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全人代経済閣僚記者会見(1)

中国ビジネスレポート 政治・政策
田中 修

田中 修

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2008年5月2日

記事概要

全人代開催期間、経済閣僚が所管事項につき記者会見を行った。その主要なものを紹介しておきたい。

はじめに

 全人代開催期間、経済閣僚が所管事項につき記者会見を行った。その主要なものを紹介しておきたい。

 

1.国家発展・改革委員会 馬凱主任(200836日)

 

1.1 マクロ・コントロールの有効性

 投資が高止まりで、貸出が多すぎ、貿易黒字がなお大きいという矛盾・問題については、高度に重視しなければならない。しかし、これらの問題を生み出した原因は複雑・多方面であり、単純にマクロ・コントロールの力が弱かったとか効果がなかったと結論づけることはできない。これは少々偏った見方である。

なぜなら、ある問題は歴史的に累積されたものであり、深層の矛盾が未解決であることと関連しており、解決にはなお1つのプロセスを要するからである。例えば、投資が膨張するのは、投資膨張の土壌・体制・メカニズムの問題が未解決であることと関連している。

ある問題は、わが国が置かれている発展段階・国際環境と関連している。なぜなら、わが国は工業化・都市化が加速する段階に入っており、投資の伸びがやや速いことには合理性と客観的必然性がある。しかし、合理的な投資と不合理な投資がごちゃまぜになっているため、マクロ・コントロールを行おうとすると比較的困難なのである。

例えば、経済のグローバル化と国際的な産業移転・調整に伴い、いかなる1つの経済主体も経済の孤島ではあり得ず、皆外部世界との連絡が緊密となっている。特にわが国と世界各国の経済との関係はますます密接になっている。世界経済の中国経済に対する影響もますます大きくなっている。現在国内ではインフレ圧力の増大と過剰流動性に直面しているが、これは中国固有の問題ではなく、全地球的な問題である。このため、わが国のマクロ・コントロールの難度が増しているのである。

貿易黒字も同様である。現在、グローバル化のプロセスにおいて、1つの国家の貿易黒字は他の国家の赤字である。これは全地球的・長期的な問題かもしれない。米国は歴史的には8090年に貿易は黒字であったし、ドイツは195255年に黒字であった。日本は、現在に到るまで26年間黒字を維持している。わが国は引き続き一定期間黒字である可能性がある。重要なことは貿易の差額の有無ではなく、貿易の差額が公平な貿易の結果であるかどうかであり、両国の人民にとって有利か否かであり、差額が一定の範囲内にコントロールされているかどうかである。

つまり、現在マクロ経済運営においてあれこれの問題が存在するからといって、マクロ・コントロールの有効性・成果を否定してはならない。当然、我々もマクロ・コントロールが明らかな成果を上げているとき、経済運営におけるあれこれの問題を軽視してはならない。むしろ高度に重視し、措置を採用して引き続き解決を図らなければならない。

 

 1.2 物価上昇

 この問題は、社会各界が注意を払っている問題である。私は、現在の物価上昇はなお主として、農産品価格の上昇が引き起こした構造的上昇に属すると考えている。これは、全面的・持続的・サイクル的な物価上昇が引き起こす明白なインフレとは区別されるものである。なぜなら、昨年消費者物価の上昇4.8%のうち、食品価格の上昇は4ポイントを占め、住宅価格の上昇が0.6ポイントを占めており、その他服装・日用工業品等6分類の商品価格は0.2ポイントしか占めていない。今年1月の7.1%の上昇のうち、食品価格の上昇は5.9ポイントを占めており、住宅価格は0.9ポイントを占めているが、その他6分類は上昇したものも下降したものもあり、0.3ポイントしか占めていない。このように、なお物価上昇は構造的なのである。

 食品価格の上昇要因は多方面であるが、主として合理的な回復的上昇である。穀物で言えば、穀物価格・農産品価格は90年代後半に価格がピークに達して以降、ずっと低迷を続けてきた。この10年、農業生産財のコストはどれくらい価格上昇したであろうか?都市住民は豚肉や穀物を食べているが、我々の給与はどれくらい上がっただろうか?農民は穀物の作付すら容易でなくなっており、価格上昇は実情に合う合理的なものである。もし価格上昇がなく損をするのであれば、誰も穀物の作付や養豚をしなくなり、物資が少なくなって価格は更に高くなるだろう。このほか、国際的な穀物・植物油等の価格上昇も激しく、国内の穀物価格に大きな影響を及ぼしている。

 しかし、現在の物価上昇が構造的な上昇であることは、我々が物価上昇圧力を軽視しているわけではない。むしろ我々は、現在価格上昇圧力が増大していることを非常にはっきりと認識している。

