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ログイン2009年3月6日
増値税暫定条例に伴う主要変更点を分かりやすく解説します。
A.増値税暫定条例改訂に伴う変更点のポイント(その1)
2009年1月1日より増値税暫定条例が改訂され、これにより固定資産購入に際して支払った
増値税が控除の対象となり、また、小規模納税義務者の税率が3%に減額されました。
その後、「増値税暫定条例実施細則(財政部・国家税務総局[2008]第50号令)」、「一部
の貨物に関して低税率、及び簡易的な方法で増値税の課税を行う政策の通知(財税[2009]
9号)」等が公布され、小規模納税義務者の基準、ユーザンス取引等に関する納税のタイ
ミング、中古資産売却に伴う課税等の点が明確になりました。
以下、増値税暫定条例に伴う主要変更点を分かりやすく解説します。
1.小規模納税義務者に関わる変更
① 小規模納税義務者とは
小規模納税義務者に関する変更点を解説する前に、(基礎知識とはなりますが)小規模納
税義務者とは何かを解説します。
小規模納税義務者とは、一言で言えば、「増値税発票の自社発行が認められない納税者」
であり「増値税の仕入控除が認められない納税者」と言えます。
つまり、営業規模が小さい、会計制度の整備が不十分等の理由で、一般納税義務者に比べ
て不利な扱いを受けるのが小規模納税義務者という事になります。
一般納税義務者より税率自体は低い小規模納税義務者ですが、仕入れ控除が認められない
為、実際には、以下の通り不利となります。
取引例:100で購入した財貨を200で販売した場合
1)一般納税義務者
納税者(一般)は、サプライヤーに対して、100の仕入代金と17(17%)の税額の合計117
を支払います。また、バイヤーより、200の販売代金と34(17%)の増値税を受領します。
増値税の処理は、仕入時は「仮払増値税(資産勘定)17」であり、販売時は「仮受増値税
(負債勘定)34」となり、双方を相殺した結果の17(負債勘定)を税務局に納税します。
結果として、税額はバイヤーに転嫁された為、納税者に直接的な増値税負担はありません。
また、バイヤーも中間業者であれば受領した発票を元に仕入控除が可能です。
2)小規模納税義務者
小規模納税義務者の税率は、今回の改定で3%に引き下げられました。
上記の例では、納税者(小規模)は、サプライヤーに対して、100の仕入代金と17(17
%)の税額の合計117を支払います。この際の処理は、100の仕入と17の原価という事にな
ります。つまり、小規模納税義務者は、仕入控除が適用されないので、仕入税額はそのま
ま自社のコストとして処理せざるを得ません。
また、販売に際しては、200の販売代金と6(3%)の税額をバイヤーから徴収します。
6の税額は税務局に納税する事になりますが、発票は税務局が代理発行します(税務局が
代理発行をした発票により、バイヤー側は控除可能です)。
この結果、納税者(小規模)の採算は、200(販売収入)-100(仕入)-17(仕入税額)
=83となり、一般納税義務者の場合(100の販売利益)に比較して少なくなります。
同額の利益を確保しようとすれば、これを販売価格に転嫁せざるを得ず、結果としてバイ
ヤーの採算を悪化させます(仕入税額であれば控除可能なのが、仕入価格そのものとなれ
ば当然控除不可なので)。
小規模納税義務者が、一般納税義務者の顧客から嫌がられるというのは、こういう理由に
よるものです。
② 小規模納税義務者の認定と税率
小規模納税義務者の税率は、従来は商業企業が4%、生産型企業・加工補修役務に従事す
る企業は6%の税率が適用されていましたが、今回の改定で、一律3%に引き下げられまし
た(増値税暫定条例第12条)。
また、一般納税義務取得の目安となる売上高も、従来の年間180万人民元(商業企業)、1
00万元(その他)から、80万元(商業企業)、50万元(その他)に引き下げられました
(実施細則第28条)。
商業企業を新設する場合などは、原則として小規模納税義務者からのスタートとなります
ので、一般納税義務者登録取得の為に、営業開始後は損失覚悟で(仕入税額分の負担を被
って)最低基準の課税売上実績(180万元)を作るケースが少なくありませんでした。
基準の引き下げにより、こうした税負担が軽減される為、商業企業の新設等には目に見え
た恩恵がある事になります。
尚、昨年年末(12月31日)に公布された、「値税一般納税人認定に関する問題の通知(国
税函[2008]1079号)」では、昨年度に、新しい売上基準を満たす小規模納税義務者は、一
般納税義務者申請をする事ができる旨が規定されています。
原文
2.値引き等に伴う赤字発票とは
販売後に発生した要因により、値引き等を行った場合には、「赤字発票(中国語:紅字増
値税専用発票)」が発行出来る事は、2006年に明確化されました。通知:納税人が行う割
引・値引きを行うに当たり赤字増値税専用発票を発行する問題の通知(国税函[2006]1279
号)
原文
これが、正式に実施条例第11条に明記されました。ただし、赤字発票は、バイヤー側の税
務局の確認を受けた後に発行可能となるもので、主にバイヤーの手続が煩雑である事から、
実務上は使いにくい制度となっているのは事実です。
尚、赤字発票が起票できるのは一般納税義務者のみであり、小規模納税義務者の場合は、
税務局の代理発行形式であっても赤字発票の発行は認められません。
B.その他の動き
2月に実施された来料加工に関わる外貨管理・繊維製品の還付税率引上げに付いてご紹介
致します。
1.来料加工に伴う加工賃の外貨受領比率の調整
規定:輸出入決済オンライン検査管理に関する問題の通知(匯発[2009]10号)
公布:2009年1月15日
原文
国家外貨管理局より「輸出入決済オンライン検査管理に関する問題の通知(匯発[2009]10
号)」が、2009年1月15日に公布されています。
同通知第2条には、「2月15日より、来料加工の外貨受領比率を20%から30%に調整する」
事が規定されています。これは、2008年7月に公布された「匯発[2008]31号」に、来料加
工の加工賃比率(加工賃と輸出通関時の記載価格(注1)が25%を超える場合(注2)は、
外貨管理局への報告が要求されており、結果として、加工賃比率が高い場合は、加工賃の
換金・引き出しに時間を要する状況となっています。この比率を30%に引き上げるのがこ
の通知の趣旨で、来料加工企業の換金に関する若干の規制緩和となっています。
注1:来料加工は無償取引ですが、輸出入価格は税関報告する必要があります。
注2:匯発[2008]31号では、比率は20%ではなく25%と規定されており、齟齬が生じてい
ます。
2.繊維製品増値税輸出還付率の引き上げ
規定:繊維・服飾製品の輸出還付率引き上げの通知(財税[2009]14号)
公布:2009年2月5日
施行:2009年2月1日
原文
つづく(2009年3月記3,121字)
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