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易憲容の失脚

中国ビジネスレポート 政治・政策
田中 修

田中 修

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2007年3月27日

記事概要

 中国のエコノミストの中で、早くから不動産バブルの危険性を指摘し、人民銀行に対し早期利上げの必要性を訴えていた社会科学院金融研究所金融発展・金融制度研究室の易憲容主任が突然主任の地位を解任され、易憲容は香港に去ることになった。この仕掛け人は金融研究所の李楊所長だったようである。この経緯について、現在分かる範囲で紹介しておきたい。

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 はじめに

 中国のエコノミストの中で、早くから不動産バブルの危険性を指摘し、人民銀行に対し早期利上げの必要性を訴えていた社会科学院金融研究所金融発展・金融制度研究室の易憲容主任が突然主任の地位を解任され、易憲容は香港に去ることになった。この仕掛け人は金融研究所の李楊所長だったようである。この経緯について、現在分かる範囲で紹介しておきたい。

 

1.易憲容の論調

 

 彼の論文は極めて多いが、ここでは代表的な2本の概要を紹介しておきたい。

 

 1.1 ディベロッパー、地方政府、投機家が一緒になって住宅価格を吊り上げている(2006年5月17日中国経済時報)

 北京の住宅価格は、なぜこのように急速に上昇するのか?問題は、不動産ディベロッパー・地方政府・投機家が一緒になって住宅価格に投機を行っているところにある。

 まず、現在国内の高い住宅価格は、政府の政策が誤っていたことの結果である。なぜなら、政府からすると、不動産へのマクロ・コントロールはイコール住宅価格の安定であり、価格を引き下げないことにあるからである。これは、不動産市場に対し、既存の不動産市場の情勢等を維持するという明確なシグナルを発出していることになる。

 このような観念・政策の下、国内の不動産市場は2年間マクロ・コントロールが行われたものの、効果が顕れていない。不動産投資は飛躍的に伸び、住宅価格は高騰し、民衆とディベロッパーの感情的対立はますます深刻になっている。

 また、住宅価格の高止まりは必然的に国内の経済産業構造全体に逆の選択をとらせることになる。現在、一部のハイテク企業や製造業企業、さらには輸出企業が続々と不動産業に参入しているが、これは中国の産業構造調整と経済成長方式の転換に必ず悪影響を及ぼすことになる。

 さらに、住宅価格の上昇期待は、必然的に地方政府の都市経営を強化することになる。ここ数年、中国の都市競争力の形成は1つの錯覚に陥っている。即ち、少なからぬ官員が都市競争力とはいかに都市を経営することかであると論じている。しかも、政府が都市を経営する際には、権力を用いて企業・民衆の資源を争奪しているのである。

 ここ数年、国内の多くの都市で経営が声高に叫ばれ、GDPが急速に伸び、建築が積み上がるように林立し、財政収入が急膨張しており、規模も急拡大している。しかし、この成果の多くは国有土地政策がバックとなっており、農民・都市住民の利益を略奪することにより、築き上げられたものである。このことは、中国の有史以来社会の冨の第1次分配の最も深刻な不公平をもたらし、少なからぬ都市・農村の社会的矛盾も不断に激化している。

 さらに、高い住宅価格は、中国の金融システムの安全に深刻な脅威となっている。現在、国内の銀行界は不動産融資は優良資産とあまねく認識している。しかし、このような考え方は、いくつかの前提条件の上に成り立つものである。1つは不動産市場の価格が上昇のみで下落しないこと、2つは銀行の金利水準が現在の基礎の上に永遠に維持されること、3つは中国の経済繁栄に周期的な変化が出現しないこと、である。しかし、現実にはこの3つの前提はいずれも条件つきであり、不確定で、変化しうるものである。中国の金融システムは完全に銀行主導であり、国内の不動産の資金は基本的に銀行からきている。ある研究では、国内不動産市場の投資の80%以上が銀行からきており、資金が流れ込む方式だけが多様化していると表明している。