 市場化の進展と経済の発展に伴い、土地・労働力・資金等の要素価格及びエネルギー・資源性製品の価格も上昇している。環境の損失コストは、過去は価格に反映されなかったが、現在は徐々にコストに組み入れられている。このため、コスト・プッシュ型の物価上昇圧力は非常に大きい。これに過剰流動性と資金の潤沢の影響が加わっている。つまり、物価上昇とインフレ圧力はますます大きくなっており、高度に重視しなければならない。なぜなら、物価問題は全局に関わる問題であり、関連施策をしっかり行う必要があるからである。

 今年4.8%前後の所期コントロール目標が実現できるか否かについては、決意・条件・措置があると言いたい。

(1)決意

 党中央は、経済がかなり速い(状態)から経済過熱に転じることの防止と、物価の構造的上昇が明らかなインフレに変化すことの防止をマクロ・コントロールの第1の任務とし、特にインフレ防止を際立って重要な位置づけとすることを確定している。困難が更に大きくなれば、あらゆる手を尽くして困難を克服し、コントロール目標の実現に努力し、物価総水準のコントロール可能性と総体としての安定を維持する。

(2)条件

 30年の努力、とりわけ最近の努力により、経済の総合実力は明らかに増強しており、財政力・物資も比較的豊かになっている。特に穀物は4年連続豊作であり、在庫も非常に充実しており、国内市場を完全に保障できる。日用工業品の絶対多数は供給が需要を超過している。市場の激烈な競争の圧力の下、コスト・プッシュがあるにせよ企業は軽々と価格を引き上げないだろう。競争が非常に激烈なときは、価格を引き上げれば市場を失うからである。これも我々が物価をコントロールするための有利な条件である。

(3)措置

 政府は、既に物価の速すぎる上昇を抑制する措置を採用しつつある。これらの政策は、1つの根本ルートと3つの重要部分から成る。

 1つの根本ルートとは、一方で有効な供給を増加させることである。総合的な支援政策を採用し、とりわけ農産品・生活必需品の有効な供給を増加させなければならない。他方で、主として、投資の速すぎる伸びや貸出の過剰といった不合理な需要を抑制する。引き続き引き締め気味の金融政策を実行し、不合理な「エネルギー多消費・高汚染・資源性」製品の輸出を抑制し、社会の総供給・総需要の基本的均衡を促進する。これが、物価総水準の速すぎる上昇を抑制する根本ルートである。

 3つの重要部分は次のものである。

①農業副産品の生産・市場供給をしっかり行う。

 党中央・国務院は、穀物生産・豚生産・乳業生産・家禽類生産を支援する一連の政策を採用し、実施している。市場で品切れがおこらず、物さえあれば、大局を安定させることができる。

②低所得層に適切な補助を与え、低所得層が物価上昇によって生活水準を下げないようにする。

 この部分が安定すれば、大局を安定させることができる。

③市場の監督管理をしっかり行う。

 買いだめや共謀による価格吊り上げ、流言の散布・人身撹乱等の違法行為を取り締まり、市場の正常な秩序を維持する。

 つまり、我々は物価上昇圧力の存在と、物価総水準をコントロールすることの困難性・複雑性を見て取らねばならず、思考を麻痺させたり施策を緩めてはならない。同時に、我々には有利な条件があり、政府には決意と措置があることを見て取り、施策への信念を確固としたものにしなければならない。

 

 1.3 寒波・氷雪災害の経済への影響

 今回の災害が中国経済に与える影響については、3段階に分けて述べたい。

(1)被災地域への災害の影響は深刻である

 特に農業・林業・インフラは大きな影響を受け、工場の生産停止は比較的広範囲である。災害は、現地の工業・農業生産と大衆の生産・生活に大きな影響をもたらしている。

(2)災害の影響は、1年で見れば段階的である

 全国の上下一体の努力により、十数日で決定的・重大な勝利を勝ち取り、災害後の復興段階が始まっている。電力・輸送は回復した。工場の生産停止は比較的広範囲であるが、主として停電と輸送の途絶により原材料が送られてこなかったためであり、機械設備は大きな損害を受けていない。電気と道が通れば、すぐに生産回復が可能である。工業生産は基本的に回復しており、農業生産の回復にはなお一定の時間がかかるが、総体としては段階的なものと言える。

(3)災害は、全国から見れば局部的なものである

 農業で見ると、今回の災害の構造的特徴は明らかであり、被災地域は主として南方である。被災品目は、主として農業の中の牧畜業・野菜・瓜果物・林業等である。穀物生産は大きな影響を受けていない。

 投資で見ると、1月は歴史的に投資が弱い時期であり、災害後の復興により投資はいくらか増加するので、投資への影響は大きくはない。特に、災害は経済総量の比較的大きい地域には打撃を与えておらず、全国から見ればなお局部的な災害である。

 つまり、災害の中国経済への影響は限定的であり、中国経済の発展の基本面あるいは成長継続の動向を変化させることはない。

 

 1.4 価格統制措置について

 一時期以降、一部の市場の個別企業が共謀して価格を吊り上げ、不合理に値上げをしている。これに対し、中国政府は臨時に関与措置を採用したが、これは実際上過去の価格統制・価格凍結とは全く異なる。

