こんにちわ、ゲストさん

ログイン

中国政府の省エネ・環境保護への取組み

中国ビジネスレポート 政治・政策
田中 修

田中 修

無料

2008年7月24日

記事概要

 本稿では、国務院省エネ・汚染物質排出削減活動領導小組会議を中心に、最近の省エネ・環境保護の取組み動向を紹介する。

はじめに

 本稿では、国務院省エネ・汚染物質排出削減活動領導小組会議を中心に、最近の省エネ・環境保護の取組み動向を紹介する。

 

1.国務院省エネ・汚染物質排出削減活動領導小組会議(71日)

 同小組の組長である温家宝総理が主催した。会議には副組長の李克強副総理・戴秉国国務委員も出席した。会議の概要は以下のとおりである(新華網北京電200871日)。

 1.1 2007年の回顧

 2007年は、省エネ・汚染物質排出削減を、経済構造調整と発展方式の転換の重要な手掛かり・突破口とし、省エネ・汚染物質排出削減は積極的な進展を勝ち取った。

 しかし、現状は依然十分峻厳である。際立っているのは、経済成長速度がかなり速く、とりわけエネルギー多消費・高汚染業種の成長が依然速すぎ、サービス業の付加価値がGDPに占める比率と、ハイテク製造業の付加価値が工業付加価値に占める比率が低下しており、産業構造の重厚長大化傾向が変わっていない。5年間の省エネ・汚染物質排出削減目標の実現は、相当困難な任務である。

 

 1.2 2008年の基本方針

 今年は、第115ヵ年計画の省エネ・汚染物質排出削減の拘束目標を実現するためのカギとなる1年であり、更に大きな決意の下、更に大きな力を発揮し、省エネ・汚染物質排出削減の堅塁攻略戦を勝ち抜き、省エネ・汚染物質排出削減活動の進展で是非ともブレークスルーを勝ち取らなければならない。

 科学的発展観を指針とし、省エネ・汚染物質排出削減を科学的発展の重要な手掛かりとし、責任考課を強化し、構造調整を加速しなければならない。政策メカニズムを整備し、重点分野を際立たせ、資金投入を増加し、法制建設を推進しなければならない。宣伝教育をしっかり行い、総合的な協調を強化し、省エネ・汚染物質排出削減総合活動案の各措置を実施に移さなければならない。政府が主導、企業が主体、全社会が共同で推進するという省エネ・汚染物質排出削減活動の枠組みを早急に形成し、市場メカニズムの役割を十分に発揮させ、資源節約型・環境友好型社会を早急に建設して、国民経済の良好で速い発展を促進しなければならない。

 

 1.3 重点活動

(1)目標責任の評価・考課を強化する

 評価・考課の結果を社会に公表し、社会・世論の監督を受けさせなければならない。省エネ・汚染物質排出削減目標が未達成の地方・企業に説明を求め、改善措置を提出させなければならない。

(2)エネルギー多消費・高汚染業種の速すぎる成長を断固として抑制する

 新規プロジェクト着工の管理規定を厳格に執行し、土地使用審査・省エネ評価審査・環境影響評価を強化する。環境評価による地域の許可制限を強化し、生産許可証の管理を強化し、引き続きエネルギー多消費・高汚染・資源性製品の輸出を厳格に抑制する。

(3)落伍した生産能力を速やかに淘汰する

 小規模な火力発電所1300万kWを閉鎖し、セメント・鋼・鉄・電解アルミ・鉄合金・コークス・カーバイド・板ガラス・製紙業の落伍した生産能力を淘汰する。落伍した生産能力の淘汰の進展状況の定期的な報告と検査制度を実行する。

(4)省エネ・汚染物質排出削減プロジェクトの実施を強化する

 国家は資金を手配し、10大重点省エネプロジェクト、都市汚水処理施設及び付帯する配管網の建設、重点流域工業の廃水処理及び省エネ・環境保護能力の建設を支援する。

(5)重点分野の省エネをしっかり行う

 2008年末時点で、全国の新規建築の施工段階における、強制的省エネ基準の執行比率が80%以上となるように努力する。交通・運輸における、車・船の運航営業に伴う燃料消費量の限度基準を検討・制定する。