 最後に、住宅価格が高いことは、地域経済の発展の不均衡を激化させるばかりか、民衆の冨の格差を拡大させることになる。沿海の一部の地方の住宅価格が急上昇すれば、全国の貸付資金と冨がこの地域に集中してしまうのである。

 個々人からすると、不動産ディベロッパーが最大の既得利益者であるほか、関連の権力を握っているか、権力者に近い者が利益を受けることになる。当然銀行の貸出担当者も住宅価格の上昇の受益者であるが、不動産ディベロッパーや政府の権力者に比べれば微々たるものである。

 最大の被害者は、農民と都市の広範な中低所得者である。今般の都市造成活動において、いくらかの農民は土地譲渡に際し一定の補償を受けているが、この補償は政府が土地譲渡によって得る利益には比べものにならない。

 政府がどのような政策により、国内の高い住宅価格を抑制するかは、私は実際簡単なことだと思う。第1に、不動産市場の深刻な投機に打撃を与えることである。国内については、不動産取引所得税・住宅空置税・不動産所有税を課し、国外については、外資による不動産市場への投機に断固として打撃を与えることである。第2に、中央銀行は不断に金利を引き上げ、不動産投機家のコストを迅速に引き上げることである。第3に、住宅の予約販売制度を取り消すことである。

 

 1.2 人民元の金利をなぜ敢えて引き上げようとしないのか(2007年3月6日人民網)

 わずか半年の間に、中央銀行は連続5回預金準備率を引き上げた。この目的は、国内の投資過熱と過剰流動性を抑制するためであるが、実際の効果には限りがある。なぜなら、預金準備率引き上げにより収縮する流動性と国内銀行が保有している流動性とでは比べものにならないからだ。しかも、頻繁に預金準備率を操作することによって、商業経営上の利息損失を容易に生み出すばかりでなく、商業銀行の資金使用の効率への配慮を弱め、銀行の業務の多元的な展開を制限することになる。さらに、頻繁に数量手段により経済をコントロールすると、自ずと市場手段や金融における市場価格メカニズムの働きが弱体化することになる。

 2006年に国内銀行の中長期貸出は主として不動産・交通運輸・電力・公共施設管理・製造業等に向けられた。しかも、2006年の不動産向け新規銀行貸出増は3359億元、41.91%の伸びであった。この間、2006年には銀行に対して貸出引締め策が採用されたが、なおも大量の銀行資金が不動産に流れ込んでいる。ポイントは2つある。1つは現行の銀行システムの金利差が大きいことであり、貸出規模の拡張は国内銀行が利益を得る最も好ましい方法となっている。第2に、預金・貸出金利の変動幅が拡大したことにより、株式制化し上場した国内銀行にとって、業務経営上金利の敏感性が高まっていることである。

 私がずっと強調しているのは、中国の金融市場の多くの問題は、金利体制が開放されておらず、政府の管制下で低金利政策が採られていることにあるということである。低金利政策は、中国金融市場の多くの経済行為を捻じ曲げる根源であり、同時に、低金利政策は現在の中国の投資過熱、不動産過熱、株式市場バブルの根源であるといってよい。

 このため、中国の金融市場の金利市場化を加速し、現在の政府管制下の低金利政策を改めることが、中国経済持続的・安定的に発展するカギとなる。

 

2.李楊の批判

 

 このような易憲容の言論活動に対し、社会科学院金融研究所長の李楊は3月21日取材を受け、次のような批判を行った(2007年3月23日東方早報)。

「易憲容は、社会科学院の金融研究員として、その発表する言論は余りにも非科学的で、慎重さを欠いており、大衆に責任を負う態度に欠けていた。これが、彼が金融発展・金融制度研究室主任を辞任した原因の1つである[1]

金融研究所の2007年の業績審査において、易憲容の成績は不合格となった。我々は2方面から業績審査を行った。1つは、研究員自身の研究成果であり、審査基準は、毎年発表している論文の数量ではなく、科学的な研究を行っているか否かであり、社会に有用な成果を挙げているかである。第2に、自分が在籍している基層研究室に貢献しているかどうかである。易憲容は、ずっと忙しいという個人の事情で研究室に対して果たすべき貢献を全く行ってこなかった。

