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ログイン2007年2月21日
Ⅲ.国家税務総局
1.全国税務工作会議(2007年1月5日)
謝旭人局長は、2007年の税務行政について次のように指示している(人民日報2007年1月7日)。
(1)増値税
東北地方の一部業種の増値税転換改革のテストの経験を総括し、中部地域の一部都市において増値税改革を推進する。全国に全面実施する方案を更に検討し整備する。
(2)企業所得税
内資・外資企業所得税の統一改革をうまく行い、税法草案の全人代の審議に向けた準備を適切に行う。
(3)個人所得税
総合と分類が結合した個人所得税制度を検討・実施する。
(4)資源税
資源税改革を推進し、石油・天然ガス・石炭資源税の税額計算方法を改善する。
(5)その他の税
a新しい都市土地使用税暫定条例を実施する。
b車船税暫定条例[1]及び実施細則を真剣に貫徹する。
c耕地占用の税制度を整備する。
(6)税制支援
A農業・農村支援政策を強化し、農産品加工の増値税制度を整備し、農業産業化のリーダー企業の発展支援のための税制優遇政策を実施する。
B科学技術の発展を促進し、自主的な創造・革新能力を増強する各種税制政策を制定実施する。
C就職・再就職を促進する税制政策を整備する。
D西部大開発を促進し、東北旧工業基地の振興を支援する税制政策を引き続き実施する。中部興隆を促進する税制政策を実施する。
Eテストを行ったうえで調整後の福祉企業税制政策を全面的に推進する。
F循環経済の発展を支援する税制政策を実施し、不用物資の処理経営、農業副産品加工、資源総合利用等の税制政策の検討・調整をしっかり行う。
G不動産市場へのコントロールを強化する税制政策措置を引き続き検討・整備する。
2.個人所得税収の動向
全国税務工作会議への報告によれば、2006年の全国個人所得税収入は2452.32億元を達成(前年比17.1%、358.41億元増)した。
2006年1月から給与所得控除が800元から1600元に引き上げられたが、当時の財政部の試算では26%の給与所得階層だけが個人所得税を納めることになり、国家財政収入は毎年280億元余り減少すると見られていた。また、国家税務総局は控除引上げにより、個人所得税の納税者が2千万人余り減少すると予想していた。
しかし、予想に反して個人所得税収が伸びた背景として、国家税務総局は次の点を挙げている(新華社北京電2007年1月11日)。
A経済成長の高い伸び
1-9月期の成長率が10.7%となり、都市就業人員が引き続き増加し、一部業種の収益が向上したことにより、平均給与が大幅に上昇し、これが個人所得税収の伸びに有利に働いた[2]。
B申告納税の強化
全額申告活動を全面展開し、山東・湖南・浙江・福建等において、電力・通信・ディベロッパー・建設業等の高所得業種の管理・検査を強化したことにより、税源の流出を有効に防止した。
しかし、今回の給与所得控除引上げ以前から、地方政府は勝手に控除額を引き上げており[3]、2006年の改正は実態を制度が後追いした面が強い。その意味では、大きな減収が発生しなかったのは、それだけ地方の違法の控除額引上げが蔓延していた証左ともいえよう。
Ⅳ.中央農村工作会議(2006年12月22日)
会議では「現代農業を積極的に発展させ、社会主義新農村建設を着実に推進することに関する党中央・国務院の若干の意見」が討論された。
1.農業・農村の抱える問題
会議は、「現在、農業・農村は、長年望まれながらなかなか得がたかった良好な局面が出現しているが、同時に多くの際立った矛盾・問題に直面している」とする。
この具体的中身は明示されていないが、人民日報社説2006年12月25日(以下「社説」)は、「わが国の農業の基礎は脆弱で、装備は劣っており、もっぱら天候頼みの基本的状況は変わっておらず、農民の就業ルートが多くなく増収が困難な基本的局面は変わっていない。都市・農村の経済・社会の発展がアンバランスで格差が拡大する基本情勢も変わっていない」と指摘している。
2.現代農業の建設
会議は「わが国の農業・農村は正に重大かつ深刻な変化が発生しており、農業は正に伝統から現代に転換するカギとなる時期にある」との認識を示し、「新農村建設の第1の任務は現代農業の建設である」とする。
(1)現代農業発展のための全体基本方針・目標
会議は、
a現代的な物質条件により農業を装備し、
b現代的な科学技術により農業を改造し、
c現代的な産業体系により農業をグレード・アップし、
d現代的な経営形式により農業を推進し、
e現代的な発展理念により農業を導き、
f新しいタイプの農民を育成することにより、農業を発展させ、
農業の水利化・機械化・情報化水準を引上げ、土地の産出率を高め、資源の利用率・労働生産性を高め、農業の素質・効率・競争力を高める、としている。
(2)今後一時期の重点施策
会議は次の6点を挙げている。
A現代農業建設への投入を適切に強化する。
「社説」では、「各クラスの政府はインフラ建設と社会事業の発展の重点を適切に農村に振り向け、脆弱部分を強化し、現代農業の施設装備水準を引上げ、農地水利建設に力を入れ、耕地の質を適切に高め、農業の持続的発展能力を高めなければならない」とする。