(6)省エネ・汚染物質排出削減技術の開発・普及を加速する

 水質汚染を処理・制御する重大科学技術特定プロジェクトを全面的に始動する。重点業種・分野において、潜在力が大きく応用面が広い重大省エネ・汚染物質排出削減技術を普及させる。

(7)循環経済の発展を速やかに推進する

 重点業種・重点分野の循環経済発展計画を組織的に編制し、循環経済の発展を奨励する政策を検討・制定し、循環経済の健全な統計制度を確立する。

(8)重点汚染源の監督管理を強化する

 今年排煙脱硫装置の設置が必要な発電所のリストを公表し、年末に設置状況を公表する。全国都市汚水処理管理情報システム、都市排水・汚水処理場のオンライン監視システム、確認検査・監督査察及び評価・通報制度を早急に確立し、都市排水許可制度・汚水処理特許経営制度を強化する。

(9)省エネ・汚染物質排出削減に資する経済政策を実施する

 資源性製品の価格を適時合理化し、バイオマス発電の価格管理方法を整備し、環境保護の費用徴収を推進する。鉱産資源の有償使用の制度改革を適時始動する。

10)省エネ・汚染物質排出削減の法規・基準を整備する

11)省エネ・汚染物質排出削減活動の監督検査・行政による法執行を強化する

12)「省エネ・汚染物質排出削減全国民行動」を組織的に展開する。

 

2.省エネ法についての解説

 改正省エネ法は41日から施行されているが、61521日の全国省エネキャンペーン週間において、国家発展・改革委の責任者は次のように解説している(人民日報2008616日)。

 2.1 改正省エネ法の主要な特徴

(1)法律による調整の範囲を拡大した

 改正後の省エネ法は、建築の省エネ、交通・運輸の省エネ、公共機関の省エネ等の内容を増加した。このことは、これらの分野の省エネ活動に必ずや積極的な促進作用をもたらす。

(2)省エネの管理制度・基準体系を健全化した

 改正省エネ法は、省エネ目標責任の評価・考課制度、固定資産投資プロジェクトの評価・審査制度、落伍したエネルギー多消費製品の淘汰制度、重点を置くエネルギー多消費単位の省エネ管理制度、エネルギー効率の標示管理制度、省エネ奨励制度といった一連の省エネ管理制度を設立した。

 省エネ法は、エネルギー多消費製品(設備)のエネルギー効率基準、建築省エネ基準、交通・運輸において車・船を運行営業する際の燃料消費限度基準、公共機関のエネルギー消費定額・支出基準を、国家が強制的に制定しなければならないことを明確にした。

(3)省エネを促進する経済政策を整備した

 改正省エネ法は、中央財政・省レベルの地方財政が、省エネ特定プロジェクト資金を手配して省エネ活動を支援し、支援が必要な省エネ技術・製品に優遇税制を実行し、省エネ製品の普及・使用に財政補助を与え、金融機関が省エネプロジェクトへの貸出支援を増やすよう指導しなければならない旨を規定した。

(4)省エネの管理・監督主体を明確にした

 改正省エネ法は、統一的管理・分担協同・相互協調による省エネ管理体制を規定し、省エネ主管部門と各関係部門の省エネ監督管理における職責を合理化した。

(5)法的責任を強化した

 改正省エネ法は、固定資産投資プロジェクトの省エネ評価・審査規定への違反、重点を置くエネルギー多消費単位の管理制度への違反、生産・輸入・販売が強制的エネルギー効率基準に適合しないエネルギー多消費製品・設備、国家が明確に淘汰を命じたエネルギー多消費設備あるいは生産技術の使用、エネルギー効率の標示管理への違反、虚偽のエネルギー統計データ作成などの19の法的責任を規定し、相応の処罰を明確にし、処罰の範囲・程度を強化した。

 

