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ログイン2007年4月16日
第11次5ヵ年計画(2006-2010年)において、従来の都市化戦略に加え、新たにメガロポリス(中国語では「都市群」)という用語が登場した。
はじめに
第11次5ヵ年計画(2006-2010年)において、従来の都市化戦略に加え、新たにメガロポリス(中国語では「都市群」)という用語が登場した。しかし、その中身については、詳細な解説がなかったが、今般国家発展・改革委員会国土開発・地域経済研究所の肖金成・袁朱が、その内容を中国経済時報2007年3月30日に解説している。将来どの都市の発展が期待されるかが明示されており、今後の対中進出の参考資料ともなると思われるので、以下、その内容を紹介するとともに、併せてこれに疑問を呈する見解も紹介しておきたい。
1.国家発展・改革委国土開発・地域経済研究所の主張
現在、わが国は10大メガロポリスを形成しようとしている。即ち、北京・天津・河北、長江デルタ、珠江デルタ、山東半島、遼中南、中原、長江中流域、海峡西岸、四川・重慶、関中メガロポリスである。
そのうち、北京・天津・河北、長江デルタ、珠江デルタの3大メガロポリスは、将来20年においてなお中国の経済発展を主導することになろう。
21世紀に入り、わが国の地域発展の重要な特徴は、メガロポリスが出現したことである。国家の第11次5ヵ年計画要綱では、明確に「メガロポリスを都市化の主体的形態とする。既にメガロポリスの発展構造を形成している北京・天津・河北、長江デルタ、珠江デルタ等の地域は、引き続き先導・放射作用を発揮し、メガロポリス内の各都市の分業協力・優位性の相互補完を強化し、メガロポリス全体の競争能力を増強しなければならない。メガロポリスの発展条件を備える地域は、統一的な計画を強化し、特大都市・大都市を先頭に、中心都市の役割を発揮させ、土地使用が少なく、就業が多く、要素の集結能力が強く、人口分布が合理的な若干の新たなメガロポリスを形成しなければならない。」とした。これは、党・国家の都市化プロセスの促進と地域発展についての重要な戦略方針であり、わが国経済・社会の発展に必然的に重要かつ深遠な影響を生み出すものである。
1.1 メガロポリスの概念
いわゆるメガロポリスは、特定地域の範囲内において、相当数の性質・類型・等級規模が異なる都市が集まり、1つないし2つの特大都市が中心となって、一定の自然環境・交通条件に依拠し、都市間の内部関係を不断に強化し、共同で構成する1つの相対的に全部整った都市「集合体」を言う。メガロポリスの概念の表現について学者達は決して一致しているわけではないが、認識は次第に一致傾向にある。即ち、メガロポリスは多くの都市により形成され、相互関係が益々緊密となり、共同で地域の発展に影響を生むものであるということである。メガロポリスは、工業化、都市化のプロセスにおいて、地域空間形態の高級な現象であり、巨大な集積経済効果を生み出すことができるものであり、国民経済が速く発展し、現代化水準が不断に向上していることを示す標識の1つである。
メガロポリスと関連した概念は多い。例えば、都市圏、都市が連綿としている地域(「都市連綿区」)、都市ベルト(「都市帯」)、団塊を組成している都市(「組団型都市」)等々。これらの概念は一定の共通性があるため、時に混用される。実際には、メガロポリスと都市圏の概念には区別があり、都市ベルトと都市が連綿としている地域にもそれぞれの定義がある。
都市が連綿としている地域に関する研究は相対的に深まり、全面的になっており、これはメガロポリスの1つの具体的形態である。概念上は、都市地域を基本的な単位とすることが強調され、数十万から百万の人口以上の若干の大都市を核心とし、周囲の地域と強い相互作用と密接な社会経済関係を維持し、1本あるいは多くの交通幹線に沿って大小都市が連続して分布する巨大都市が一体となった地域である。
都市ベルトと大都市ベルトの含意は、基本的に同じである。いずれも、1本の交通軸線上に大小の多くの都市が分布しているものを指す。大都市ベルトは文字どおり、多くの大都市が分布している。メガロポリスの概念と異なるのは、都市ベルトで強調されるのは都市分布の形態であり、都市間に密接な関係が存在しているとは限らないのに対し、メガロポリスは都市間の経済関係と相互影響が強調されるということである。