一般の研究員は、1年に20-30篇の論文を出す程度であるが、易憲容は600余りの論文を書いており、大部分が不動産に関わるものである。不動産業の研究は非常に複雑であり、自分の見方を勝手に発表して大衆を誤って先導してはならない。易憲容は自分がどんなでたらめをやらかしているのか(この部分は北京方言で発言)分かっていないのではないか!」

また、主任解任後の易憲容の動静について李楊所長は、「易憲容は自ら辞職した。なぜなら、彼は自身の都合で1週間前香港に行ったからだ。彼が言うには、自分には金融研究所を管理する時間がないとのことで、香港に言って一体何を研究するのか報告もなかった。しかし、当研究所は研究員が自分で行う研究内容については、緩やかに管理することにしているので、我々は彼の辞表を受け取った。社会科学院のサイトではこの情報を一般に公開しているが、易憲容は依然金融研究所の研究員のままである。」

 

3.「東方早報」のコメント

 

 記者は、李楊所長の口ぶりから、易憲容は研究所の措置に腹を立て飛び出したものと解している。今のところ、彼の行為に追加的懲罰はない模様である。

 また3月22日、記者はこの一件につき、上海の不動産業界の古株(名前は非公開)に取材している。この古株は、次のようにコメントした。

 「私は彼と接触したことがあるが、易憲容は確かに不動産についてさほど理解していないと分かった。彼は経済のマクロ面の一部を把握しているだけで、ディベロッパーと交流していない。このため、不動産の細部について大して理解しておらず、私は彼の評価は確かに研究不足だと思う。ただ、論争というものは、それが正しいか誤りかに関わらず、業界としてはより多くの観点・見方が必要である。」

 ただ、記者は易憲容のサイトに何度かアクセスしたところ、大部分の書き込みは易憲容の態度に声援を送り支持していることを紹介している。

 

4.学者の反発

 

 2007年3月23日中国新聞網によれば、易憲容の解任は学者達に波紋を投げかけている。

まず3月22日、11名の経済学者[2]が平民経済社のサイトに連名で次のような公開状を掲載した。

 「易憲容を辞職に追い込むことは、学問の自由を妨げることである。易憲容が敢えて発言し、政府を批判し、ディベロッパーに対抗しているその気構えは賞賛に値する。常識に基づいて住宅債務奴隷(房奴)のために発言し、職を離れた易憲容に声援を送ろう!」

 また23日午前には、劉正山・黄祖斌が新民網において次の意見を表明した。

 劉正山は「易憲容氏が職を離れたのは、不動産関係の有力者や一部の既得権益集団の学者に恨まれた可能性がある」とし、「言葉の中に理性的でない部分があるかないか、慎重さに欠くところがあるかないかに関わらず、専業知識分子は常識によって大衆に語りかけることができる。これは否認されるべきではない。そもそも彼が敢えて発言したのは、庶民がそれを要望したからであり、調和のとれた社会の要請からなのである」とする。

また黄祖斌は「業績審査で不合格にし、易憲容に主任辞職を迫るのは名目が立たない」とし、「李楊の『論証を経ず、根拠もないのに言論を発表することは許さない』という言動には不賛成である。再調査しても分からないこともあれば、一目瞭然のこともある。『梨の味が知りたければ食べてみればいい』という言葉がある。しかし、一面において金融危機のように、結果が発生してから判断したのではだめなものもある。卵を食べた者は誰でも、その卵がうまいかまずいか、自分の考えを発表する権利はあるのだ」とする。

さらに2人は「易憲容を辞職に追い込むことは、学問の自由の妨げになる」とし、「李楊は易憲容の論文の質が悪いことを理由に彼を審査で不合格にしたとするが、これは正確ではない。結局そこには主観的な判断があるからだ。11名の学者は易憲容の観点に完全に賛同しているわけではない。しかし、彼ら11名は、常識をもって住宅債務奴隷のために発言した名パーソナリティの易憲容を連名で声援しようと望んでいる。彼らは一致して連名で易憲容を声援することに同意しており、これには何の争いもない。しかも、彼らが発言することで、ますます多くの学者・専門家が易憲容を声援することになるに違いない」とするのである。

