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ログイン2003年11月19日
<各業界事情> 帝国ピストンリング (アジア・マーケット・レビュー 2003年11月1日号掲載記事) 帝国ピストンリングの中国事業が急拡大している。今年11月に上海市に販売会杜を設立するほか安徽省安慶市の合弁会杜「安慶帝伯格茨活塞環有限公司」(ATG)が2005年にも新工場を建設する。中国市場ではシェア4割強とトップをひた走るが、自動車需要の増加もあり、さらなる拡大をめざす。同杜経営企画室長の浅井響矢取締役、海外事業部の小野能民部長に展望を聞いた。(聞き手:内田俊二) 販社新設、工場は増強 ―11月に販社を設立します 「中国では安徽省安慶市にピストンリングを生産するATG、バルブシートなど焼結部品の安慶帝伯粉末冶金有限公司(ATP)、ピストン生産の安慶雅徳帝伯活塞有限公司(AAT)の3拠点がある。ATGは2002年7月にシリンダーライナー生産を開始、同時期にエアコンの温度調節弁などを生産する南京帝伯熱学有限公司(NTEC、江蘇省南京市)を設立した。生産拠点は合計4つで、次の拡充策として上海市に商社機能を持つ販社を設立する。安徽省の合弁先である安慶環新集団有限公司(ARN)との共同出資で、日系自動車メーカーや海外市場への供給を本格化する。ATGは1996年の設立でARNの販路を活用して中国系メーカー、補修用市場に製品を供給し、すでに市場シェア第1位の座を確保している。しかし、日系を含む外資系自動車メーカーへの供給開始はこれからの課題で、日本人社員を派遣し営業強化する」 ―ATGも増産を検討中と聞いています 「ATGはピストンリングの中核拠点だ。2000年に1,400万本だった中国市場(二輪、四輪)は、2002年に1,600万本に増えた。弊社の予測では2003年1,800万本、2004年1,900万本、2005年2,000万本と増加する見込み。今後の需要増加に対応するには、ATGも増産が必要になる。ATGは既に2工場を持つが、旧工場周辺は市街地になりつつあり、大幅強化は難しい。このため安慶市に新工場用地を確保、新工場計画を進めている。詳細は検討中で、2005年中の操業開始をめざす。もちろん市場シェア向上を考えており、5割以上の獲得を狙う。バルブシートを生産するATPは2000年1月からの生産開始で、現在の需要が続けばそう遠くない時期に増産が必要になろう。ピストン生産のAATは日本のアート金属工業(長野県上田市)とARNおよぴ当社が出資する現地法人で、こちらは量産体制が整ったところだ」 製品販売では前払い制を採用 一中国市場で圧倒的なシェアを獲得した秘策は 「ピストンリング業界は国内3社(帝国ピストンリング、日本ピストンリング、リケン)に米フェデラル・モーグル(FM)社、米デーナ社を加えた5大メーカーが市場の大半を占めている。安慶市のATGは当社と米FM社が出資、それ以外ではリケンが中国に拠点を持つ程度で、他メーカーの中国進出はまだこれからの段階だ。帝国ピス・米FM連合は、すでに中国で8年の実績があり、我々には先行者メリットがある。中国の地場企業は生産規模が小さく、我々とは圧倒的な差がある。今後、外資の本格進出で競争激化が予想されるが、上海市に販社を設け、先手を打って外資系自動車メーカーに売り込みをかける」 ―なぜ安慶環新集団有限公司(ARN)を提携先に選んだのか 「これからは中国市場が伸ぴるだろうと考え、中国の色々な企業を調べた。当時、ARNは中国の中堅企業だったが、日系メーカーと共同で世界に通じる製品を作りたい、との思いがあったようだ。また安慶市には外資系企業が殆どなく、地元人民政府が歓迎してくれたことも大きい。ARNという優れたパートナーに恵まれたことに感謝している。弊社と米FM社の技術を取り入れたATG製品は、中国のピストンリング市場でシェアを拡大し、今では中国No.1のブランド力を確立している。中国では債権回収の難しさを指摘する声がある。しかし、ATGは前払い制を採用しており、債権の焦げ付きの心配はない。お金を先に払わない顧客には製品を売らない(笑)。それだけブランド力がある証拠だと自負している。今年1月18日付の人民日報(海外版)1面トップに、ATGの活動が紹介された。日本・米国・中国の最強連合で品質・生産量とも中国第1位の座に着いたとの見聞記で、大変名誉に感じている」 中国で売るモノは中国で作る ―御社の中国戦略は? 「中国以外のアジアでは国内(長野、岐阜工場)、インドネシア、インドにピストンリングの生産拠点がある。欧州では独、米国にも拠点を持つ。弊社の海外戦略はひと言で表現すると“消費地生産”である。中国拠点も日本やASEANなどアジア市場への供給基地ではなく、あくまでも中国市場の拠点として活動していく。とくに中国で注目しているのは四輪車の市場である。二輸車向けは市場が飽和気味なうえ、ピストンリングも中国地場企業が強い分野で、外資が競争できる余地は少ない。中国の乗用車需要はようやく100万台を越えた水準だが、今年から来年には400万台を越えるとの予測もある。中国の四輪車市場はまだ伸ぴる」 ―中国進出を検討している日系企業にメッセージを下さい 「まず良い中国側パートナーを見つけることだ。最近は独資での進出も多いが、中国の国内市場を狙うなら、単独では難しい。中国でモノを売るにぱ、中国人に任せるのは理にかなっている。我々の場合、米FM社との合弁で日米先進国の技術力に加え、新進気鋭のARN経営陣と巡り会えたことは非常な幸運だった。また、中国は社会主義国であり地元人民政府と緊密な関係を構築するのも大事である。我々のATGは安慶市に進出した外資系企業第1号であり、地元政府も成功例を作りたいと一生懸命に努力してくれた。実は、今年4月に操業開始したAATは、中国進出を検討していたアート金属が弊社を介して安慶市に生産拠点を設立した例である。現地進出の際には弊社も15%出資し、合弁事業として立ち上げている。安慶市は長江(揚子江)沿いにある人口600万人の地方都市で、長江を下れば南京市から上海市、逆に遡れば湖北省武漢市に通じるなど今後、西部開発の起点になる都市である。この地は今後も発展を続ける地域だと思っており、ぜひ多くの日系企業が進出することを願っている」 ■帝国ピストンリングの中国展開
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本記事は、アジア・マーケット・レヴュー掲載記事です。
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