した傾向にあると考えているが、うち下半期に経済動向が「過熱」となると考える者は5.8%に過ぎなかった。

②金融政策

 金融政策が「適度である」と回答した銀行家は37.5%と史上最低水準であり、「かなり締まっている」と回答した者は54.0%(第3四半期より17.3ポイント上昇)と、2四半期連続大幅に上昇し、史上最高水準となった。また6割近くの者が利上げの継続を予想している。

 

4.利上げ

 12月20日、人民銀行は21日から利上げを行うことを発表した。この結果、1年物預金基準金利は0.27ポイント引き上げられ4.14%となり、1年物貸出基準金利は0.18ポイント引き上げられ7.47%となった。

 

 4.1 今回の利上げの特徴

 今回の利上げは、従来よりやや複雑な構造となっており、その政策的インプリケーションを解説しておきたい。

(1)預金金利と貸出金利の引上げに差

 1年物について言えば、預金金利が0.27ポイント引き上げたのに対し、貸出金利は0.18ポイントと引上げ幅が低く抑えられている。これは、過去の利上げでも何度か見られたものである。

 この理由としては、企業の利子負担を急速に増加させることによる経済の急速な冷え込みを回避するため、という見方が一般的である(人民日報2007年12月21日)。だが、預貸金利差を縮小することにより商業銀行の貸出衝動を抑制し、加えて2008年から商業銀行の貸出実行指標をコントロールすることにより(5.参照)、2008年の貸出規模を有効に抑制するため、との指摘もある(第一財経日報2007年12月21日、証券時報同日)。筆者は後者の目的が強いのではないかと考えている。

(2)5年以上の貸出と個人住宅公的積立金の貸出金利は変更しない

 証券時報2007年12月21日は、「自ら居住する住宅購入者にとって、2007年の5回の利上げの効果が2008年元旦後に集中的に現れる。これは、ミクロ面では、『住宅債務奴隷』達にかなり大きな経済的プレッシャーを与えることになり、甚だしきは理性的な住宅購入需要をも抑圧する可能性がある。マクロ面では、銀行システム内に全体的な金融リスクを形成し、社会に不安をもたらす可能性がある。5年の貸出金利を不変に維持したことは、住宅ローンによる住宅購入者達に更にマイナス影響を与えることを避け、社会の情緒を安定化する」としている。

 また、社会科学院金融研究所マネー理論・金融政策研究室の彭興韵主任も、「現在一部の地域の不動産市場は既に反転しており、成約量が縮小している。もし長期貸出金利を更に引き上げたならば、不動産市場に比較的大きな衝撃を生み出すことになる」と指摘している(第一財経日報2007年12月21日)。

 政策当局は急激な利上げにより不動産バブルが一気に崩壊し、銀行の不良債権が顕在化することを恐れ、不動産価格については現状維持に止めておきたいように見える。特にサブプライムローン問題が深刻化して以降は、その傾向が強まっているように見受けられる。

(3)当座預金の金利を引き下げ、1年内の金利を大きく引き上げる

 当座預金の金利は0.09ポイント引き下げ0.72%となったが、3ヶ月定期は0.45ポイント引き上げ3.33%に、半年定期は0.36ポイント引き上げ3.78%になっている。

 この点につき人民銀行の責任者は「個人等の各種経済主体が短期定期に更に多くの金を預け、預金の流動性を維持すると同時に、早期により多くの収益を得ることができるようになり、物価上昇への対応力を高めることになる」と説明している(人民網2007年12月20日)。

 業界関係者によれば、現在当座預金が企業預金・個人預金に占める比重は、それぞれ66.1%、37.6%である(人民日報2007年12月21日)。今回の利上げ前は、大量の銀行預金が株式市場・不動産市場に流出しており、中央銀行はこれを資産価格の押し上げと投機の原因と見ていた。これらの資金は銀行システムの中で大部分が当座預金の形式で存在していたのである。今回の措置により、一部の資金は安定化し銀行システムに還流するようになり、異なる市場間を大量の資金が流動することによる衝撃を避けることができるようになると期待されている(証券時報2007年12月21日)。当座預金の資金を株式市場・不動産市場から短期定期預金に誘導しようというわけである。

 また、社会科学院金融研究所の彭興韵主任は、「当座預金金利の引下げは、一定程度銀行部門の利益を保護することができる」と指摘している(第一財経日報2007年12月21日)。

 

 4.2 その他の論点

(1)中米金利差

 今回の利上げは、米国の利下げにより中米の金利差が縮小するなかで行われた。周小川人民銀行行長は以前に「中国の消費者物価の上昇とFRBの金利調整は、中国の金融政策に『小さくない影響』を生んでいる」と語っており、中米金利差が無くなることによりホットマネーの一層の流入が懸念されていたのである[1]

