こんにちわ、ゲストさん
ログイン2007年2月18日
中国国家統計局によると、2006年中国のGDPは20兆940億元(速報値)に達し、前年比実質伸び率では10.7%と、前年のそれより0.3ポイント上昇した。これで中国経済は4年連続で二桁の成長率を達成したのである(03年は10.0%、04年は10.1%、05年は10.4%)。
中国国家統計局によると、2006年中国のGDPは20兆940億元(速報値)に達し、前年比実質伸び率では10.7%と、前年のそれより0.3ポイント上昇した。これで中国経済は4年連続で二桁の成長率を達成したのである(03年は10.0%、04年は10.1%、05年は10.4%)。
前年と同様、中国経済の高成長を支えている最大の要因は固定資産投資と輸出にほかならなかった。同年全国社会固定資産投資と輸出は前年比それぞれ24%増と27.2%増、前年より両方とも増加率の低下(固定資産投資は2ポイント低下、輸出は1.2ポイン低下)はみられたものの、依然として個人消費の動向を表す社会消費小売総額の伸び率(前年比13.7%増)を上回っている。
国家統計局は、中国経済は今年(2007年)にも高成長を維持できるとの見通しを示したと同時に、中国経済の問題点として、投資と消費とのアンバランス(特に農民の所得増加の不安定)や貿易収支のアンバランス(巨額な貿易黒字)などを指摘している。
本稿では貿易、直接投資受け入れと対外直接投資を中心に、2006年における中国の対外経済活動を総括してみたい。
●貿易総額は1兆7607億ドル、貿易黒字は1775億ドルへ
中国税関統計によると、2006年中国の貿易総額(輸出入合計)は、1兆7606.86億ドルに達し、前年比伸び率で23.8%増と、5年連続20%以上の伸び率を示した。2005年と比べて、2006年の純増分だけで3388億ドルと、10年前の1996年の年間貿易規模(2899億ドル)より17%も多い。
輸出と輸入にわけてみると、輸出は前年比27.2%増の9690.73億ドル、輸入は同19.9%増の7916.14億ドルとなっている。輸出の伸び率は、前年のそれより1.2ポイン低下したのに対して、輸入の伸び率は同2.4ポイント上昇したものの、貿易収支は依然として約1775億ドルの黒字を計上している。この黒字幅は、史上最高のもので、前年(約1019億ドル)より74%も増加した。
商品別にみると、機械・電子製品の輸出額は28.8%増の5494.4億ドル、輸出総額の56.7%を占めている。うちハイテク製品の輸出は29%増の2814.9億ドル、輸出全体より高い伸び率を示している。海外市場で多くの制限措置が採られていたなか、繊維製品の輸出は依然として高い伸び率を達成し、うち服装輸出は951.9億ドル(前年比28.9%増)、織物と同製品は488億ドル(同18.7%増)となっている。
経済の高成長、特に固定資産投資の拡大を背景に、原材料など一次製品の輸入は前年比26.7%増の1871.4億ドルに達し、輸入総額の23.6%を占めている。機械・電子製品の輸入は25.3%増の2189.9億ドル、うち自動車輸入は22.9万台と前年比40.7%も増加した。他方、鋼材輸入は1851万トンと前年比28.3%も減少した。
政府系シンクタンクの予測では、2007年の中国貿易総額は2兆ドルに拡大する見込みである。
●対日貿易総額は初めて2000億ドル台に、中国貿易全体に占めるシェアはさらに低下
2006年、中国の主要貿易相手(ベスト10)との貿易総額はいずれも二桁の伸び率を示した。台湾と貿易総額が1078.44億ドルと、初めて1000億ドル台に乗ったため、1000億ドルを超えた貿易相手は2005年の6カ国・地域から7カ国・地域に増加した(表1)。
中国の貿易相手として、EU(ヨーロッパ連合)、米国と日本は依然としてベスト3にランクされているが、対EUと対米の貿易総額の伸び率(対EUは前年比25.3%増、対米は同24.2%増)がいずれも平均数字を上回ったのに対して、対日貿易の伸び率(前年比12.5%増)は平均水準を下回ったのが注目される。そのため、中国貿易総額に占める対EUと対米貿易のシェアは上昇したのに対して、対日貿易のシェアは低下傾向を続けている(表2)。
中国税関統計によると、2006年の日中貿易総額はEUと米国に次ぐ2073.56億ドルと、初めて2000億ドル台に乗ったが、中国貿易総額に占める日本のシェアは前年の13%から11.8%に低下し、EU(15.5%)、米国(14.9%)との差が拡大した。なかでも中国輸出に占める対日輸出のシェアは、9.5%(2005年は11%)と10%を割って、米国(21%)の45%、EU(18.8%)の半分に相当する。
