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ログイン2018年2月2日
全国人大常委会第三十回会議で2017年11月4日、「全国人民代表大会常務委員会による『中華人民共和国会計法』等法律11本の改正決定」が通過、翌日から施行された。改正後の『中華人民共和国会計法』(以下『会計法』という)では、会計従事者の資格認定と関連する内容が撤廃されたため、会計業界も極めて注目しており、また日系企業の財務管理にも影響が出ると思われる。
【事例1】
A社の財務責任者と会計担当は2010年から、偽帳簿作成、伝票偽造等で、売上の粉飾、脱税を行い、4年間の所得隠しは計2000万元、脱税額は計430万元に達した。この行為は脱税罪構成の要件を満たす。事件発覚後、2名には、脱税罪で有期懲役2年・執行猶予3年・罰金20万元と有期懲役1年6ヶ月・執行猶予2年・罰金10万元の判決が下され、会計資格も取り消された。
【事例2】
中国某地方財政庁は2010年、B社の2008年度監査報告を検査する際、他社への担保提供と500万元の損失負担の事実隠匿、資産、負債、収入等の虚偽を発見した。B社は、旧『会計法』第四十三条、『企業財務会計報告条例』第四十条の規定により、罰金5万元が科され、また、B社の財務総監は当違法行為の直接の責任を負うとして会計従事資格が取り消された。
【実務分析】
不正会計の目的 | 方法 | 責任主体 | 法律責任 |
・特定目的での売上誤魔化し ・脱税 ・利益移転 ・横領等 |
・会計報告、伝票の偽造、変造 ・裏帳簿作成 ・取引の隠匿、削除 ・架空取引等 |
・会社 ・会社責任者 ・会計・財務担当 ・董事、管理職 ・出資者等 |
・行政責任:通告、期限付き是正命令、罰金、会計業務従事禁止等 ・刑事責任:脱税罪、重要情報違法開示・非開示罪、汚職罪等 ・民事責任:会社損失の賠償等 |
【まとめ】
新『会計法』では、会計従事資格の認定が撤廃されたため、今後、会計資格証書だけでは会計業務を従事できる証明とならない。とはいえ(資格が明確化されていない)、会社が会計人を雇用する際の判断基準が必要となる。参考となる試験・資格:会計専業技術初・中・高級資格証書、公認登録会計士(CPA)、米国公認会計士(AICPA)、米国公認管理会計士(CMA)、会計専業技術初・中・高級資格証書
会計従事資格の認定要件が撤廃されたとはいえ、不正会計に対する法律責任は軽減されない。不正が発覚した場合、会社と関係者は行政罰を受け、刑事責任を問われる場合もある。不正会計は、業務の質・レベル、法律順守に対する低い意識など、人為的な事情に起因して起こるため、会社は専門家による勉強会、法律法令、コンプライアンスの研修などの実施にて、根本的な改善を図るべきである。
また、不正が生じた場合、直ちに法務担当者や専門家の意見を仰ぎ、適切な対応措置を取ることで、事態の悪化と損失の拡大を防ぐことができる。関与者が役員や管理職で、会社が政府に処罰される場合、『会社法』等の関連法律に従い、会社利益の損失を理由に当該者に民事訴訟を起こし賠償請求することもできる。
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