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総合計算労働時間制で残業代の削減

中国ビジネスレポート 労務・人材
王 穏

王 穏

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2017年11月20日

 現行中国労働法によると、標準労働時間は1日8時間、1週間40時間と規定されている。これを超える場合、または休日・祝日出勤においては、会社は時給換算にて150%または200%の金額を超過勤務・休日出勤手当として支払わなければならない。一方、総合計算労働時間制とは、標準労働時間制をベースに、一定期間を周期として合計労働時間とする勤務制度をいう。平日と休日の区別がないため、休日出勤の場合でも200%の基準で手当支給の必要はない。人件費削減の意味でも、当制度のメリットなどを簡単に説明する。

【事例】
 原告A氏(従業員)と被告B(会社)は労働契約を締結、Aが営業職であることから、総合計算労働時間制を実施した。現地の人力資源・社会保障局は、B社に1年の周期で総合計算労働時間制を実施することを許可、期間は2015年6月1日~2016年5月31日とした。B社はA氏の勤務時間をこの周期での合計時間で管理していたが、期間中の3月1日にA氏が退職を申し出たことで労働契約解除となった。その後、Aは標準の法定労働時間をもとにB社に労働契約期間中の超過勤務時間等の支払いを要求、訴訟となった。結果として、一審、二審ともA氏の請求は棄却された。

【実務分析】
 中国現行法の規定では、雇用者は、従業員との合意協議を前提に、総合計算労働時間制を申請できる。当局に認可されれば当制度運用にて超過勤務手当や休日出勤手当を大きく削減(人件費削減)できる。

【制度のメリット】
1)法定祝祭日以外の超過勤務時間の計算基準が、200%から150%
労働時間の合計が法定労働時間を超える部分については超過勤務時間とみなし、『賃金支給暫定条例』の規定に従い、相当する賃金を支給しなければならないが、計算基準は通常の200%でなく150%となる。
2)法定祝祭日以外の超過勤務・休日出勤手当支給の先送りができる
設定周期である週、月、四半期、年の単位で、この周期後に超過勤務手当を支払えばよい。また、労働時間が多くなる月、まとめて休暇を取る月があっても、労働時間の均一処理が可能になる。
3)必要に応じた労働時間の手配が可能
会社側は、1日8時間、休日という制約なしに自由裁量で労働時間を手配できるため、 業務量・納期確保等において都合がよい。
4)効率的かつ効果的
人件費削減に繋がり、従業員も労働と休息のメリハリがつくことでモチベーションアップに繋がる。

【まとめ】
当制度の実施においては、下記の点に注意する必要がある。
▪法律法規に則り、対象従業員から必ず同意を得てからの申請とすること。
▪一定の周期設定をするが、労働時間が当周期を超える場合は、超過勤務手当を支払う必要あり。
▪休日出勤手当は発生しないが、法定祝祭日は標準規定の300%で支払わなければならない。

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