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ログイン2008年1月24日
2008年1月1日より、企業所得税法の改定が行われており、外資企業に対する企業所得税法上の優遇措置が廃止されています。但し、特定の条件を満たす外資企業に対しては移行措置が認められており、一定の条件の下に優遇措置の継続が認められます。この移行措置に関する通知が公布されていますので、その内容を解説します。
2008年1月1日より、企業所得税法の改定(外商投資企業及び外国企業所得税法、以下、旧税法の改定)が行われており、外資企業に対する企業所得税法上の優遇措置(外資企業という形態であるが故の優遇)が廃止されています。
但し、特定の条件を満たす外資企業に対しては移行措置が認められており、一定の条件の下に優遇措置の継続が認められます。
この移行措置に関する通知が(企業所得税移行の優遇政策実施に関する通知:国発[2007]39号)公布されていますので、その内容を解説します。
1.経過措置を享受できる企業
経過措置の適用が認められる企業とは、2007年3月16日(新企業所得税法公布日)以前に工商行政管理局での登記を行っている企業と規定されています。
経過措置適用の条件は、企業所得税法(以下、新税法)には、「税法公布時点で設立認可を取得している企業」と規定されており、一方、企業所得税法実施細則(以下、新細則)には、「新税法公布時点で企業登記を行っている企業」規定されています。
双方を比較すると、新細則の条件が厳しくなっていますが、今回の通知では、「税法公布時に登記が完了している企業」が改めて規定されており、新細則の条件に従う事が明確になっています。
よって、昨年3月16日時点で設立認可を受けているだけ(工商登記未了)の企業は、経過措置の対象とはならないと解釈されます。
2.優遇税率に関する経過措置
今回の通知では、税率に関する経過措置は、以下の通りとする事が規定されています。
① 15%の税率が適用されていた企業
以下の通りの税率を適用し、標準税率(25%)に移行します。
2008年(18%)、2009年(20%)、2010年(22%)、2011年(24%)、2012年(25%)
② 24%の税率が適用されていた企業
2008年より25%の税率(基本税率と同じ)が適用されます。
3.定期減免措置に関する経過措置
今回の通知では、「二免三減」、「五免五減」等の定期優遇に関しては、期間満了まで優遇を継続できる事が規定されています。
因みに、2008年時点で定期減免措置が開始していない企業(設立より赤字が継続している企業、若しくは、黒字転換はしているものの、税務上の繰越欠損金を消化していない企業)については、2008年からの優遇措置開始が義務付けられます。
尚、定期減免措置の適用に際して、減免のベースとなる税率が、移行措置(上記2)に基づく税率となるのか、従来の税率がベースとなるのか、今回の通知では十分に判断できません。
当該通知公布までの関係者の発言に基づけば、移行措置に基づく税率がベースになると解釈されますが、税務局によっては、従来の税率をベースにすると回答するケースも見受けられますので、この点、所管の税務局との確認を行ってください。
経過措置の対象となる減免措置の内容は、当該通知の付表(企業所得税移行優遇政策実施表)に明記されていますが、ここでは、幾つかの(従来の)定期減免が削除されています。
外資企業所得税法実施細則(以下、旧細則)上の定期減免措置で削除されているもの(経過措置の対象としないもの)は、以下の様な内容です。
1) 外資金融機関に対する優遇税率・定期減免措置(旧細則第73条第3項、第75条第5項)
2) .輸出型企業に対する減免措置(旧細則第75条第7項)
3) .国家ハイテク産業開発区に設立されたハイテク企業に対する定期減免措置(旧細則第73条第5号)
4) 先進技術企業に対する減免措置(旧細則第75条第8号)
上記の内、ハイテク企業(3)に付いては、新企業所得税法第28条において新たな優遇措置(ハイテク認定企業に関しては、内外資・地域を問わず15%の税率を適用)が規定されている事から、優遇税率に関する経過措置の適用からは削除されているものと解釈されます(定期減免措置に関しては対象となる事が明記)。
また、先進技術企業(4)に関しては、旧細則では、定期減免措置満了後も引き続き先進企業である場合は、半減措置を継続する事が認められていましたが、これは、経過措置の対象から外されています。
輸出型企業に付いては、定期優遇満了後も、輸出性向が70%以上の場合は半減措置が継続される事が旧細則に規定されていましたが、この優遇(定期減免措置満了後の半減措置継続)も打ち切られています。
4.西部開発の優遇措置
西部地域の開発に伴う優遇措置(財政部・国家税務総局・税関総署の西部大開発税収優遇政策に関する通知:財税[2001]202号)に関しては、適用が継続される事が今回の通知(国発[2007]39号)に規定されています。