 2.2 重要な省エネ管理制度

(1)省エネ目標責任制と省エネ考課・評価制度

 改正省エネ法は、国家が省エネ目標責任制と省エネ評価・考課制度を実行し、省エネ目標の達成状況を地方政府及びその責任者の考課・評価の内容とする旨を規定した。省レベル政府は、毎年国務院に対し省エネ目標責任の履行状況を報告しなければならない。

 これは、省エネ問責制の要求を妥協なきものとし、法定化することにより、各レベルの指導幹部の省エネへの責任意識を増強し、政府の主導責任を強化することに資するものである。

(2)固定資産投資プロジェクトへの省エネ評価・審査制度

 省エネ法は、固定資産投資プロジェクトの省エネ評価・審査制度を確立し、プロジェクトの評価と省エネの評価・審査を通じて、強制的省エネ基準及び省エネ設計規範に適合しない投資プロジェクトを抑制し、エネルギー多消費業種の盲目的な発展と速すぎる成長を抑制する。

(3)落伍したエネルギー多消費製品・設備・生産技術の淘汰制度

 省エネ法は、国家は淘汰するエネルギー多消費製品・設備・生産技術の目録及び実施方法を制定・公布しなければならない。国家が明らかに淘汰を命じた製品・設備の生産・輸入・販売を禁止する。この方面においては、エネルギー多消費製品・設備・生産技術の市場への入り口をしっかり閉ざし、淘汰を強化した。

(4)重点を置くエネルギー多消費単位の省エネ管理制度

 省エネ法は、重点を置くエネルギー多消費単位と一般的なエネルギー多消費単位に対し、分類した指導・管理を実行することを明確にした。また、重点を置くエネルギー多消費単位は、毎年省エネ活動管理部門に対しエネルギー利用状況報告を送付しなければならないことを規定し、省エネ活動管理部門に対しては、重点を置くエネルギー多消費単位の監督・管理を強化するよう要求している。さらに、重点を置くエネルギー多消費単位は、エネルギー管理のポストを新設し、エネルギー管理責任者を招聘し任命しなければならない、と規定している。

(5)エネルギー効率標示・管理制度

 改正省エネ法は、エネルギー効率標示・管理を法律制度として確立し、その実施対象を明確にし、生産者・輸入業者にエネルギー効率標示と関連情報の正確さについて責任を負うことを要求している。また、標示すべきなのにしていない、違法の標示を行う等の行為に対しては具体的な処罰を規定した。

(6)省エネ表彰・奨励制度

 省エネ法は、省エネ管理、省エネ科学技術の研究と普及応用で顕著な成績を上げ、また深刻なエネルギーの浪費行為を検挙した単位・個人に対し、各レベルの人民政府が表彰・奨励を行う旨規定している。

 

 2.3 法律実施の留意事項

(1)省エネ法の宣伝を強化する

(2)省エネ法関連の規定・基準を早急に制定する

(3)重点を置く省エネプロジェクト及び1000社企業の省エネ推進を強化する

(4)重点分野の省エネを強化する

 ①工業方面

  落伍した生産能力の淘汰を加速する。重点を置くエネルギー多消費業種につき、省エネ技術規範を制定する。省エネによる発電の調整を展開する。

②建築

 建築省エネ計画を編制する。室内温度のコントロール基準を厳格に執行する。不動産開発分野における省エネ監督管理を適切に強化する。

③交通・運輸

 運輸企業が輸送の組織化率・集約化率を高めるよう指導する。輸送を営む車・船の燃料消費量の限度額基準を制定する。

④公共機関

 エネルギー消費定額を制定する。エネルギーの計測・モニター管理を強化する。省エネ製品・設備を優先的に購入する。

(5)省エネに資する経済政策を実施する

 エネルギー価格改革を積極かつ穏当に推進し、タイミングを選んで製品油・天然ガスの価格をさらに合理化する。差別電力価格政策を真剣に実施し、各地がエネルギー多消費企業への電力価格優遇を停止するよう督促する。先進的省エネ・環境保護技術・設備の輸入を奨励する優遇税制政策を実行する。企業が新たに購入した省エネ設備に含まれる増値税を税額控除する政策を検討する。引き続き、省エネ技術改造プロジェクトへの貸出支援を増加し、条件に適合した企業が省エネのために社債を発行することを支援する。