 

コメント

 この事件の背景がまだ明らかでないので、過度な想像は差し控えなければならないが、今回の経済引締め局面で易憲容の果たした役割は大きい。即ち、彼は国家発展・改革委員会経済運営発展研究室の王小広主任や中国改革基金会国民経済研究所の樊綱所長[3]、人民銀行とともに、早くから不動産市場の過熱や投資過熱の危険性を訴えていた。これに対し、国家統計局、不動産ディベロッパーは投資過熱など存在しないと反対し続けた。

 2004年に到ると投資過熱は誰の目にも明らかになったが、それでも7月時点では陳良宇上海市党委書記(当時)ら上海グループは経済引締めに異を唱え続けた。当時李楊は人民銀行の貨幣政策委員会の委員であったが、金利引き上げ等金融引締め強化に反対し、人民銀行首脳と対立していたのである。

 上記の2つの論文を見ると、第1の2006年5月17日論文が発表されたその日、温家宝総理は国務院常務会議を開催し、次の各項目からなる国務院「6条意見」を採択した。

A住宅の供給構造を適切に見直す。

B税制・貸出・土地政策による調節作用を更に発揮する。

C都市の住宅移転の規模・スピードを合理的にコントロールし、受動的な住宅需要が過度に伸びることを軽減する。

D不動産市場の秩序を更に整頓・規範化する。

E都市の低家賃住宅制度の建設を加速し、エコノミー型住宅の発展を規範化し、中古住宅市場・賃貸市場を積極的に発展させ、低所得家庭の住宅困難を段階的に解決する。

F不動産統計・情報開示制度を整備する。

 また、6月からは住宅の短期譲渡課税を強化し、7月11日には「不動産市場の外資参入と管理に関する意見」を公表し、外資による不動産投機の規制を強化したのである。

 第2の2007年3月6日論文が発表された時期は、人民銀行が利上げのタイミングを見計らっていた時期であり[4]、3月18日に人民銀行は利上げに踏み切ったのである。

 こうしてみると、易憲容の主張は政府・中央銀行の引締め策の先取りをしており、これを世論の立場からバックアップしている形になっている。李楊の言うように、彼の言論が非科学的であり、大衆に対して無責任であるとすれば、易憲容の建策と同方向で経済運営を行っている温家宝や周小川も非科学的であり、デマゴーグということになろう。

 むしろ、2004年に李楊が金融引締めに反対したにもかかわらず、人民銀行は10月に利上げを断行し、さらにその後も預金準備率引き上げ・公開市場操作・利上げを駆使して過剰流動性回収を図っていることからすれば、李楊の主張の方が中央の現実の政策と大きく乖離していると言えなくもない。

 にもかかわらず、なぜ易憲容は解任されたのか。現在のところ、考えられる理由は次の3点である。

A社会科学院内部の意見対立

 李楊と易憲容の立論が相容れないことは明らかであり、不動産投資のあり方をめぐって両者の対立が深まったことは想像に難くない[5]

 また、2007年3月2日市場報によれば、社会科学院経済研究所の汪利娜研究員、金融研究所殷剣峰博士等社会科学院の関係者が2006年末から2007年初までの2ヶ月間上海・北京・深圳等を訪問し、政府不動産部門・ディベロッパーと接触するなど広範な調査研究を行い、その結果として「現在住宅購入者の負担は日増しに重くなっている。特に2004年以降、不動産価格と家庭収入の比率が増加し、中等所得者は現在住宅債務償還が家庭収入の50%となっている。これは警戒ラインであり、もしこれ以上利上げするならば、住宅をますます買うことができなくなる」との見解を表明し、人民銀行の金融引締めを批判している。これを見ると、社会科学院において人民銀行の見解に近い易憲容は孤立を深めていたのではないかと思われる。