B食糧生産を高度に重視し、適切にうまく行わなければならない。
C現代農業の産業体系の構築を加速する。
「社説」では、「農業の多様な機能を不断に開発し、健全な養殖業、農産品加工業、特色ある農業の発展を加速し、農業の産業化経営を大いに推進する」としている。
D現代農業のインフラ装備水準の引上げに力を入れる。
E現代農業への科学技術・人材の支えを不断に強化する。
「社説」では、「カギは、農業科学技術の革新を加速し、農業科学技術の成果の転化・応用を加速し、農業の成長への科学技術の貢献度を高める」とともに、「農村の人力資源の優位を発揮し、農村労働者の質を全面的に高める」としている。
F現代農業の市場体系建設を大いに強化する。
「社説」では、「現代農業の発展の要請に適応した物流産業を発展させ、農村の流通インフラ建設を強化し、現代流通方式と新しいタイプの流通業態を発展させ、多元的で多層の市場流通主体を育成し、開放的で統一された秩序ある競争の市場体系を構築しなければならない」とする。
3.農業の成長方式の転換
会議は「現代農業を発展させることは、長期の困難な任務である。現代農業の建設のプロセスとは、即ち伝統農業を改造し、農村の生産力を不断に発展させるプロセスであり、農業の成長方式を転換し、農業の良好で速い発展を促進するプロセスである」とする。
この「農業の成長方式の転換」の中身について「社説」は、「自然資源と生産要素を集約し節約して使用し、面的汚染を減少し、生態環境を保護し、生産手段・生産方式・生産理念の現代化を加速する」としている。
4.3つの「超過」の継続
農業・農村を支援し、恩恵を与えるために、次の3点を指摘している。
A財政による農業・農村支援の投入の増量を、引き続き2006年より高くする。
B国家の固定資産投資を農村に用いる増量を、引き続き2006年より高くする。
C土地の譲渡収入を農村建設に用いる増量を、引き続き2006年より高くする。
5.社会事業の発展等
その他、会議は次の施策を列挙している。
A2007年に、農村義務教育段階の学費・雑費を全国で免除する。
貧困家庭の学生に無料で教科書を提供し、中西部の貧困家庭の寄宿生活補助の基準を引上げ、農村義務教育経費を保障する新たなメカニズムを実施する。
B新型農村合作医療制度を早急に普及させる。
2007年は、全国80%以上の県(市・区)に拡大する。
C都市・農村住民をカバーする社会保障体系の確立を積極的に模索する。
全国範囲で農村最低生活保障制度を確立し、制度が確立されている地域では制度を完備し、制度が未確立の地域では制度を確立する。
Dインフラ建設を強化し、農村総合改革を引き続き深化させ、農村の発展活力を強化する。
「社説」では、農村金融体制、農村流通体制、土地収用制度、林権制度等の改革を統一的に企画・推進する」としている。
また、会議は最後に農村工作への党の指導強化を訴えている。
Ⅳ.商務部
1.全国商務工作会議(2007年1月15日)
(1)薄熙来商務部長講話
A貿易黒字削減を対外貿易発展の筆頭重要事項とする(人民日報2007年1月16日)
a近年来、わが国の貿易黒字がかなり速く伸びており、2004年は420億ドル、2005年は1020億ドル、2006年は1775億ドル近くに達した。貿易黒字が過大であることは、わが国経済運営において際立った問題となっており、対外関係における焦点となっている。貿易黒字と外貨準備が過大であることは、国内経済のバランスのとれた発展に不利になるばかりでなく、対外経済貿易関係の持続的発展にも不利である。このため、科学的発展観を実施し調和のとれた世界を構築するという高度な見地から、貿易黒字削減の重要性を認識しなければならない。貿易黒字削減を2007年の対外貿易発展の筆頭重要事項としてしっかり行い、片面的に輸出規模と貿易黒字を追求することから、輸出の質と貿易の均衡を追求することに転換しなければならない。地方が今後輸出指標を盲目的に下達し、評価基準とすることを止めることを希望する。
b貿易黒字削減を契機に、対外貿易の成長方式を速やかに転換し、有効な措置を断固として採用し、加工貿易政策を整備し、輸出構造を改善するべきである。企業の社会的責任を強化し、資源・エネルギーの消費が多く、労働就業が少なく、総合収益が劣る輸出を適切に抑え込み、水ぶくれをスリム化する。同時に、税制・金融等の促進政策を制定し、先進技術・カギとなる設備等国内発展に必要な産品の輸入を積極的に拡大し、輸出と同様に輸入を重視する。
c貿易黒字削減のプロセスにおいては、国内経済運営とりわけ就業が受ける影響を高度に注視し、貿易・経済発展の基本を傷つけないよう注意しなければならない。国内消費を拡大する等の措置を通じて、貿易黒字削減の不利な影響を最低限にする。強調しておきたい点は、加工貿易はわが国の国情に符合した重要な貿易方式であり、今後とも発展に力を入れなければならず、カギは構造改善であり、内容を充実させることだということである。
B内需拡大を重点とし、あらゆる手段を用いて消費を拡大する(新華社北京電2007年1月15日)