団塊を組成している都市とメガロポリスは極めて類似している。経済関係、機能の相互補完、交通の発達面で、いずれも典型的なメガロポリスと言うことができる。しかし、本質的な区別は、前者は分散状の分布を呈した都市であり、現代の大都市が交通渋滞と環境悪化を避けるため、新たな地域を建設することにより多くの中心をもつ構造を形成したもの、あるいは周囲の都市が拡張するにつれて1つの新たな団塊を組成する都市を形成したものである。これに対しメガロポリスは、多くの都市により組成される集合体であり、いかに発展しようとも1つの都市になることはない。
都市圏という単語は、見かけることも使用頻度もかなり高い。この概念の起源は日本にあり、日本は太平洋沿岸に東京・大阪・名古屋の3大都市圏が分布し、共同で太平洋沿岸の東海道メガロポリスを構成している。これで分かることは、1つのメガロポリスにはいずれも1つないし多くの都市圏が存在するということである。都市圏は同一の都市の影響範囲に属しており、一般に1つないし2つの大都市の放射の半径を境界とし、その都市の名前が冠せられている。
メガロポリスの出現は、1つの歴史プロセスである。都市は1つの地域の中心であり、大量の産業・人口を集中させるという電極効果により速い発展を獲得した。規模が拡大し、実力が増強されるにつれ、周辺地域に対し放射・先導の効果を生み出した。1つまた1つ都市圏が形成され、都市の規模の拡大と都市間の交通の改善、とりわけ高速道路の出現により、隣接する都市の放射地域が不断に接近し、部分的には重なり合うようになった。都市間の経済関係は益々密接になり、相互影響がますます大きくなったとき、メガロポリスが形成されたと認識することが可能となったのである。
1.2 中国は10大メガロポリスを形成する
わが国は13億の人口を擁し、かつ多くが東・中部の生態環境のかなり良い地域に居住している。これらの地域の都市の数量は比較的多く、規模は比較的大きい。都市化の水準が高まるにつれて、都市の数量も規模も一層の拡大が見込まれる。近年来、高速道路の建設により、都市間の交通事情は極端に改善され、都市間の産業関係・経済協力も不断に強化され、地域経済の一体化プロセスが加速している。前述の北京・天津・河北、長江デルタ、珠江デルタの3大メガロポリス以外にも、新たなメガロポリスが続々と出現している。現在既にその萌芽が顕れているのが、山東半島、遼中南、中原、長江中流域、海峡西岸、四川・重慶、関中メガロポリスである。都市化の速度は加速し、都市体系は不断に整備され、メガロポリスは健全に発展しており、第11次5ヵ年計画期間の地域経済発展の特徴であるのみならず、国家の地域経済発展の重大戦略となっている。
(1)長江デルタ、珠江デルタ、北京・天津・河北
20世紀90年代、中国経済の顕著な特徴は、長江デルタ、珠江デルタ及び北京・天津・河北の3大メガロポリスの発展速度が速かっただけでなく、全国に占める経済規模の比重が益々高まり、中国経済発展のエンジンとなったことである。
将来の20年で、長江デルタの奥地は引き続き拡大し、逝江省の大部分、江蘇省の大部分、安徽省の一部分はいずれもメガロポリスの範囲に組み込まれることになろう。
珠江デルタは、香港・マカオと地域経済が一体化し、その優位は更に大きく、放射力は更に強まることになろう。
北京・天津・河北メガロポリスにおける各大都市の特色・優位性は十分明らかであり、相互補完作用は強い。北京には政治・文化・ハイテクの優位性があり、天津には港湾・製造業の優位性があり、石家庄には商業・貿易業の優位性がある。とりわけ、天津の濱海新区の開発・開放は国家戦略であり、メガロポリス発展への影響は更に大きい。いったん行政の垣根を突破してしまえば、発展の潜在力は迅速に開放されることになる。
3大メガロポリスは、将来20年なお中国経済の発展を主導することは確かといってよい。
(2)山東半島
山東半島メガロポリスは、済南・青島を中心に、煙台・濰坊・淄博・東営・威海・日照等の都市が含まれる。
海に臨み、日本・韓国に近いという地域的優位性を発揮し、製造業・農産品加工業の発展の勢いがめざましく、山東省全体の発展を先導している。メガロポリスの対外放射力が増強されるにつれて、メガロポリスの範囲も不断に拡大することになろう。
(3)遼中南
遼中南メガロポリスは、瀋陽・大連を中心に、鞍山・撫順・本渓・丹東・遼陽・営口・盤錦・鉄嶺等の都市が含まれる。
