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中国に新工場を建設、 更なる現地化に取り組むマックス

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2004年5月24日

<各業界事情>

中国に新工場を建設、
更なる現地化に取り組むマックス

アジア・マーケット・レビュー 2004年5月15日号掲載記事)

 1942年に創業、52年には国産第1号のホッチキス・メーカーとなり、これまでに各種オフィス機器、ネイラやねじ打機等機工品などの大手メーカーとなっているマックス(東証1部上場 http://www.max-ltd.co.jp/)では、2004年から中国広東省深セン宝安に建設した新工場での操業を開始した。この新工場は2001年に操業した旧中国工場の近くにあるが、広東省ではまだ少ない緑化が行き届き広い芝生がある美しい工場。山を削って工場用地を確保しただけに、その分の緑化を工場内で行ったもの。
 昨年まで入居していた「テクノセンター」という工場団地内にあった工場ではワンフロア1,000平方メートルのスペースを2フロア、計2,000平方メートルの工場だったが、新工場での工場スペースはワンフロアが2,100平方メートルで3フロア(3階)と3倍に拡張した。
 新工場建設を上海にすることも検討したが、「ベンダーさんも増え、従業員も慣れているこの宝安に留まる事に決めた」と土屋英夫工場長はいう。

中国での部品調達拡充、金型内製化も開始

 マックスでは広東省とマレーシアのケダ州のクリムエ業団地の2カ所に海外工場を構えている他、30年ほど前からステープル(ホッチキス内に入れる針)の東南アジアヘの供給基地として香港に進出、現地法人である美克司香港有限公司を設立した。また、タイ、インドネシア、フィリピン、韓国、台湾などの代理店が消耗晶で同社利益の柱となっているステープル生産を行っている。
 そんなマックスが、中国で新たな取り組みを始めている。
今後も新製品の開発については、日本で行っていく方針に変わりはないが、2004年の新製品からは、コピー機に組み込む電子ホッチキスを作るために必要とされる80余の金属プレス部品とプラスチック部品を作るための金型を広東省で製造する。従来はマックスの高崎工場で製造していた金型を中国工場に運んで使ってきた。しかし最近では、新製品向けの最初の試作型は日本で作るものの、その後の同じ金型(量産型)は広東省で製造することにした。土屋氏によると将来には新製品の設計自体も広東省で行っていきたい計画である。
 このように中国でより現地化した生産体制にするため、日本からの赴任者を従来の6人から8人に増やした。そして彼らは従業員に対して、中国に合った仕事の基準を作る、それら標準や基準を守らせる、技術レベルを上げる――などを担当している。
 同氏によると、2002年から日本でも生産したことがない製品の生産も中国工場で開始している。さらに「2005年からはコピー機に内蔵するホッチキスではない、まったく違った製品の生産も開始します」と明らかにした。
 マックスでは1985年からコピー機内に搭載(内蔵)するホッチキスとしては、「世界の85%ほどの市場を押さえている」(同)としている。この電子ホツチキス「オートステイプラー」では、紙を綴じる針は5,000本が1パックで、顧客はキャノン、京セラミタ、ミノルタ、富士ゼロックス、鈴鹿ゼロックス、リコーなど。

従業員数も急増中

 マックスがテクノセンター内に工場を構えてい走時でも、数年で数倍の従業員にあたる170人まで従業員数が増加していた(ほとんどが女性従業員)が、今年から新工場での本格操業に移るって2004年4月までに220人へと増えている。220人の従業員の内訳は女子が180人で男性が40人。「現在までに女性の副課長と男性課長が誕生したが、今後力がある人の中から部長や総経理が誕生してほしい」と土屋工場長は期待する。中国工場を立ち上げた時に採用した幹部従業員30人のうちで、現在は13人が残っているという。
 新工場が完成するまでテクノセンター内の工場からも歩いても行ける距離だけに工場移転を理由に辞めた人は1人もいなかった。
 従業員数は、「2004年中に260人へと増えるでしょう。新工場の裏に350人が入る寮がありますが、このまま増えるとすぐに足りなくなってしまいますので、将来の対策も考えなくては」と土屋さん。
 250人が一度に食事できる食堂もあり、中国の工場の食堂に多い従業員が自分の食器を洗ってぶっ掛けご飯を食べる方式は止め、トレー(皿)におかずを取って、食器は戻す方式にした。「食中毒を出したくないからです。しかし食堂スペースもすぐに足りなくなってしまいます。従業員のほとんどが中国の各地からの出稼ぎ労働者ですから、湖南省の人は辛いのが好きだし、広東省内からの人は辛くて嫌だという人もいるので大変です」と土屋さんは説明する。

最近の誤算は広東省の電カ不足

 土屋工場長は、中国投資視察のために2000年4月に初めて「テクノセンター」に来た。日本にその話しを持ち帰った土屋氏が経営会議で報告した末、同年9月に「テクノセンター」進出を決定、2001年1月から2年間の契約を行い、翌2月に工場設備を搬入、同4月から稼動した。この中国工場、マックスが入るまでは、東莞市自前の工場を建てて移転したヒロセ電機の初の中国工場だった。
 当初の2年契約より1年長い3年間いたテクノセンター内の工場ビルの1つである、4階に事務所も一体としてあった工場は、新工場への移転と同時に閉鎖した。
 そして新工場が稼動する中で「唯一、最大の誤算は広東省の電力不足です。テクノセンターでは自社発電所があったのですが、自社工場を外に作ったとたんに電力不足が深刻になっています」(同)という。広東省の電力不足は2004年に入ってから初めて深刻化しているもので、マックスが新工場を稼動させたのとちょうど時期が重なってしまった。
 当局の指導により毎週木曜日には工場をストップする休日とし、電力事情が好転する日曜日は操業している。月2回は土曜日も工場を止めている。電力供給側からはまったく詫びの言葉などもなく、3年間ほど木曜休日を続けてほしいといっな態度のようである。 そこでこの電力不足の対応策として、工場に自家発電装置を導入する計画も進めている。

従業員との融和を大切にする

 土屋工場長は、「1工程で3回の品質チェックをしています。日本より品質が高い製品作りをモットーに頑張っています」という。立ったままの勤務が多く、ワンシフトで5時間の残業も増えている。
 「ストはこれまでに一回もなく、従業員の不満は職場の各リーダーを通じて把握しているつもりです」、と土屋工場長。そして毎日、朝の朝礼後のミーティングがあり、「毎週開かれるリーダーのミーティングには私も出席して不満に耳を傾けています」とのこと。
 しかし土屋工場長は、整理、整頓、清潔などの「5S運動についてはまだまったく満足していません。洗濯場の洗剤袋からこぼれた洗剤やインスタントラーメンを食べた後のごみの処理などが不満足です。しかしなんとか罰金制度ではない5S運動を進めていきたい」という。
 社内旅行、バーベキュー大会などには従業負のほとんど全員が参加しているが、「日本人と中国人との問に壁がないような状態を保つことが重要」(同)として日本人も全員が参加している。
 また、3ヵ月ごと、その間に誕生日を迎えた従業員を労い、地元の高級中華レストランや世界最大級のゴルフ場である近くのミッションヒルズ・ゴルフ場(現在90ホールで180ホールヘと拡張工事中)のレストランなどが会場となっている。

(アジア・ジャーナリスト松田健)

本記事は、アジア・マーケット・レヴュー掲載記事です。

アジア・マーケット・レヴューは企業活動という実践面からアジア地域の全産業をレポート。日本・アジア・世界の各視点から、種々のテーマにアプローチしたアジア地域専門の情報紙です。毎号中国関連記事も多数掲載されます。

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