中国側の統計によると、2006年中国の対日貿易には中国側の赤字は前年の164.6から240.78億ドルに拡大し、対台湾(663.74億ドル)と対韓国(452.52)貿易の赤字に次ぐ規模となっている。ちなみに日本財務省の貿易統計によると、2006年日中貿易総額は24兆5692億円(約2113億ドル)で、日本側は約256億ドルの赤字を計上している。
表1 2006年中国の主要国・地域との貿易額(単位:億ドル)
輸出入 | 輸出 | 輸入 | バランス | |
EU | 2723.02(25.3) | 1819.83(26.6) | 903.19(22.7) | 916.64 |
米国 | 2626.81(24.1) | 2034.72(24.9) | 592.09(21.5) | 1442.63 |
日本 | 2073.56(12.4) | 916.39(9.1) | 1157.17(15.2) | -240.78 |
香港 | 1661.72(21.6) | 1553.85(24.8) | 107.87(-11.8) | 1445.99 |
ASEAN | 1608.40(23.4) | 713.14(28.8) | 895.26(19.4) | -182.12 |
韓国 | 1343.05(20.0) | 445.26(26.8) | 897.79(16.9) | -452.52 |
台湾 | 1078.44(18.2) | 207.35(25.3) | 871.09(16.6) | -663.74 |
世界 | 17606.86(23.8) | 9690.73(27.2) | 7916.14(19.9) | 1774.59 |
注:カッコ内数字は全体に占めるシェア(%)。
資料:中国税関(速報値)。
表2 中国貿易に占める日米欧のシェアの推移(単位:%)
EU | 米国 | 日本 | |
2000 | 14.6 | 15.7 | 17.5 |
2001 | 14.0 | 15.8 | 17.2 |
2002 | 14.0 | 15.7 | 16.4 |
2003 | 14.7 | 14.8 | 15.7 |
2004 | 15.4 | 14.7 | 14.5 |
2005 | 15.3 | 14.9 | 13.0 |
2006 | 15.5 | 14.9 | 11.8 |
注:2004年以降はEU25、それ以前はEU15。
資料:中国税関(2006年は速報)。
1990年代以降、中国とインドとの貿易は急速に拡大してきているが、2006年には中国の貿易相手(輸出入合計)として、インドは初めてベスト10に入った。中国税関統計によると、2006年の中国・インド貿易総額は前年比32.9%増の248.61億ドルに達し、中国貿易総額に占めるシェアは前年の1.3%から1.4%へと上昇し、カナダを抜き、第10位の貿易相手と浮上した。
●直接投資受入れと技術導入
中国商務省の発表によると、2006年中国の外国直接投資受入れは、全業種(銀行・保険・証券を含む)では新規認可件数41485件(前年比5.8%減)、実行投資金額694.68億ドル(4.1%減)、うち非金融分野(銀行、保険、証券を除く)では新規認可件数で41473件(前年比5.8%減)、実行投資金額630.21億ドル(同4.5%増)となっている。
非金融分野(銀行、保険、証券を除く)の直接投資受入れは、昨年(2005年)は前年比0.5%減と6年ぶりのマイナスを記録したが、昨年はプラスに転じたのである。形態別でみると、合弁は143.78億ドルと前年比1.6%減だったのに対して、100%外資は462.81億ドルと同7.7%増となっている。
主な投資国・地域のうち、香港(非金融分野の実行金額で12.7%増の202.33億ドル)、バージン諸島(24.7%増の112.48億ドル)、シンガポール(2.6%増の22.6億ドル)、ケイマン諸島(7.6%増の20.95億ドル)、ドイツ(29.3%増の19.79億ドル)とサモイ(13%増の15.38億ドル)の対中投資が増加した一方、日本(29.6%減の45.98億ドル)、韓国(24.6%減の38.95億ドル)、米国(6.4%減の28.65億ドル)、台湾(0.7%減の21.36億ドル)の対中投資はいずれも減少した。
日本の対中投資(非金融分野の実行金額)は前年より約3割も減少したものの、中国の直接投資受入れに占めるシェアでは依然として香港に次ぐ第2位を維持している。2006年末まで、日本の対中投資(累計)は認可件数で37773件、実行金額で589.43億ドルとなっている。
