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実務から見る労働契約の期限前の解約の注意点及びその対応策

中国ビジネスレポート 労務・人材
王 穏

王 穏

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2009年3月9日

記事概要

本稿では、不更新、更新、懲戒解雇と比べて、従業員の同意が必要とされる労働契約の期限前の解約(途中解約)の際の注意点、対応策について述べます。

はじめに
経済危機の最中、これまでややもすると温情的管理だった従業員雇用面では、このまま継
続すると、終身雇用にせざるを得ないことにもなりかねず、その場合莫大な人件費を負担
することになってしまうため、途中解約或いは不更新にするケースが増えている。

本稿においては、不更新、更新、懲戒解雇と比べて、従業員の同意が必要とされる労働契
約の期限前の解約(途中解約)の際の注意点、対応策について述べます。また、これらの
内容は、当所がこれまで取り扱った経験を集約したものですが、労務人事問題は、人が関
わりあうだけに非常にデリケートであり、困難であるもので、カテゴリ的な処理に拘らず、
ケースバイケースで柔軟に対応する点、くれぐれもご注意願いたい。

「実務から見る労働契約の期限前の解約の注意点及びその対応策について」
労働契約期限満了前に、会社として労働契約を解除したい従業員とは、労働契約を期限満
了前に途中解約することになる。ただ、労働契約法では、従業員の同意をなくして解約で
きないことになっているため、合理的に従業員を説得する必要が出てくる。具体的には面
談等を通じて従業員の同意を取り付けることができるか否かがポイントだと思います。

1) 面談の準備
■ 参加者
何かあれば、証人ともなり対象人員が多い場合、従業員の粗暴行動を牽制できる意味で、
日本人管理職のほか、中国人の労務人事担当又はその上長の1名か2名も参加する。
■ 内部意識統一
参会者の役割が非常に重要であるので、参会者に対する当該人事措置趣旨の事前周知徹底
が不可欠である。
ただ、これらの事前徹底は複雑なケースの場合両刃の剣ともなり得るので、慎重に行うこ
とが大切であり、特に中国人人事担当及び上長自身が本当に会社趣旨を理解納得かに意を
用いるべきである。
■ 面談用言語
日本語のできる従業員は、場合によっては日本語で進めてもよいが、実務上、日本人がメ
インで話を進めると、①ニュアンス的な違い、②従業員に決裁権限者が日本人であり、何
かあれば日本人管理職に直訴できるとの誤解を与える、③ややもすれば感情的になるなど
により、中国人をメインとして中国語で進めることが望ましい。
日本人の人事担当は、基本的に飽くまで客観的立場を堅持し、これまでの会社への貢献に
感謝していることを伝える。
■ 証拠準備
従業員のルール違反があり、且つ確かな証拠があれば、万が一の場合に備えて、当該本人
の解雇可能条件を確かにし、自主的辞職願の可能性を念頭に当該本人に係わる問題等を準
備する。
■ 今後の交渉、仲裁、訴訟に備えて準備
面談時の確実な言質確保の手段を講じる。争いになったときに相手に拒否させない工夫を
する。

2) 面談開始
■ 目的を十分把握した上で、険悪な空気にならないよう会社サイドは当該従業員の
琴線に触れる話題に注力する。

■ 従って、話題としては従業員の対抗心を極力和らげことが望ましい。

■ 会社の経営状況が非常に厳しく、受注が如何に減っているか、それに反し人件費、
原材料が上がることなどに触れ、必ずしも正確である必要はないが、具体的な数字を出し
て会社の経営状況が非常に困難であることを伝える。

3) 解約意思の伝達と条件の提示
■ 当該従業員の話を十分聴取し、「世界的な経済危機の中、会社全体として、会社
の生き残りを考えているが、社会的存在の会社として生き残らねばならないので、会社と
しても苦渋の判断である。本社から途中解約の厳しい指示があり、已む無くあなたと途中
解約せざるを得ない。」と伝える。
表現には十分注意し、会社の窮状と途中解約を明確に伝える。