(6)省エネの法執行を強化する

 引き続き、地方が省エネ監察機関を速やかに設置することを推進し、省エネの法執行監察のための基礎を打ち固める。省エネ監督・査察を組織的に展開し、行政の法執行を強化する。各種の省エネ法違反行為に対する処罰を強化し、犯罪を構成する場合には法に基づき刑事責任を追及する。

 

3.問責制の実行

 617日、全人代財経委及び国家発展・改革委が共同開催した省エネ法貫徹座談会において、国家発展・改革委の解振華副主任は次のように述べた(新華網北京電2008617日)。

(1)今年45月、国家発展・改革委は監察部、人力資源・社会保障部等の部門と共に、全国30の省レベル政府の2007年度省エネ目標達成状況及び省エネ措置実施状況について、現場に赴き評価・考課を行った。考課の結果は、国務院の承認を経た後社会に公告し、社会の監督を受けることになる。

(2)目標を達成ないし目標を超えて達成した地方に対しては、国家は表彰・奨励を行う。未達成の地方を所管する省は国務院に書面で報告を行い、期限を切って改善措置を提出する。この地域には、新たなエネルギー多消費プロジェクトの許認可を年内は暫時停止する。関係の指導者は、年度の表彰・栄誉称号の授与には参加できない。考課の結果は、同時に組織部門に手交し、党・政府の指導層・指導幹部の総合考課・評価の重要な根拠とし、問責制を実行する。

(3)現在、わが国の省エネ情勢は依然峻厳である。わが国の第115ヵ年計画の省エネ・汚染物質排出削減の拘束目標は、過去2年に4分の1しか達成していない。今後3年間、毎年GDP単位当たり5%以上の省エネを行って、ようやく省エネ目標を達成することができる。任務は相当困難である。

(4)国家発展・改革委は、最近展開した省エネ目標責任の考課の中で、現在省エネ活動において、一部の地方になお「認識が不十分、責任が不明確、措置が未手配、不協調、基礎活動が脆弱という問題」が存在することを発見した。

(5)このため、国家発展・改革委は、省エネ法の実施を当面一時期の省エネ活動の最も重要で緊迫した任務とし、同法の指導・制約作用を適切に発揮させる。

(6)今後、国家発展・改革委は、産業構造の調整・改善に力を入れ、エネルギー多消費・高汚染業種の速すぎる成長を断固として抑制する。重点を置く省エネプロジェクトの実施を強化し、重点を置くエネルギー多消費単位の省エネ管理を強化し、「1000社企業エネルギー利用公報(2008)」を公布する。先進省エネ技術及びエネルギーが高効率の製品の普及・応用を加速し、政府機関の率先した省エネを推進し、省エネに資する経済政策を実施する。

 

4.燃料価格等改定

4.1 価格引上げの概要

中国国家発展改革委員会は6月19日、ガソリン、ディーゼル油、航空燃料油の価格引上げ(6月20日より実施)と、電力価格引上げ(7月1日より実施)を発表した。燃料油価格の引上げは、200711月1日以来、約8か月ぶりである。

(1)ガソリン、ディーゼル油

①全国平均小売基準価格(製油所出荷価格)

・ガソリン価格  1000/トンの引上げ(5980/トン→6980/トン、16.7%上昇)

・ディーゼル価格 1000/トンの引上げ(5520/トン→6520/トン、18.1%上昇)

②小売価格

・ガソリン価格  8%の値上げ(6460/トン→7540/トン)

・ディーゼル価格 8%の値上げ(5960/トン→7040/トン)

(2)航空燃料油

1500/トンの引上げ(5950/トン→7450/トン、25.2%上昇)

