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ログイン2006年11月14日
上海で高齢化が進んでいることは、すでに広く一般に知られているが、中国全体でも高齢化の問題は深刻化している。2005年度に行われた中国全人口の1%を抽出して行われた調査でも、中国の65歳以上の人口は1億人を超しており、全人口の7.7%にもなっている
上海で高齢化が進んでいることは、すでに広く一般に知られているが、中国全体でも高齢化の問題は深刻化している。2005年度に行われた中国全人口の1%を抽出して行われた調査でも、中国の65歳以上の人口は1億人を超しており、全人口の7.7%にもなっている。最近、中国のマスコミでもいかにして高齢化社会に立ち向かうべきか、中央政府の研究結果も交えながら、討論が行われている。
ここで問題になっているのが、この中国の高齢者を誰が養うかという問題だ。70年代に一人っ子政策が行われて、その子供たちが大人になった。結婚して子供を生む年齢になってきた。特に、上海など一人っ子政策が積極的に行われている都市では、夫婦が4人の高齢者を支えていかなければならない。このような家庭の構成を、中国ではよく「4・2・1」家庭と呼んでいる。今まで、中国が殆ど経験してこなかった家庭構成だけに、いったいどういった社会問題が生じてくるのか、いまだ未知数なのだ。
『中国財経報』によれば、現在中国では定年時期を後ろにずらす方向で検討に入っているという。現在、公務員の定年退職は男性が60歳、女性が55歳、さらに一部企業の定年退職は男性が55歳、女性が50歳となっている。上海のように平均余命が80歳となっている場合、退職後の人生がますます長くなり、年金に大きな負担をかけている。
その背景には、「富めるものから富め」とする経済政策が影響しているのも否定できない。すなわち、理想どおりに十分に財を蓄えてから退職となればまだしも、そうならなかった人も多い。つまり、中国の場合、多くが財を蓄えるまでに退職になってしまうというのだ。中国の国民一人当たりのGDPはまだ1000ドル程度で、高齢化社会を迎えている先進国の国民一人当たりのGDPの5000~10000ドルと比べると、まだまだ差がある。これは、発展途上と高齢化の問題を同時に抱えた中国の年金制度の運営の難しさとも密接に関係している。
90年代になって、中国の年金制度は大きく改革された。旧制度の年金制度の矛盾を解決するためだった。それに伴い、老人は旧制度のままで、新しい加入者は新制度でという方針で現在まで運営されている。結果、2000年の中国の養老年金の赤字は360億元であったのに、2005年末になると8000億元にまで急増した。一方で、養老基礎年金に加盟している人の割合は、2005年で1.74億人に過ぎず、人口全体の13.38%となっている。これはILO(国際労働機関)の定める20%という最低ラインにも達していない。現状では未加入者となっている中国の大部分の農民や出稼ぎ労働者は養老年金を受けることすらできないのである。よって、彼らは老後に関して自分で十分に蓄えておかなければならない。一方で、先進工業国のように定年を先延ばしにすればよいかといえば、ことはそう単純ではない。中国では、今でも労働力があまっている状況が続いている。さらに、離農して都市に流入する出稼ぎ労働者も増えている。特に、若者の就職難の問題は深刻だ。定年を先延ばしすると、そういったマイナス面が一気に露呈する可能性もある。
中国労働社会保障部では、定年時期を遅らせる問題に対して、結論を急がずに研究を進めているようだ。(06年11月記:1,379字)
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