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中国共産党中央第11次5ヵ年計画建議について

中国ビジネスレポート 政治・政策
田中 修

田中 修

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2005年10月30日

<政治・政策>

中国共産党
中央第11次5ヵ年計画建議について

田中修

はじめに

 2005年10月8日から開催された中国共産党第16期中央委員会第5回全体会議は、11日「第11次5ヵ年計画(原文では「規画」)制定に関する中国共産党中央建議」(以下「建議」)を採択し、閉幕した。

 この全文は18日に公表され、翌19日には温家宝総理が8日に行った「第11次5ヵ年計画制定に関する建議の説明」(以下「説明」)も公表されている。また、馬凱国家発展・改革委員会主任が10月21日付け人民日報に解説論文(以下「馬論文」)を発表している。

 「建議」が政策の羅列であるのに対し、「説明」は新5ヵ年計画の特色を要領よく説明しているので、本稿では「説明」を軸に解説し、必要に応じ「建議」「馬論文」その他の資料を補っていくこととしたい。

1.第10次5ヵ年計画期間における経済社会の発展状況と直面する情勢について

(1)第10次5ヵ年計画の成果

 国家統計局の推計によれば、2005年のGDPは15兆元を超え、5年間の平均成長率は8.8%となる。第10次5ヵ年計画における年平均成長率目標は7%であり、これによれば2005年時点のGDP目標は12.5兆元、1人平均GDPは9400元であった。これに対し、2004年のGDPは13.69兆元、1人平均GDPは1万元を突破しており、第10次5ヵ年計画のGDP目標は前倒しで達成されたことになる(2005年10月19日新華社北京電)。

 「説明」は、この5年間の成果として、特に重要なことは「わが党の経済社会発展に対する規律の認識が新たに飛躍し、人間本位で、全面的で調和のとれた、持続可能な科学的発展観と社会主義の調和のとれた社会の建設という重大思想が提起されたことである」とし、「これは、小康社会の全面的建設と現代化事業全体に対し全局的・長期的な指導の役割を担うものである」とする。

 第10次5ヵ年計画期間(2001−2005)は、江沢民−朱鎔基指導部時代(2001−2002)と胡錦涛−温家宝指導部時代(2003−2005)に大まかに2分されるが、温総理は計画の最大の成果を2003年以降新指導部が打ち出した「科学的発展観」と「社会主義の調和のとれた社会」であるとしているのである(「馬論文」はこれを「重大戦略思想」と表現している)。これは、党が既にポスト江沢民時代に入っていることを明らかにしたものといえよう。


(2)直面する問題

 国際面では、石油価格の高止まり、国際競争の激化、保護貿易主義の高まりを挙げるが、国内面では「わが国は現在なお、かつ長期にわたり社会主義初級段階にある」とし、具体的に次の問題点を指摘している。

A 生産力が未発達で、都市・農村・地域の発展が不均衡である。

B 自主革新能力が強くなく、経済構造の不合理と粗放型の成長方式が未だ根本的に改められておらず、資源・環境・就業のプレッシャーが強まっている。

C 所得分配における矛盾が際立っており、大衆の切実な利益に関わる少なからぬ問題が未解決となっている。

D 特に、経済社会の発展を制約する体制メカニズムの問題がなお比較的多い。

2.第11次5ヵ年計画に関する指導思想・発展目標

(1)科学的発展観

 

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