当該通知には、以下の様な優遇が織り込まれています。
● 西部地域の国家奨励産業に属する外資企業に対して、15%の税率を適用(2001~2010年)
● 外資企業の地方所得税の免除
● 経営期間が10年以上となる外資企業に対する二免三減。
5.優遇措置適用のポイント
新旧税法(旧税法に関しては経過措置)で優遇が重複する場合は、どちらか一つを選択肢、継続適用する事が求められています。
6.経過措置の対象となる優遇措置
経過措置の対象となる事が明記されているのは、以下の旧税法・旧細則に基づく優遇措置内容となっています。
① 企業所得税率の優遇に関するもの
1)旧税法第7条第1項
経済特区の外資企業・外国企業の機構、経済技術開発区の生産型企業に関して、15%の税率を認める。
2)旧税法第7条第2項
沿海開放区、経済特区、経済技術開発区所在地の旧市街地の生産型外資企業に対しては、24%の税率を認める。
3)旧税法第7条第3項
沿海開放区、経済特区・経済技術開発区所在地の旧市街地、その他国務院が定める地区のエネルギー、交通、港湾、港等の事業に従事する外資企業に対して、15%の税率を認める。
4)旧細則第73条第1項第1号
沿海開放区、経済特区・経済技術開発区所在地の旧市街地に設立された特定企業(外国出資US$3千万以上、インフラ事業、知識集約型等)に対して15%の税率適用を認める。
⇒ エネルギー、交通、港湾建設事業に関しては、国発[1999]13号により、対象地域が全国に拡大された。
5)旧細則第73条第1項第2号
沿海開放区、経済特区・経済技術開発区所在地の旧市街地に設立された、港湾・埠頭建設を行う中外合弁企業に対して15%の税率を適用する。
6)旧細則第73条第1項第4号
浦東新区の生産型、及びインフラ事業に従事する外資企業に対して、15%の税率を適用する。
7)上海外高橋、天津港、深セン福田、深セン沙頭角、大連、広州、廈門、張家港、海南島海口、青島、寧波、福州、汕頭、珠海深セン塩田保税区に関する国務院の回答
保税区に所在する生産型企業に対しては、15%の税率を適用する。
8)福建省沿海地区の台湾企業投資区に関する国務院の回答(国函[1989]35号)
廈門台湾投資区の台湾企業の税率を15%とする。
福州台湾投資区の台湾企業に対しては、生産型の場合は15%、非生産型の場合は24%の税率とする。
9)南寧、重慶、黄石、長江三峡経済開放区、北京等の年を更に対外開放する事に関する国務院の通知(国函[1992]62,93号、国函[1993]19号、国函[1994]92号、国函[1995]16号)
省都、長江沿岸都市等の生産型外資企業で、④の条件と同様のものに付いては、15%の税率を適用する。
それ以外の生産型外資企業に対しては、15%の税率を適用する。
10)蘇州工業園区に関する国務院の回答(国函[1994]9号)
蘇州工業園区に所在する生産型外資企業に対しては、15%の税率を適用する。
11)国家リゾート区の施行問題に関する国務院の通知(国発[1992]46号)
国家リゾート区内の外資企業に24%の税率を適用する。
12)黒河、伊寧、凭祥、二連浩特市等の辺境都市の更なる対外開放に関する国務院の通知(国函[1992]21,61,62,94号)
辺境都市の生産型外資企業に対して24%の税率を適用する。
② 定期減免措置に関するもの
1)旧税法第8条第1項
経営期間が10年以上の外資生産型企業に対する二免三減。
2)旧細則第75条第1項第1号
港湾・埠頭建設に従事し、経営期間が15年以上の中外合弁企業に対する五免五減。
3)旧細則第75条第1項第2号
海南島経済特区の空港、港湾、埠頭、鉄道、公道、発電所、炭鉱、水利等のインフラ関連で、経営期間15年以上の外資企業に対する五免五減。
4)旧細則第75条第1項第3号
上海浦東新区の空港、港湾、鉄道、公道、発電所等のエネルギー、交通建設プロジェクト関連で、経営期間15年以上の外資企業に対する五免五減。
5)旧細則第75条第1項第4号
経済特区のサービス型外資企業で、投資総額US$ 5百万以上、且つ、経営期間10年以上の企業に対する一免二減。
6)旧細則第75条第1項第6号
国務院が定めた、国家ハイテク産業開発区に設立され、ハイテク企業と認定された外資企業で経営期間が10年以上のものに付いての二年間の企業所得税免除。
7)旧細則第75条第1項第6号、北京市新技術産業開発試験区暫定条例に関する国務院の回答(国函[1988]74号)
北京市新技術産業開発試験区のハイテク企業に対しては、三年間の企業所得税免除。
また、特定の批准を得たものに付いては、引き続く三年を、15%、若しくは10%の税率の半減措置を認める。以上(2008年1月記 3,662字)
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