(3)全国電力販売価格

0.025/kwhの引上げ(平均4.7%上昇)[1]

(4)価格据置き措置

液化ガス・天然ガス・鉄道の価格については調整を行わない。

四川大地震で大きな被害が出た一部地域では価格を据置く。

(5)財政補助

引上げの影響緩和措置として、①食糧生産農家・漁業・林業に財政補助を実施、②バスやタクシー等の都市公共交通等に対しては財政支出により運賃据置き、③7月より最低生活保護者に対する補助費を引上げ(都市部:1人当たり毎月15元、農村部:同10元)等を実施する。

これに要する当面の中央財政支出は198億元であり、うち漁業・林業・都市公共交通等への補助が120億元、食糧生産農家への直接補助は78億元となっている。

(6)電力用石炭価格

 619日の実際の清算価格を1231日まで上回らないよう、価格に関与措置を行う。

 

 4.2 価格調整の背景

 国家発展・改革委の責任者は次のように説明している(新華北京電2008619日)

(1)電力価格

①電力用石炭価格の継続的な大幅上昇

 これにより、中央の5大発電グループのうち4グループが深刻な赤字に陥り、一部企業は資金難となっている。

②発電所の脱硫コストが増加

 火力発電企業の排出する二酸化硫黄は全体の半分以上に達する。このため、国家は脱硫装置の設置を奨励している。

③第115ヵ年計画期間に送電能力を高めるため、電力網企業は毎年投資を3000億元前後増加

 このため、元利償還の負担が増加している。

(2)燃料油価格

 国際市場原油価格が2月中旬以降急上昇しており、企業の石油精製・輸入で深刻な赤字が発生しており、大部分の地方の石油精製工場は生産停止・半停止状態となっている。

(3)電力用石炭価格

①国内の石炭価格と国際市場の石炭価格に一定の開きがある

 国際市場の石炭価格が国内価格より高いため、国内価格の上昇期待が増加している。

②電力用石炭の供給がかなり逼迫している

 石炭需要は増加しているが、生産能力の約3分の1の小炭鉱がまだ完全に生産を回復していない[2]

③市場の流通秩序が不規範である

 一部の地方政府は石炭の省外流出を制限し、石炭の逼迫を激化させている。

 

5.党中央政治局集団学習会(627日)

 胡錦涛総書記主催により、中国気象局国家気候センターの羅勇研究員、清華大学低炭素エネルギー実験室の何建坤教授を招いて実施された。討論後、胡錦涛総書記は次のような講話を行っている[3](新華網北京電2008628日)。

(1)わが国は、小康社会の全面的建設のカギとなる時期にあり、同時に工業化・都市化の発展が加速する重要な段階にある。経済を発展させ、民生を改善する任務は十分荷が重く、気候変動に対応する任務も十分困難である。気候変動に適切に対応することは、わが国経済社会の発展の全局と人民大衆の切実な利益に関わるものであり、国家の根本利益に関わるものである。

(2)わが国は発展途上国であり、気候変動問題への対応において、我々は「国連気候変動枠組み条約」及びその「京都議定書」が確定した共同かつ区別された責任の原則を堅持し、先進国が率先して排出削減義務を受け入れ、かつ発展途上国に対し資金援助・技術移転を行うべきであると主張する。同時に、発展途上国は持続可能な発展を促進することを通じて、気候変動への対応に努力すべきことを主張する。気候変動に更にうまく対応するため、わが国政府は気候変動対応の国家案を制定し、一連の政策措置を取り、関連活動で明らかな成果を勝ち取った。17回党大会は、生態文明の建設という重大任務を明確に提起し、我々は資源節約型・環境友好型社会の建設を、工業化・都市化戦略において際立って位置づけ、各単位・各家庭にまで実施しなければならない。

