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経済諸会議の動向(1)2008年の中国財政収支状況など

中国ビジネスレポート 政治・政策
田中 修

田中 修

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2009年1月7日

記事概要

 2008年上半期は、わが国の経済成長がかなり速く、企業収益が比較的良かった。同時に、前年の企業所得税の清算納付がかなり多く、租税政策の調整の後年度効果による増収等の特殊要因の影響を受け、上半期の全国税収の伸びは33.3%であった。下半期、これらの特殊要因がなくなり、とりわけ国際金融危機の影響を受け、経済成長率が下降し、企業収益は減少した。しかも、企業所得税の税率を大幅に引き下げたうえに、一連の経済成長を促進する税費用減免政策を更に打ち出したため、全国の財政収入の伸び率は月ごとに反落している。

1.全国財政工作会議(200915日)

 謝旭人財政部長が以下の講話を行った(新華網北京電200815日)。

 

 1.1 2008年の全国財政収支状況

(1)財政収入

 2008年上半期は、わが国の経済成長がかなり速く、企業収益が比較的良かった。同時に、前年の企業所得税の清算納付がかなり多く、租税政策の調整の後年度効果による増収等の特殊要因の影響を受け、上半期の全国税収の伸びは33.3%であった。

 下半期、これらの特殊要因がなくなり、とりわけ国際金融危機の影響を受け、経済成長率が下降し、企業収益は減少した。しかも、企業所得税の税率を大幅に引き下げたうえに、一連の経済成長を促進する税費用減免政策を更に打ち出したため、全国の財政収入の伸び率は月ごとに反落している。

 2008年の全国財政収入は6兆元を突破し、伸びは19%前後になると予想される。

(2)財政支出

 111月期の財政の各種重点支出は、かなりよく確保することができた。

①農林水産業事務支出 3062.63億元(前年同期比29.7%増)

 2008年中央財政の農民への食糧直接補助・農業生産財総合補助・良質な品種への補助・農業機械購入補助 1027.7億元(107.7%増)

2008年中央財政「三農」支出見込み 5955.5億元(37.9%増)[1]

②教育支出 6822.41億元(22.3%増)

 2008年中央財政支出見込み 1581.8億元(47%増)

③医療衛生支出 1948.71億元(37.3%増)

 2008年中央財政支出見込み 833.6億元(25.5%増)

④社会保障・就業支出 5517.83億元(33.7%増)

 2008年中央財政支出見込み 2761.6億元(19.9%増)

⑤科学技術支出 1448.32億元(23.4%増)

⑥環境保護支出 830.8億元(42.9%増)

(3)2009年の見通し

 2008年下半期の財政収入の伸び率の下降傾向は2009年も続く。2009年は、財政が十分に困難な1年となり、全国財政収入の伸び率は顕著に下降すると予想される。同時に、支出圧力は更に強まり、財政収支の逼迫という矛盾が比較的際立つことになろう。

 

1.2 積極的財政政策を実施する際にうまく処理しなければならない4つの関係

(1)総量の拡張と構造調整の関係

 科学的発展観を深く貫徹実施し、経済建設という中心をしっかり把握して、経済の平穏で比較的速い発展をマクロ・コントロールの第1の任務としなければならない。

総量の拡張と構造調整を有機的に結びつけ、経済発展方式の転換と構造調整の促進を成長維持の主たる攻め口とし、発展の持続力を増強し、経済成長の質と水準を高め、経済社会の良好で速い発展を促進しなければならない。

(2)内需拡大と外需の安定の関係

 内需拡大を成長維持の根本ルートとし、投資と消費需要を積極的に拡大しなければならない。政府公共投資を増加し、経済社会発展の脆弱部分を強化する。

 個人消費の拡大を更に際立って位置づけ、民生改善を成長維持の出発点・足がかりとし、主として内需とりわけ消費の牽引に依存する経済成長構造を早急に形成しなければならない。

同時に、輸出入を積極的に促進し、内需を主とし外需を積極的に利用する共同による(成長)牽引を実現する。

(3)減税・支出増と収入増・支出節約の関係

 マクロ・コントロールの強化・改善の要求に基づき、税費用の減免・支出の増加・財政による利子補助等の多様な手段を総合的に運用して、企業の活力を増強し、内需を拡大し、経済成長と構造調整を促進しなければならない。