この地域の都市は高度に密集しており、大都市の比重が最も高い。瀋陽は東北・内蒙古東部経済の中心であり、交通・情報の中心であり、全国最大の総合的な重工業基地である。大連は、東北地方の重要な国際水運の中心であり、東北地方最大の港湾都市・対外貿易港である。遼中南地域の工業化の歩みは既に70年近くになり、工業化が推進されるなかで、中部都市密集圏と「瀋」のつく大都市回廊を形成した。近年、瀋陽・大連を中心に、長大・瀋丹・瀋山・瀋吉・瀋承の5本の交通幹線道を基軸として都市の分布体系が形成され、地域の都市化水準が高まっている。
(4)中原
中原メガロポリスは、鄭州・洛陽を中心に、開封・新郷・焦作・許昌・平頂山・漯河・済源を含む計9つの省管轄市である。
中原メガロポリスは河南省の中部地域に位置し、中原という肥沃な土地に依拠して、内外に有名な大都市(例えば、洛陽、開封、許昌等)を育み、幾度もの興亡を経て、その艶やかさは未だ衰えていない。鄭州は後に起こった都市ではあるが、その恵まれた交通の優位性により古い都市を追い越すことができ、中原メガロポリスの中心となった。地域内の人口密度は665人/k㎡に達し、わが国の人口密度が最大の地域の1つである。各都市の発展の勢いは力強く、経済関係は日増しに緊密となり、鄭州を中心に1時間半で行き来できる交通ネットワークを形成しており、一体として発展する基礎と条件を備えている。
(5)長江中流域
長江中流域メガロポリスは、武漢を中心に、黄石・鄂州・木岡・仙桃・潜江・孝感・咸寧・天門・随州・荊門・荊州、河南省の信陽、江西省の九江、湖南省の岳陽を含む、12の地区レベル都市と3の省直轄県レベルの市からなる。
現在、地域内部に一定の経済関係が既に形成されており、武漢市の総合経済実力の増強につれ、地域内の経済関係は更に緊密になろう。武漢は9省に通ずる地と称されており、東西には長江の黄金水路があり、南北には京広鉄道があり、経済実力と放射影響力がいずれも強い。長江中流域メガロポリスは、優越した地理条件を備え、交通が発達し、産業が相当の基礎を備えた、科学技術・教育資源が豊富なメガロポリスの1つであり、わが国の未来空間を開発するうえで、重要な戦略的地位と意義を有している。
(6)海峡西岸
海峡西岸メガロポリスは、福州・アモイ市を中心に、漳州・泉州・莆田・寧徳の4市が含まれる。
福州は福建省の省都であり、アモイはわが国が改革・開放後、中央が確定した4大経済特区の1つであり、大量に台湾資本を吸収し、経済総量が迅速に拡大した。海峡西岸メガロポリスは台湾と海を隔てて相対しており、台湾との協力を展開し平和統一を促進する基地であるばかりでなく、協力の中で快速の発展が可能となる。海峡西岸の経済区建設を加速することは、海峡西岸経済の緊密な関係、互恵・Win-Winを更に促進し、祖国統一の大業を推進することになろう。海峡西岸の特殊な地理的位置に基づき、国家第11次5ヵ年計画要綱は、明確に「海峡西岸・その他台湾資本が相対的に集中している地域の経済発展を支援する」と提起している。海峡西岸メガロポリスは海峡経済区の核心地域であり、国家政策の支援の下、都市の発展、経済協力、台湾との交流等においていずれも一層速く良好な進展を獲得するだろう。
(7)四川・重慶
四川・重慶メガロポリスは重慶・成都両市を中心とし、自貢市・瀘州市・徳陽市・綿陽市・遂寧市・内江市・楽山市・南充市・眉山市・宜賓市・広安市・雅安市・資陽市の四川14地区レベル市と重慶西の経済回廊等の県市が含まれる。
都市の等級体系からすると、成都・重慶が特大都市である以外、自貢・綿陽・南充が大都市、雅安・資陽が小都市であり、その他の都市は中等都市である。重慶市は全国4大直轄市の1つであり、直轄になって以後都市の規模が迅速に拡大し、経済実力が不断に増強し、周辺への放射力も増強した。成都は四川省の省都であり、都市の発展も速い。将来、都市間の交通体系の建設を引き続き進め、核心都市の放射効果を強化して、メガロポリスの一体化の程度をさらに引上げる必要がある。
(8)関中
関中メガロポリスは西安を中心とし、咸陽・宝鶏・渭南・銅川・商州等地区レベルの都市が含まれる。
