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広州ホンダ向けシート生産に追われる東洋シートの中国工場

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2004年7月8日

<各業界事情>

広州ホンダ向けシート生産に追われる東洋シートの中国工場

アジア・マーケット・レビュー 2004年6月15日号掲載記事)


 東洋喜島汽車零件(深セン)有限公司(英文名:TOYO SEATCHINA SHENZHEN LTD)では同じ広東省広州に自動車組立工場がある広州ホンダ車向けの、座席の下につけるスライドアジャスター、リアシートフレームなどのシート部品の生産などに追われている。新工場が立ち上がって1年に満たない現在、すでに工場拡張を隣接地で計画している。山を切り崩して用地を拡張する計画で、当局と話し合っている。
 日本の親会社は東洋シート(広島県安芸郡海田町国信1-6-25、山口清蔵社長)。日本ではマツダや、JRの新幹線のグリーン車で使われているシートも製造している。日本の自動車メーカーのオープンカーで使う自動開閉トップ部分であるホロ(ソフトトップ)のほとんどは同社が製造している。
 東洋シートは海外工場が米国に3工場、フィリピンエ場、ハンガリー工場、また、中国の上海では台湾企業との合弁会社があり、この広東省の工場は7工場目。前の副総経理だった岡田正登氏が、2000年頃から約1年半かけて、北は大連から海南島までの中国沿岸部主要都市の投資環境を調査した。岡田氏は米国工場での勤務経験もあり、上海では台湾との合弁工場で品質保証を担当していたこともある。
 そして華南地区で情報収集活動をしている際に現在の中国工場の隣にある「テクノセンター」の存在を知った。その隣接地に進出すれば「テクノセンター」内にある発電所からの電力が使えることなどのメリットを感じてテクノセンターの隣に工場を建てた。
 深セン市の外れである宝安区観欄鎮企坪村新園仔にあるこの工場は、2002年9月に進出を最終決定しており、更地を契約して新工場を建設、2003年4月から試作を始め、同6月に操業した。工場が完成するまでは、隣にある「テクノセンター」内の事務所を借りて業務を行っていた。当初は20名の工員で立ち上げ、5月にさらに50名増やして、事務職員15名と合わせた85名で6月から生産を開始、2004年5月現在で130人になっている。
 広州ホンダではアコード、オデッセイ、フィットなどの生産に追われている。2004年度(1−12月)に10万台、2005年度(同)では17万台を見込んでいる。
 しかし東洋シートはこの工場からホンダの広州工場にシートの完成品として納入しているわけではない。ホンダは広州市に「TSテック」という子会社のシート・メーカー(親会社は埼玉県朝霞市に本社があるテイ・エス・テック)があり、東洋喜島汽車零件(深セン)が製造したフレームなどにスポンジをかけるなどのシートのアッセンブリを行っている。

SARSで2ヵ月延びた量産開始

 しかし工場立ち上げ当初では、広東省を発生地とする新型肺炎SARSが流行し世界を震憾させている時期だった。そこセ6月に予定していた量産は同年8月まで延ぴてしまった。
 同工場は広東省に多い委託加工工場ではなく独資工場。2万平方メートルの土地に8,000平方メートルの工場の建物があり、金属プレス、溶接、組み立てを行っている。プレスの一部と塗装、めっきは社外に外注している。プレス機は300トン1台と200トン4台を導入している。溶接機はロボットが12台とC02溶接機16台、スポット溶接機29台を導入している。他に旋盤、フライス盤、平面研削盤、ラジアルポール盤など多数の工作機械、また、3次元測定機、アムスラー試験機、デジタルマイクロスコープなどの測定機器もそろえている。

女性従業員を増やす

 この中国工場の駐在代表である小原武夫(こはら・たけお)董事副総経理は、2002年8月まで東洋シートの山口県の防府にある工場の工場長だった。そして本社の中国工場準備室に移り、前副総経理で同社の初代中国代表だった岡田正登氏(現在は日本勤務)の日本国内でのパートナーとして中国工場を立ち上げてきた。そして岡田氏に代わり、広東省の工場の2代目責任者として2004年2月から現担当に就任した。 広東省の委託加工工場ではほとんどが田舎からの女性出稼ぎ労働が多いが、東洋喜島汽車零件では従業員の85%が男性である。重い部品も多いので男性を中心に雇ってきたが、「やはり女性従業員が多い方が、雰囲気が良くなるのでは」(小原氏)として、女性従業貫を増やし始めている。工場のまわりはまだ人影が少ない場所であるため、早朝と夜には工場から地元の町である観潤鎮の三星というホテルの前まで送迎バスをだしている。
 日本人も2004年5月現在でも6人が駐在している。中国に来て1年半になる小原副総経理の他、プレス、溶接、品質、生産管理、購買、総務を担当している。「休日は日曜だけですが昼までは洗濯などで、午後は皆で買い物にでかけます」と語る小原さんらは単身赴任である。

(アジア・ジャーナリスト松田健)

本記事は、アジア・マーケット・レヴュー掲載記事です。

アジア・マーケット・レヴューは企業活動という実践面からアジア地域の全産業をレポート。日本・アジア・世界の各視点から、種々のテーマにアプローチしたアジア地域専門の情報紙です。毎号中国関連記事も多数掲載されます。

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