(1)これらの措置は合法性を備えている

 価格法の規定により、一定時期の特殊状況下において市場に対し、臨時関与措置を採用してよいとされているのである。多くの国家はみなこのようにしているのであり、責任あるいかなる国家も皆このようにするだろうと思う。

(2)これらの措置は合理性を備えている

 範囲からすると、庶民の生活の最も基本的な必需品と少数個別の品目に対し、値上げ申請・届出等の臨時関与措置を採用している。この方法は運用上、企業の価格決定自主権を改変するものではないし、価格を凍結するものでもなく、合理的な値上げはなおも許されるのである。

(3)補助的な役割を有している

 我々の根本措置は、なお総需要・総供給の基本的均衡を促進することであり、臨時関与措置は補助的な措置である。

(4)臨時性を有している

 特殊な状況が消滅して以後は、法律のプロセスに基づき国務院あるいは現地政府の批准後、解除することができる。

 したがって、我々が採用している臨時価格関与措置を、価格に対する政府の行政統制強化と誤解してはならない。

 

2.財政部 謝旭人部長(200836日)

 具体的な数字は財政報告と重複するので省略する。

 

 2.1 「三農」・民生改善

 中国政府は、「三農」工作と民生問題の改善を高度に重視している。

(1)「三農」への投入を増加する

 農業の基礎を際立てて強化し、農業発展と農民の増収を促進する。農業生産の発展支援に力を入れるとともに、全国において農業保険の保険料補助のテストを推進する。

(2)教育の発展を優先的に保障する

 今年から農村義務教育経費の保障水準を更に引き上げる。同時に、秋学期から都市において義務教育費用免除を開始する。

(3)医療・衛生体制改革の推進を支援する

 改革を通じて、公衆衛生・医療サービス・医療保障・薬品供給保障の4つのシステムを徐々に確立する。新型農村共同医療制度を全面的に推進すると同時に、都市住民の基本医療保険テストを推進する。

(4)社会保障体系の整備を促進し、社会保障を強化する

 農村の最低生活保障制度の全面的な確立・整備を支援し、企業従業員の基本年金保険制度を整備する。このほか、中央財政は低家賃住宅制度の早期確立支援に力を入れ、都市低所得家庭の住宅難の解決を援助する。

 

 2.2 「穏健な財政政策」の基本的内容

 穏健な財政政策は、構造調整と調和ある発展に重点を置き、金融政策・産業政策との協調・組合せを強化し、総量のコントロール・物価の安定・構造調整・均衡の促進を有機的に結合し、経済成長がかなり速い(状態)から過熱に転ずることを防止し、物価の構造的上昇が明らかなインフレに変化することを防止することにより、経済の良好で速い発展を促進するものである。

(1)財政赤字・国債資金の規模を適切に減少する

 中央建設投資の構造を更に改善し、重点を農村生産生活条件の改善、水利建設の強化、生態環境保護、社会事業の発展支援、重大インフラ建設に重点的に使用する。

(2)経済構造の調整・改善を積極的に促進する

 「三農」への投入を強化し、科学技術のイノベーション支援を強化し、省エネ・汚染物質排出削減を推進する。移転支出を強化し、地域の調和のとれた発展を促進する。重大装置の国産化を支援する。輸出税還付・加工貿易・輸出入関税等の関連政策措置を整備し、エネルギー多消費・高汚染・資源性製品の輸出を抑制し、高付加価値製品の輸出を支援し、資源性・省エネ・省資源・重要部品等の製品輸入を奨励する。省エネ・環境保護・自主的なイノベーションを奨励する輸入税優遇策を実施する。企業の対外投資・協力方式の刷新、国際化経営の展開を支援する。

(3)民生の保障・改善に力を入れる

 財政支出構造を更に調整・改善する。教育の発展を優先的に保障し、医療・衛生への投入を増加し、社会保障体系を整備し、都市低所得家庭の住宅難の解決を支援することにより、民生の保障を促進する。

(4)物価安定に対する財政・租税政策の役割を発揮する

 農産品の生産支援に力を入れ、基本的な生活必需品の供給を保障し、物価の速すぎる上昇を抑制する。同時に、物価上昇の民生に対する影響、特に都市・農村低所得層への影響に密接に関心を払い、各種財政補助政策をタイムリーに整備・実施し、生活困難な大衆の基本生活を保障する。

(5)法に基づき資金の管理・運用に力を入れ、収入増加・支出節約をしっかり行う

 法に基づき、税の徴収管理を強化し、税外収入の管理を規範化し、減免税を厳格にコントロールし、脱税等の違法行為を厳格に取り締まる。非合法・不合理な費用徴収・基金を全面的に整理する。支出管理を更に強化し、支出構造を改善・調整し、「三農」・教育・医療・衛生・社会保障などの面への重点支出を保障し、一般的な支出を断固として抑制しなければならない。行政コストの低下に努め、財政資金の使用効率の向上に努める。

2008年4月記・6,031字)

 

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