関中は、中華民族の発祥の地であり、周・秦・漢・唐がいずれもここに都を建設した。関中メガロポリスは陝西経済の核心地域である。建国以降50余年の建設・開発、改革・開放を経て、今日ではわが国西部地域唯一のハイテク開発地帯・星火計画[1]の科学技術産業地帯となっており、西北ないし西部地域において比較優位の地域である。新中国成立以来、関中はずっと全国生産力立地の重点地域であり、全国地域経済戦略の位置づけにおいて陝西ないし西北地域の重要生産科学研究基地とされてきた。高等教育機関、科学研究機関、国有大中型企業が相対的に密集し、西北の経済発展に放射力を及ぼすことができる産業密集地域が形成されており、全国の地域経済発展において重要な地位を占めている。
(9)10大メガロポリスのウエイト
統計によれば、上述の10大メガロポリスの土地面積は全国総面積の9.99%であり、2005年において人口の35.02%、GDPの52.83%を占めている。即ち、10大メガロポリスは10分の1に満たない土地面積で、3分の1以上の人口を引き受け、2分の1以上のGDPを創造しているのである。資源・環境の負担能力と将来の発展の潜在力からすると、10大メガロポリスは更に多くの人口を凝集し、更に多くのGDPを創造するだろう。したがって、10大メガロポリスはわが国の最も発展潜在力のある地域であり、わが国の国民経済にとって10大支柱になると言ってよい。
(10)その他の地域
上述の10大メガロポリスのほか、長珠潭を中心とした湖南中部、長春・吉林を中心とした吉林省中部、ハルピンを中心とした黒竜江中北部、南寧を中心とした北部湾地域、ウルムチを中心とした天山北坡地域等はいずれも発展の望みがあり、規模のかなり大きい新たなメガロポリスとなろう。
(11)世界における位置づけ
現在、世界が公認している大型メガロポリスは5つあり、米国のボストン-ニューヨーク-ワシントン・メガロポリス、北米の5大湖メガロポリス、日本の東海道メガロポリス、フランスのパリ・メガロポリス、イギリスのロンドン・メガロポリスである。
長江デルタを世界第6のメガロポリスと考える学者もある。我々の予測では、若干の年数がたてば、全世界の10大メガロポリスのうち5つは中国にある可能性がある。
2.国際金融報の反論記事
国際金融報2007年4月2日は、劉洋名で上記の国家発展・改革委員会エコノミストの見解に対し、「中国10大メガロポリスの興隆 その損得に頭を悩ます際は、理性的な対応が必要である」と題する論文を発表した。その概要は以下のとおりである。
わが国は10大メガロポリス(北京・天津・河北、長江デルタ、珠江デルタ、山東半島、遼中南、中原、長江中流域、海峡西岸、四川・重慶、関中メガロポリス)を形成し、将来世界の10大メガロポリス中、中国が5席を占めることになる。
この情報を初めて見ると、筆者は少なからぬ都市・地域が抱く感想と同様、まず中国のメガロポリスが将来世界に占める地位に非常に驚喜し、次に入選しなかった地域・都市に対して同情の念を抱く。しかし、心静かに詳細に再考してみると、また別の感想がある。
筆者の観点では、名の挙がった都市が喜ぶ必然性はなく、名の挙がらなかった都市が意気阻喪する必要も全くない。ここで示された観点は疑いなく専門家による専門性と権威のある見解ではあるが、1つの事実を指摘しておかずにはいられない。即ち、メガロポリスの形成は、そもそもある専門家、ある地域ないしある国家の個人の意志や行政命令によって決定されたものではなく、地域の発展が一定程度に達したことによる産物だということである。
実際、筆者の見るところ、喜んだり意気阻喪している都市も、おそらくこの道理は分かっているのだが、その上でなおこのような感情を抱いているのである。その理由はおそらく、観点を提出した専門家の特殊な身分によるものだろう。この観点を提出したのは国家発展・改革委であり、専門家に官僚としての背景があるため、この観点は官的色彩が強くなっている。多くの都市・地域の観点からして眼鏡にかなうのは、決してある専門家から名を挙げてもらえるかどうかではなく、国家が当該地域の発展潜在力を見て取っているかどうかなのである。
このことは了解するにはするけれども、了解したからといって筆者は決してこれに賛成しているわけではない。中国の地域発展は、長年ずっと政府に依存し又は行政の障壁の積み重ねにより、メビウスの帯の中に閉じ込められてきた。しかし、中国のメガロポリスが世界のメガロポリスに列することは、このメビウスの帯から抜け出さないのであれば、アラビアン・ナイトと同様夢物語に等しい。1つの地域の発展が、まず第一に政府がこの地域の潜在力を発見するかどうかに依存するとすれば、実際悲しむべきことである。