 同時に、統一的に各方面に配慮し、減税と財政の基本的な公共サービス保障能力維持との関係をうまく処理しなければならない。財政の科学的管理を強化し、法に基づく財務管理を堅持する。収入の徴収管理を適切に強化し、租税政策の統一と規範を自覚的に擁護し、勝手な減免税を禁止する。厳格に一般的支出を抑制し、特に行政支出を圧縮し、行政コストを引き下げ、財政経済紀律を厳格化し、散財を防止する。

(4)財政コントロールと市場メカニズムの関係

 政府のコントロールと市場メカニズムとは相互補完的である。財政政策は政府コントロールの重要手段である。市場の需要が不足し、企業投資と個人消費の意欲が弱体化している状況下、財政政策の役割を積極的に発揮し、金融政策等との協調的な組合せを強化し、財政マクロ・コントロールの予見性・協調性・有効性を高めなければならない。

同時に、タイミングをとらえて財政・税制の制度改革を推進するとともに、その他の分野の体制改革を大いに支援し、社会需要の拡大を制約する体制・メカニズム上の障害を早急に除去し、資源配分における市場メカニズムの基礎的役割をしっかり発揮させることを通じ、内需を拡大しなければならない。

 

1.3 積極的財政政策を実施するうえで力を入れなければならない点

(1)政府の公共投資を拡大し、消費需要を大いに促進する

 国債規模を増加し、政府の公共投資を拡大するとともに、消費の刺激・統一的に企画された発展・改革の深化等と有機的に結びつける。政府の公共投資構造を改善し、民生プロジェクト・インフラ・生態環境・災害復興に重点的にはりつけ、消費需要を牽引・誘導し、経済成長を迅速に牽引する。同時に、経済成長を牽引するのに財政資金が直接的に有効であるという優位性を十分に発揮し、家電の農村普及補助・物資備蓄増加・農業機械購入補助等の多様な方式を通じて、消費の成長を促進する。

(2)税費用改革を推進し、企業・個人の負担を軽減する

 税制は、経済・所得分配を調節する重要手段である。改革と税制の最適化を結びつけ、構造的な減税を実行し、減免税・輸出税還付引上げ等の方式を採用して企業・個人の税負担を軽減し、企業の投資拡大を促進し、個人の消費能力を増強する。減税政策を合理的に実施することは、短期的には財政の減収をもたらすが、企業の困難を緩和することができ、経済の平穏で比較的速い発展の促進に資するものであり、長期的には財政収入の伸びの基礎を打ち固めるものである。

(3)財政補助の規模を増加し、低所得層の収入を引き上げる

 国民所得分配における個人所得の比重と第1次分配における労働報酬の比重を高め、個人所得分配の格差を縮小することは、消費促進に資するものであり、経済成長への牽引作用を増強し、経済運営の安定性・持続可能性を高めるものである。国民所得分配構造における財政・租税政策の役割を十分に発揮し、都市・農村の最低生活保障対象者等の低所得層の収入を重点的に増加させ、その消費能力を高めなければならない。

(4)財政支出の構造を更に最適化し、民生を保障・改善する

 民生改善を重点とした社会建設を加速することは、個人の消費期待を安定化・改善し、スポット的な消費を促進し、消費需要を牽引する。財政支出構造を更に調整し、一般的支出を厳格に抑制し、「三農」・教育・就業・住宅・医療衛生・社会保障等の民生分野への投入を重点的に増やし、かつ中西部地域に傾斜させなければならない。社会事業の発展ルールと公共サービスの異なる特徴に基づき、有効な財政保障方式を積極的に模索し、民生を保障・改善する健全で長期に有効なメカニズムを確立する。

(5)科学技術のイノベーション、省エネ・汚染物質排出削減の支援に力を入れ、経済構造調整と発展方式の転換を推進する

 科学技術への財政投入を増加し、自主的なイノベーション能力の向上に資する財政・租税政策を整備し、イノベーション型国家を建設する。省エネ・汚染物質排出削減の支援に力を入れ、資源の有償使用制度と生態環境の補償メカニズムの改革を着実に推進し、資源を効率的に節約して使用する長期的に有効なメカニズムを確立し、エネルギー・資源の節約と生態環境の保護を促進する。経済成長が、資源等の要素投入の増加に主として依存することから、科学技術進歩・労働者の素質の向上・管理のイノベーションに主として依存するように転換し、経済社会の良好で速い発展を促進する。