■ 誠意を最大限表現する一方、ごね得は許さない毅然たる会社姿勢を貫くことが肝
要である。

■ 会社方針として、厳正に中国法にのっとってしかるべき補償をしたい。弁護士、
労働局にも確認した。これにより、きちんと弁護士、労働局に打診していることは、すべ
てが法律通りに行っているとのメッセージを伝える。

■ 補償の支給基準は、個人のみを対象とするわけではなく、会社は制度上、途中解
約の従業員とは同一の基準にて解約する基準を決定。
個別に提示した補償金は、いずれ全員に知れ渡ることを念頭に置き、更に解約条件は、会
社制度であるので、個別交渉には応じない姿勢を見せる。

■ 以下の補償基準を提示。

1) まず法定基準の補償を支払う。
経済補償金=勤続年数に応じた月分×月給(=12ヶ月遡って手当、ボーナスを含む金額/
12)を支払う。  
(合意解除の場合、1ヶ月の解雇予告手当を必要としない。)
2) 会社は上記の金額に上乗せする。
半月のケースもあり、更に2ヶ月よりも多い場合もあるが、実務上、勤務年数や従業員の
種々な状況により、1ヶ月~2ヶ月とすることが多い。個別に基準を説明しても全員に漏
れる前提で話す必要がある。
3) 未消化年休分があれば、その日数に相当する日給を支給することで、在籍したま
ま、年休を消化さ、会社の譲歩の姿勢も必要である。
4) 残業手当などの支給を求められる場合もあるが、その際に不定時労働制の説明な
どで支給が困難か、一部考慮すると伝える。

4) 離職の同意を取り付ける

■ 即現金を支給することで、極力当日での離職を目指し、即応するなら、離職協議
書を締結させてから現金を支給。

■ どうしても猶予が必要な従業員は、一時そのまま帰宅させて回答を決めてからの
連絡を待つか、又は連絡すると伝える。

■ 承諾しない場合には、会社は、労働契約法にのっとって、経営が金融危機の影響
を受けたことで、社員の勤務部門の廃止など労働契約の継続履行ができなくなり、労働契
約変更を申し込む。但し、勤務地、所属部署の変更、給料の引き下げなどが含まれる。
またこの変更を受け入れない場合には、一方的な解除を会社が行うと伝える。

一方的な解除は、仲裁、訴訟のリスクが高いので、極力避けるべきですが、従業員との交
渉の際に使ってもかまわないと思う。二者択一で、従業員を異動させると同時に給与を下
げる可能性をも明示する。

支給基準は、次の通り。
1) 1ヶ月の給料 (予告手当)
2) 経済補償金=勤続年数に応じた月分×月給(=12ヶ月遡って手当、ボーナスを含む
金額/12)を支払う。

■ 会社の顧問弁護士に電話してもらってもかまわないし、すでにその旨を弁護士に
了解してもらっていると伝える。

非常に残念であるが、人員整理の対象となる従業員側は、解雇は受け入れざるを得ないと
なると、極力多めに補償金等を取ろうとすることが主流となる一方、煽動、集団行動、嫌
がらせなどもある。実際、人員整理によってもめたことのある企業とない企業によって格
差が大きい。

全くトラブラのない(又はトラブったとしても会社が最終的に勝った)企業は、トラブル
になっている確率も低いことに対して、①トラブル多発の企業、②悪い前例のある企業、
③煽動する者がいる企業、④集団行動になっているなどの場合、もめる確率が高くなって
いる。

なお、不更新の従業員への不更新通告、離職協議書の取り付け、更新従業員との契約締結
の時にもそれぞれ注意点が必要となります。(2009年3月記2,907字)

※この法律情報は国際商務、企業、法律業界人士の諮問参考だけに使用するものであり、
この情報を正式な法律意見と見なさないでください。当所はこの情報内容に対して一切の
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