 この点につき、社会科学院世界経済・政治研究所の余永定所長は、「ここ数年の実践により明らかなことは、中米金利差とホットマネーの流入の間の関係は決して密接ではないということである。金利差が縮小し、人民元の小幅な切上げが予想されたとしても、大量の海外資金の流入を引き起こすには不十分である。海外資金の流入は、中国の不動産・株式市場において20%、30%甚だしきは更に高い収益を追い求めている可能性が高い。したがって、金利差を維持する効果は決して大きくない。現在、わが国の資産価格は既に低くはなく、海外資金にとって一定のリスクがあるので、金利差が縮小しても大量の海外資金を吸引することはない。わが国はなお利上げの余地があり、中米金利差を重視しすぎる必要はない」と指摘する(人民日報2007年12月21日)。

また北京大学の林毅夫教授も「中国の資本勘定は開放されておらず、人民元は自由に兌換ができないので、海外の投機家は10%前後の取引コストに直面している。現在の中米金利差は、ホットマネーを吸引するにはなお不十分である」とする(北京晨報2007年12月24日)。

(2)株式市場への影響(人民日報2007年12月21日)

 市場関係者は、利上げは12月14日と予想していたので、それを過ぎた後は年内には利上げはないと思っていた者が多く、今回の利上げは予想外だったようである。とはいえ、これまでも利上げによるマイナス影響はそれほど大きくはなかったため、多数の投資家は楽観している。

ただ、年末前の株式市場が資金面でかなり逼迫すると予想する向きもある。1年以内の定期預金金利を大幅に引き上げたことにより、一部の株式市場の資金が吸引される可能性があるからである。また、今回の利上げは銀行の収益に影響を与えるため、最近の不動産株の下落に続き、今度は銀行株が下落する可能性を指摘する専門家もいる。

 

5.2008年の貸出監督

 上海証券報2007年12月21日によれば、現在監督管理部門は内資・外資銀行の貸出部門関係者を集め会議を開き、自己の政策を徹底させているという。その内容は、おおむね次のとおりである。

①2008年の貸出総限度額はすでに確定されており、今後各商業銀行に配分される。

②各商業銀行は、四半期ごとに自行の貸出の進捗状況を統一的に企画する。各四半期の進度はおおむね、35%、30%、25%、10%とする。各行は貸出進度表を策定後、中央銀行に報告しなければならない。

③2008年の貸出の伸びは、基調として2007年の伸び(15%)を超えてはならない。

④もし、商業銀行が各四半期に当該四半期計画額を超えて貸出を行った場合には、多くの厳格過酷な処罰を科す[2]

 

6.中央銀行貨幣政策委員会第4四半期例会

 人民網北京電2007年12月21日によれば、次の内容が議論された。

(1)基本方針

 科学的発展観を引き続き深く貫徹実施し、各種マクロ・コントロール政策を整備・実施し、経済成長がかなり速い(状態)から過熱に転ずることを防止し、物価が構造的な上昇から明らかなインフレに転ずることを防止して、国民経済の良好で速い発展を実現しなければならない。

 同時に、構造調整を進行することの緊迫性を十分認識し、金融政策と財政・産業・対外貿易・金融監督管理等の政策との協調的組合せを更に強化し、構造調整の歩みを加速し、国際収支の基本的な均衡化を促進しなければならない。

(2)今後の金融政策

 中央経済工作会議の精神を断固として貫徹し、多様な手段を採用して引締め気味の金融政策を実施する。

 引き続き有力な措置を採用して、流動性管理を強化し、金融機関への指導を強化し、貸出の速すぎる伸びを抑制しなければならない。同時に、貸出構造を更に調整・改善し、「三農」・就業・教育支援・中小企業・消費等経済社会発展の脆弱部分への貸出を増加させなければならない。

 引き続き主動性・コントロール可能性・漸進性の原則に基づき、管理された変動相場制度を整備し、市場需給の作用を更に大きく発揮させ、人民元レートの弾力性を増強し、人民元レートの合理的で均衡した水準における基本的安定を維持しなければならない。

 引き続き金融の改革・イノベーションの推進に力を入れ、金融機関の競争力と金融市場の資源配分の効率を高めなければならない。

(2007年12月記 8,236字)


 


[1]  今回の利上げにより1年物預金金利が4.14%となったため、FRB基準金利4.25%とほぼ並び、中米金利差は消失したと市場では見られている(証券時報2007年12月21日)。
[2]  具体的には、中央銀行手形の強制買取、預金準備率の引上げ、罰金などを銀行関係者は予想している。

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