 

 1.4 「三農」

 今年の財政政策の主要任務の1つは、農村の改革・発展の支援に力を入れることである。

(1)引き続き、「三農」への投入を増やす

 農業・農村支援資金の安定的増加のメカニズムを健全化し、農村インフラ建設・社会事業発展への投入を大幅に増加する。政府の土地譲渡収入・耕地占用税の収入増加分のうち農業に用いる割合を大幅に高める。中西部地域の農村公益的建設プロジェクトへの投入を大幅に増やす。

 農村金融サービス体系の確立を支援し、利子補助・コスト補助・税制優遇等の財政・租税政策措置を総合的に運用し、社会資金の投入を誘導し、多元化した農業・農村支援投入構造を形成する。

(2)農業の発展を促進する財政・租税政策を強化・整備する

 食糧直接補助・農業生産財総合補助・優良な品質補助・農業機械購入補助を拡大し、食糧最低購入価格をかなり大幅に引き上げる。小型の田畑水利を重点とした農業インフラ建設の支援に力を入れる。家電の農村普及補助政策を全国で全面的に推進する。農村の現代的な流通システム建設を支援する。政策的な農業保険制度と国情に合った大災害保険制度の確立を研究・模索する。

(3)農村社会の全面的な進歩を促進する

 教育・医療衛生・社会保障・文化等社会事業の発展を推進する。農村公共インフラ・環境の総合処理への投入を増やす。新しい貧困扶助の基準を実行し、農村の低所得人口に対する貧困扶助政策を全面的に実施する。農村労働力の訓練強化を支援する。農村の一部計画生育家庭への奨励扶助基準を1人平均600元から720元に引き上げる。

(4)農村総合改革を推進する

 県・郷の財政体制と郷鎮機構の改革を深化する。農村公共サービスの新たなメカニズム確立を模索する。3年以内に農村普通義務教育9年の債務を全面的に整理・解消するとともに、その他郷村債務の解消テストを推進する。

 

 1.5 民生の保障・改善

(1)教育

 2009年は、引き続き教育を優先的に発展させる。都市義務教育段階の学生の学習雑費を免除する政策を実施し、出稼ぎ労働者とりわけ出稼ぎ農民の子女の就学問題の解決を支援する。

(2)医薬・衛生体制改革

 2009年は、医薬・衛生体制改革を積極的に支援し、新型農村共同医療制度を整備し、都市従業者の基本医療保険と都市住民の基本医療保険のカバー率を拡大する。

(3)社会保障・就業

 2009年わが国は、都市・農村最低生活保障の補助水準を更に引き上げ、中央財政は、都市の最低生活補助は月1人平均15元、農村の最低生活補助は月1人平均10元を基準として資金を増加する。1人平均10%前後を目安に、引き続き企業退職者の基本年金水準を引き上げ、20082010年の調整水準が過去3年の水準を上回ることを保証する。都市従業者の基本年金のカバー率を拡大し、農村年金保険制度を研究制定する。年金保険関係の移転接続方法を打ち出し、労働力が地域をまたがって流動した際に年金保険関係が移転困難となるという問題を解決する。

 2009年は、積極的な就業政策を実施する。財政投入を増やし、政府の公共投資と重大プロジェクトが就業をもたらす作用をしっかり発揮させる。農林水利・国土整備・生態環境保護等のプロジェクト建設において、可能な限り農民とりわけ帰郷した出稼ぎ農民の就業を手配し、仕事をもって救済に代える。財政租税政策を運用し、中小企業・サービス業の雇用吸収を支援し、高等教育機関卒業生が科学研究プロジェクトに参加し、末端・中西部地域・中小企業で働くことを手配・奨励し、自主的な創業・就業を促進する。一時休業・失業者と出稼ぎ農民に対する職業技能訓練強化を支援する。

 

 1.6 租税政策

 2009年は、引き続き暫時預金・証券取引決算資金に対する利子所得税の課税を免除し、証券取引印紙税を引き下げ一方にだけ課税する政策を執行する。住宅取引への課税を引き下げる政策を実行する。輸出税還付と関税政策を調整・整備し、労働集約型製品と技術含有量が高く高付加価値の製品の輸出を支援する。100項目の行政事業的費用徴収を統一的に取消し・停止する。中小企業の発展を促進する財政・税制優遇政策を積極的に実施する。

 