Bディベロッパーと利害を共通にする勢力との対立

 2003年以降の投資過熱局面では、ディベロッパーの主張に上海グループ・国家統計局のみならず多くのエコノミストが見方し、人民銀行は一時孤立状態に陥った。

 この背景には、ディベロッパーが多くのエコノミストに金を渡し、経済引締め反対の世論作りに奔走したこと、エコノミスト自身が不動産投機を行っており、経済引締めを望まなかったことが指摘されている。即ち、エコノミスト自身の腐敗が進行しているのである。

このなかで易憲容は、清廉なエコノミストして世論の人気が高かったが、それだけに多くの人間を敵に回した可能性がある。

C易憲容の意見発表の形式の問題

 易憲容自身は改革派であるが、彼のようにメディアに多くの論文を発表して世論に訴える方式は新左派がしばしば用いる手段である。

 新左派の台頭は、香港中文大学の郎咸平教授が2004年8月中旬に複数の大手企業を取り上げて批判し、現在の国有企業改革は「国有資産を流出させ、一部の経営陣の私腹を肥やすだけであり、国有企業の民営化はやめて、国有経済を中心とした経済構造を再構築すべきである」という見解を打ち出したことに始まる。彼自身は左派であることを否定するが、結果的に新左派が彼の論調に同調し、ネットを動員して市場化改革批判を展開したため、新左派の主張は経済格差拡大に不満をもつ庶民の共感を呼び、2005年にはかなり世論に影響を与えるまでに到った。一時期、郎咸平は易憲容とともにネット世論の寵児となっていた。このため、胡錦涛指導部もマルクス主義研究を強化するなど一定の妥協を余儀なくされたのである[6]

 しかし、2006年3月の全人代において、胡錦涛総書記が改革の続行を明言して以降は、メディアにおいて新左派の排除が進んでいるようであり、郎咸平も大陸のネットからは事実上排除されている。

 易憲容のディベロッパー・地方政府批判は、それ自体は正義感に基づくものだとしても、新左派の政権批判に利用されやすい面があり[7]、当局がこれを警戒した可能性もある。

 

 以上、3つのどの理由が決定的であったか、現時点では判然としない。しかし、理由がもしBであるとすると、攻撃の矛先は易憲容と並んで不動産投資に厳しい意見を展開している国家発展・改革委員会の王小広に向かう可能性もある[8]。もし、そうなれば正面から不動産バブルを指摘するエコノミストはいなくなることになり、中国の経済運営の先行きにも好ましくない影響を及ぼす可能性がある。

 今後このような学者排除の動きが拡大するかどうか、注目する必要があろう。(3月27日記・7,566字)


 


[1] 記者は、このときの李楊の口吻には「期待していたが物にならなかった」(中国語では「鉄が鋼にならなかった事を恨む」)意味がにじみ出ていたとしている。
[2] これに名を連ねた学者は、劉正山、陳永苗、黄祖斌、呉木鑾、蘇振華、王飛、陳中、賈晋京、東方愚、呉錦宇、魯寧である。
[3] 現在樊綱は、人民銀行貨幣政策委員会の委員に就任している。
[4] 人民銀行の周小川行長は、全人代第5次会議において、「2006年に金利調整を2回行った。現在の金利水準は合理的であるが、中央銀行は利上げの可能性を排除しない。インフレは利上げを決定する重要要素であるが、唯一の要素ではない。中国の物価水準は2006年末かなり高かったが、総体としては合理的であり、利上げの是非は将来の消費者物価指数や工業品出荷価格の動向をなお観察する必要がある」としていた(2007年3月6日上海証券報)。
[5] 一般的なアカデミズムの傾向として、多忙を理由に組織内の雑用を拒否したり、組織・学界の機関誌に論文を掲載することよりも、メディアでの発言を優先する学者は同僚・上司の反感をかいやすい。
[6] マルクス主義の研究強化は、社会科学院が中心となっている。
[7] 易憲容を支援している11名の学者がどのような立場に立っているのか明らかではないが、易憲容のように公然とディベロッパー・地方政府を批判する人物が排除されることは、新左派にとっても好ましくない事態と考えられる。
[8] 樊綱は人民銀行貨幣政策委員就任後、発言に慎重になっており、攻撃の対象になる可能性は少ないと思われる。

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