a住民消費の発展の変化を正確に把握し、有効な促進措置を検討・制定する
各クラスの商務部門は、都市・農村の情報モニターシステムを早急に整備し、消費品市場へのモニター・予測を強化し、消費動態を理解し、異なる社会集団の消費の特徴・ルールを把握して、これに的確に対応したコントロールの建議を提出し、生産・流通企業が都市・農村住民の消費需要を満足させる商品・サービスを提供するよう、有効に誘導しなければならない。
b有効な措置を採用し、農村消費を拡大する
多くの村・郷の機能を整備し、その経営範囲を拡大しなければならない。多くの村・郷の企業と工業企業を組織化しドッキングさせ、より直接に商品供給を受けられるようにし、流通段階を減少させ、流通コストを引き下げなければならない。工商が手を携え農門の消費に適合した産品を共同開発しなければならない。商務部門は、企業が農民の需要に的確に適応し、農民が喜ぶような消費品を開発・生産するよう指導しなければならない。条件を積極的に創造し、家電・軽工業紡績産品が農村に行き渡るようにする。
c都市住民の消費を促進する
都市中低所得者を満足させるコミュニティ商業・サービス業を大いに発展させ、商業模範コミュニティの創造・建設を引き続き展開し、庶民が安心して安い食事ができるようにする。条件の整った都市でコミュニティ生鮮食料品スーパーマーケット、コンビニを発展させなければならない。レストラン・旅館・浴場等伝統サービス業のグレ-ド・アップを推進すると同時に、家政・看護・速達・クリーニング等新しいタイプの生活サービス業の発展を加速しなければならない。自動車・建材家具・新型家電等の消費スポット産品の流通システムを整備し、ローンによる消費・賃貸による消費・循環的消費を推進し、消費のグレード・アップを促進しなければならない。
(2)直接投資の動向(人民日報2007年1月16日)
2006年の銀行・保険・証券を含む新設立外資企業は4万1485社、前年比5.76%減、実際に使用した外資金額は694.68億ドル、前年比4.06%減。うち、全国非金融領域の新設立外資企業は4万1473社、前年比5.75%減、実際に使用した外資金額は630.21億ドル、前年比4.47%増。
サービス業の外資吸収は21%増となり、ウエイトは4ポイント高まった。
2.商務部報告(2007年1月15日)
商務部は、自身のサイトで「対外経済貿易の発展は人民元切上げの試練にいかに対応するか」という報告を発表した。これについて東方早報2007年1月16日がそのポイントを次のように紹介している。
(1)人民元切上げの必要性
「人民元の適度な切上げは、長期的観点から対外経済貿易と国民経済の調和のとれた発展に資するものであり、適度な切上げは正に貿易黒字が過大であることに対して行う調整である。漸進的で各利益のバランスをとった切上げ幅こそが、適度な切上げとなる。」
(2)切上げ幅
「2007年末までに、人民元の累計切上げ幅は9-10%に達する可能性がある」
2007年以前の人民元切上げ幅は5%前後であったので、市場は商務部が人民元の4-5%切上げを「容認」していると推論している。商務部はこれまで一貫して年間切上げ3%が商務部の「容認できる上限」と表明しており、貿易黒字削減という「筆頭重要事項」のため、商務部は報告において4-5%という大きな一方を踏み出す「新思考」を打ち出したのである。
重要なことは、これは商務部と中央銀行が人民元切上げ問題について一致をみたことを表明するものだということである。中央銀行は、以前から人民元の切上げ幅は5%以内にコントロールすべきであるとの態度を示していた。
(3)人民元は過小評価されている
「人民元レートは一定の過小評価が存在する。このことは、既に多くの人間の共通認識となっている。人民元レートが過小評価であることは、これを根拠にますます多くの貿易保護主義の脅威を引き起こすばかりでなく、国民経済と対外貿易の持続可能な発展に影響を及ぼす。もし、適度な切上げを行わないならば、長期的にみて、第1に要素価格の歪みがひどくなり、わが国の対外貿易が効率のよい成長へのグレード・アップに悪影響を及ぼす、第2にわが国の経済構造・産業構造を更に不均衡にし、国民の利益を損なう、第3に中央銀行の資金流動性に対するコントロール能力を不断に弱体化させる、第4にホット・マネーが必然的に各種形式で流入し、わが国の不動産市場・株式市場等の領域に波風を起こし、投機による利益獲得が生じる。」
報告は、さらに「人民元が15%過小評価されているとすれば」という論法を提起しつつ、これを一夜のうちにこのような大調整を行うことは許容できないとし、「米ドルは2000年以前には10-40%過大評価されていると認識されていたが、その調整は今日に至ってもまだ完了していない」としている。
商務部は「速すぎて急激な切上げ」には反対しており、報告でも「もし人民元の切上げが速すぎ、幅が大きすぎる場合には、輸出の伸びが大幅に反落ないし低下することになる」としている。(1月21日記・6,388字)
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