2.財政部改革開放30周年記念大会(20081226日)

 全国財政工作会議とは別に開催され、謝財政部長が講話を行った(人民網20081227日)。

 

 2.1 30年間の国家財政の変化

(1)財政力が不断に壮大となった

 財政収入は、1978年の1132億元から2007年には51322億元に増加し、30年間で45倍となり、年平均増加率は14.1%であった。

(2)財政支出構造が不断に改善された

 財政支出規模は、1978年の1122億元から2007年には49781億元に増加し、30年間で44倍となり、年平均増加率は14%であった。

 16回党大会以降、科学的発展観の要求に基づき、支出構造は不断に調整された。

①社会主義新農村建設への投入傾斜

②社会事業発展の脆弱部分への投入傾斜

③科学技術イノベーション、環境保護への投入傾斜

④困難な地域・末端・大衆への投入傾斜

⑤「三農」・教育・社会保障・就業・医療・衛生等の公共サービス・民生分野への投入増加

(3)財政・税制体制が不断に健全化された

①税制

 間接税と所得税を主体とし、その他の税目が組み合わされた税制を構築した。国家・企業、個人間の分配関係を更に規範化し、税の経済・所得分配調節作用を強化した。

②財政

 比較的規範化された政府間の財政移転支出制度を確立し、中央・地方の間の分配関係を改革・整備した。中央政府のマクロ・コントロール能力を強化し、地域の協調的な発展と基本的な公共サービスの均等化を促進した。

(4)財政マクロ・コントロールが不断に整備された

 財政マクロ・コントロールの方式について、受動から主動へ、直接コントロールから間接コントロールへ、単一手段によるコントロールから手段を総合的に運用したコントロールへの転換を実現した。

(5)財政管理水準が不断に向上した

 財政法律体系の枠組みが基本的に形成され、予算編成・執行管理が強化された。

(6)財政・経済の対外交流・協力が不断に展開された

 国際財政・経済事務におけるわが国の発言権が明らかに強化された。金融組織・外国政府関係機関との協力も重要な成果を得た。

 

 2.2 今後の財政の改革と発展

(1)協調的に組み合わされた財政政策体系の健全化に力を入れ、経済社会の良好で速い発展を促進する

 全面的・協調的で、持続可能な発展という要求に従い、経済運営の発展変化の動向に基づき、財政政策の方向・程度を把握し、財政マクロ・コントロールのメカニズムを健全化・整備する。当面、経済の平穏で比較的速い発展をマクロ・コントロールの第1の任務とし、積極的財政政策をしっかり実施する。

(2)財政体制改革の深化に力を入れ、中央・地方の財政力と事務権限が相対応した体制を健全化する

 基本的な公共サービスの均等化と主体的機能区の建設を推進し、公共財政システムを整備する。

(3)財政支出構造の改善に力を入れ、科学的発展の要求を体現した公共財政システムを整備する

 一般的支出を厳格に抑制し、公共サービス分野への投入を増加する。「三農」、教育、社会保障・就業、医療・衛生、住宅等の民生方面への投入を重点的に増加する。

(4)税制改革の推進に力を入れ、科学的発展に資する財政制度・税制を構築する

 公共財政の要求に適応し、政府が参加した国民所得分配の制度システムを整備する。税制改革を深化し、租税政策の体系を整備し、税制構造を改善する。税外収入の管理を規範化し、財政収入構造を改善する。

(5)財政の科学的管理の推進に力を入れ、財政管理の業績効果を引き上げる

 科学的・民主的・法に基づく財務管理を堅持する。財政の科学化・精緻化された管理を全面的に実行し、財政の管理水準・管理機能を不断に高める。

(6)財政・経済の対外交流・協力強化に力を入れ、財政の対外開放水準を高める

 国際的なマクロ経済政策の協調を強化し、わが国の国際経済・財政事務における発言権を強化する。国際金融組織との実務協力を強化する。

(7)幹部の隊伍建設強化に力を入れ、財政政策の組織的保障を強化する

 政治的に確固とし、構造が合理的で、業務が熟練し、作風が優良な財政幹部隊伍の建設に努め、財政の改革・発展に知的支援・組織的保障を提供する。

2009年1月記 6,468字)


 


[1]  「三農」という場合には、農業予算以外にも教育・社会保障・産業政策・医療衛生・公共投資等関連政策の予算が含まれるので額が大きくなる。

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