どの地域が10大メガロポリスに列することができるかを語らなくとも、中国が10大メガロポリスを必要とするかという問題だけでも、深慮に値するものである。都市化のプロセスが不断に進行している今日、西側の少なからぬ国家は、既に行き過ぎた都市化の問題を研究討議し始めている。もし一歩譲って行き過ぎた都市化の問題が存在しないとしても、1つの国家の合理的な発展の配置構造は、筋道がとおり秩序立ったものでなければならない。
中国の版図を1つ1つのメガロポリスに分割することは、中国の発展にとって最も合理的な配置構造とは言えないし、そうすべきでもない。この分割方式によるメガロポリスの発展は、各メガロポリスの発育不良と、放射力の重複による弱体化を招く可能性があり、メガロポリス間の競争は資源の浪費をもたらす。これは、明らかに誰もが目にすることを望まない結果である。
世界の10大メガロポリスの中で中国が5つの席を占有することは、もとより喜ばしいことであるが、もしこの5席が、世界の5大メガロポリス以外に中国が5席を押えてしまうということに過ぎないのであれば、これは全く必要のないことである。このような5席に比べれば、良好な発展により世界が公認する第6・第7のメガロポリスが出現する方がずっと中国人を奮い立たせるに値するものである。
コメント
筆者は、上記の2見解のうち、国際金融報の見解に共感する。
まだ第11次5ヵ年計画が策定段階であったとき、筆者はある国家系シンクタンクのメガロポリス構想を聞いたことがある。それは、中国の国土を均等にいくつもの大都市群に分割し、各都市群には全ての産業を均等に配置し、住民は全て超高層化されたマンションに住まわせ、それによって空いた土地を耕地として食糧の自給自足体制を確立するというものであった。この構想のメリットは、将来中国が例えば米国と全面戦争になって、いくつかの大都市群が核兵器等で壊滅したとしても、残りの大都市群によって長期抗戦が可能になるというのである。
筆者はこの構想を目にしたとき、「これは毛沢東の『三線建設』[2]の焼き直しであり、時代錯誤も甚だしい。沿海部と内陸部で全く同じ産業を配置するのは不合理である。もしこの構想が実現すれば、資源・エネルギーの大量浪費が発生するのは目にみえており、これから必要なのは、地域の特色に対応した産業立地政策・国土利用政策である」と指摘した。
この構想は結果的に第11次5ヵ年計画には採用されなかったが、今回の国家発展・改革委員会国土開発・地域経済研究所のメガロポリス構想には、これと似たものがある。
もし将来、日本の東京圏・名古屋圏・大阪圏を包含したようなメガロポリス[3]が中国に10誕生し、世界のメガロポリスの半分を中国が占めることとなれば、世界の先進国の総GDPの過半を中国が占めることになろう。この場合、中国が消費するエネルギー・資源量及び環境への負荷は想像を絶するものがある。おそらくそうなる前に、米国をはじめ先進国と深刻な経済摩擦が発生するであろう。
そもそも、各メガロポリス内の諸都市が今後合理的に産業を特化させ、相互補完的に連携・発展する保証はない。現在、中国では第11次5ヵ年計画において、国土を最適化開発区・重点開発区・開発制限区・開発禁止区の4主体機能区に区分し、今後は開発の重点を重点開発区に置き、最適化開発区(すでに十分開発が進み、資源・環境の負担能力が弱まり始めた地域)から産業を移転し、開発制限区・開発禁止区から人口を移転することとしている。しかし、最適化開発区と重点開発区の具体的線引きはまだ進んでいない。
このような中で今回発表された10のメガロポリス建設がスタートすれば、具体的に名を挙げられた諸都市はいずれも重点開発区に指定されるべく、激しい産業誘致活動を展開することになろう。メガロポリス内の産業分担構造が決まる前に、既成事実として中国伝統の全ての産業がフルセットとなった諸都市が乱立する可能性が高い[4]。
本構想は、まだ国家発展・改革委傘下のシンクタンクレベルのものである。国策として採用するまでには、各方面の意見及び外国の例を十分に参考とし、現在第11次5ヵ年計画の拘束性目標となっている、GDP単位当たりエネルギー消費20%減、及び主要汚染物質排出10%減の達成に支障をきたさぬよう、慎重な検討が求められる。(4月12日記 9,076字)
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