(3)気候変動への対応には、科学的発展観を深く貫徹実施し、経済発展と生態建設、国内と国際、現在と長期展望を統一的に企画しなければならない。気候変動対応の国家案を全面的に実施し、気候変動への対応と持続可能な発展戦略の実施、資源節約型・環境友好型社会の速やかな建設、イノベーション型国家の建設を結びつけなければならない。経済発展を核心とし、省エネ、エネルギー構造の改善、生態の保護と建設の強化を重点とし、科学技術の進歩を支えとして、温室ガスの排出の抑制・削減に努力しなければならない。気候変動への適応能力を不断に高め、持続可能な発展能力を不断に増強し、経済発展と人口・資源・環境との調和を促進し、地球気候の改善に新たな貢献を行わなければならない。

(4)以下の方面の活動にしっかり重点を置かなければならない。

①温室ガス排出の抑制措置の実施に力を入れなければならない

資源節約・環境保護という基本国策の実施を堅持し、中国の特色ある新たな工業化の道を歩むことを堅持する。経済発展方式の転換を加速し、エネルギーの節約と高効率の利用を強化する。循環経済・低炭素経済を積極的に発展させ、森林カバー率を不断に拡大する。

②気候変動への適応能力の増強に力を入れなければならない

 農地の基本建設を強化し、水資源を合理的に開発し最適に配分する。引き続き、生態保護の重点プロジェクト建設を展開し、気候変動の総合影響評価を強化する。

③科学技術進歩とイノベーションの作用を大いに発揮させなければならない

 気候変動を緩和しこれに適応する分野の重大技術を速やかに研究開発し、モデルを提示する。気候変動に対応する基礎研究を強化し、気候変動分野の国際的な科学技術協力を強化する。

④気候変動に対応する体制メカニズムの健全化に力を入れなければならない

 気候変動に対応する法規を整備し、エネルギー管理体制と価格改革を推進する。多様な災害へのモニター・アラーム・緊急対応のメカニズム、多部門が参加する政策決定の協調メカニズム、気候変動に全社会が広範に参加し対応する行動メカニズムを整備する。とりわけ、極端な気象災害に対応するモニター・アラーム能力、防御能力、減災能力を高めなければならない。

⑤全社会の参加意識・能力の向上に力を入れなければならない

 全国民が気候変動に対応する良好な環境を作る。

(5)各レベルの党委・政府は、気候変動への対応を、科学的発展観の貫徹実施・持続可能な発展の実現の重要内容とし、経済社会発展計画に組み入れ、当該地区・部門の現実に適合した措置を制定し、気候変動に対応する組織・実施能力を高めなければならない。第115ヵ年計画で確定した省エネ・汚染物質排出削減の拘束的目標の実現は、任務の荷が重く、時間は切迫している。各レベルの党委・政府は、力を入れ、困難に立ち向かって進み、速やかに推進し、省エネ・汚染物質排出削減をさらに際立って位置づける必要がある。省エネ・汚染物質排出削減の統計体系・モニター体系・考課体系を真剣に実施し、重点業種・重点分野を際立たせ、省エネ・汚染物質排出削減の全国民行動を深く展開し、省エネ・汚染物質排出削減の堅塁攻略戦に断固として勝利しなければならない。

(2008年7月記・8,896字)

 
 


 

  

      [1]  72日、国家発展・改革委は、華北・西北・華中・華東・南方・東北電力網の電力価格を71日から個別に調整し、最低0.0043/kmh、最高0.035/kmh引き上げると公布した。国家発展・改革委は、「この価格調整は庶民の生活用電力・農業・化学肥料生産用電力価格については実施せず、四川・陝西・甘粛省のうち災害復興計画に組み入れられた県(市)の各種電力価格も調整されない」と強調している(中国証券報200873日)。

 

  

      [2]    今後、いったん整理しかけた非効率な小炭鉱が、これを契機に復活する可能性がある。

 

  

      [3]    これは、サミットへの出席を意識したものと思われる。

ユーザー登録がお済みの方

Username or E-mail:
パスワード:
パスワードを忘れた方はコチラ

ユーザー登録がお済みでない方

有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。
詳細は下の「ユーザー登録のご案内」をクリックして下さい。

ユーザー登録のご案内

最近のレポート

ページトップへ