一方、2006年中国の技術導入は依然として二桁の伸びを示している。商務省の統計によると、技術導入額(契約ベース)は220.2億ドル(前年比15.6%増)に達し、うちEUからの導入は86.6億ドルと全体の39.3%を占めている。その次に日本(シェアは23.8%)と米国(同19.2%)が続いている。
表3 2000年以降中国の直接投資受け入れの推移(単位:億ドル)
認可件数(件) | 契約金額 | 実行金額 | |
2000年 | 22,347( 32.1) | 623.80( 51.3) | 407.15( 1.0) |
2001年 | 26,140( 17.0) | 691.95( 10.9) | 468.78( 15.1) |
2002年 | 34,171( 30.7) | 827.68( 19.6) | 527.43( 12.5) |
2003年 | 41,081( 20.2) | 1,150.70( 39.0) | 535.05( 1.4) |
2004年 | 43,664( 6.3) | 1,534.79( 33.4) | 606.30( 13.3) |
2005年 | 44,019( 0.8) | 1,890.65(23.2) | 724.06(19.4) |
2006年 | 41,473( -5.8) | 694.68(-4.1.) | |
累計 | 594.415 | 12,856.73 | 6,918.94 |
注:カッコは対前年増減率(%)、累計は1979~2006年の累計(契約金額は2005年まで)。
資料:中国商務省(2005年以前は商務省『2006中国外商投資報告』、2006年は速報値)。
●対外直接投資
商務省によると、2006年中国の対外直接投資(非金融類)は前年比31.6%増の161.3億ドル、2006年末までの累計では733.3億ドルに達している。投資対象国・地域はアジア、アフリカ、中南米を中心とする160あまりの国・地域に及んでいる。
近年増加しつつある合併・買収(M&A)による投資は、47.4億ドルと同年中国の対外直接投資の36.7%を占めている。中国石油化学集団はロシアの石油開発会社であるUdmurtneftの買収や藍星集団(化工工業の大手国有企業)によるフランスの栄養添加剤企業の買収がいずれも大型買収案件となっている。
中国の対外直接投資の拡大をもたらした要因の一つに、中国企業の実力増大があるとみられる。米経済誌『フォーチュン』が選んだ「世界企業500社」(2006年)には中国大陸企業として20社がランクインし、うち3社(23位の「中国石油化工公司」、32位の「国家電網公司」と39位の「中国石油天然気集団公司」)は100位以内に入っている。これらの会社の多くは、中国の対外直接投資の有力な担い手となっている。
中国の対外直接投資の拡大は、中国政府の促進策によるところも少なくないようである。主管官庁である商務省をはじめ、中国政府は「走出去」戦略を実行するため、2006年にも多くの促進措置を採った。2006年10月、国務院常務会議は「我が国企業対外投資の奨励に関する意見」を原則的に承認したと伝えられているが、これは、「走出去」戦略が打ち出されて以来、中央政府が制定した、最初の対外投資奨励に関する体系的な指導要綱とされている。
表4 2002~06年の中国の対外直接投資(単位:億ドル)
新規認可件数 | 投資金額 | |
2002 | 350 | 27.0 |
2003 | 510 | 28.5 |
2004 | 829 | 55.0 |
2005 | 1067 | 122.6 |
2006 | 161.3 |
注:統計対象に金融類投資が含まない。
資料:中国商務省(2002~05年の投資金額は商務省『2005年度中国対外直接投資統計公報』、件数は商務省『国際貿易』2006年4月期)、2006年は速報値。
●大陸住民の出国者数は延べ3452万人へ
中国公安部入国管理局の発表によると、2006年中国大陸住民の出国者数は、前年比11.3%増の延べ3452.36万人に達し、行き先のベスト10(国・地区)として、香港、マカオ、日本、タイ、韓国、ロシア、アメリカ、シンガポール、ベトナム、マレーシアが挙げられている。
他方、同年中国への外国人の入国者数は、前年比9.7%増2221万人、国籍別からみたベスト10は、韓国、日本、ロシア、アメリカ、マレーシア、シンガポール、モンゴル、タイ、イギリス、オーストラリアとなっている。そのうち、観光目的での入国者数は1133万人と、入国した外国人総数の51%を占めている。(2007年2月記 5,372字)
有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。
2015年2月12日
2014年12月3日
2014年11月14日
2014年7月28日
2014年7月25日