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ログイン2003年7月4日
中国では、古くは旧ソ連の如く、主に計画経済体制のための社会主義下の会計税務法規を採用していましたが、改革開放に伴い、西側諸国に準じた会計税務法規を導入してきました。
現在採用されている会計税務法規は、例えば企業会計制度(2000年12月公布、2002年1月改定適用)のように、旧制度の複雑な会計法規を整理して、グローバル・スタンダードを意識した制度改定が進められています。
日本との相違を言えば、骨格たる原理原則は日本の会計税務法規と変わらないのですが、財務諸表の配列・科目名や減損会計、優遇税制等の個別項目になりますと、違いが目立ってきます。
中国における会計関連法規の概要は下図の通りです。
上記各法規の概要は下表の通りとなっています。
法令名
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概要
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会計法 | 会計全般を統括する法律で、会計関連法規の最上位に位置する。 |
企業財務報告条例 | 主に会計報告の表示及び作成手続きを記した規定。 |
企業会計準則 | 会計の原理原則を規定。 |
具体会計準則 | 具体的な会計処理基準を規定。 |
企業会計制度 | 株式会社及び有限会社の会計処理について規定。外商投資企業は、金融保険業を除き、この制度を適用。 |
業種別会計制度 | 企業会計制度の適用を受けない一部業種(金融保険業、小規模企業等)に適用される会計処理に関する規定。 |
企業財務通則 | 企業の財務管理を規定する原則及び規範。 |
外商投資企業財務管理規程 | 外商投資企業に適用される財務管理規定。 |
業種別財務制度 | 特定業種の財務管理規定。 |
外商投資企業の場合は、主に会計法、企業財務報告条例、企業会計制度、外商投資企業財務管理規定を遵守することとなります。以下に、これら各法規の重要内容を見て行きます。
1. 会計法
会計行為・会計資料・経理組織・会計担当者・監督官庁について定めた法律です。適用対象は、政府機関・企業・事業単位・その他経済組織、となっています。
会計法に定められている事項で特記すべきものは下記の通りです。
項目
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内容
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主要条文番号
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会計期間 | 毎年1月1日から12月31日 | 第11条 |
記帳貨幣 | 原則人民元。記帳時のみ選択した1種類の外貨建金額により行う事も出来る(但しその場合でも、会計報告は人民元建としなければならない)。 | 第12条 |
使用言語 | 原則中国語。外商投資企業等においては、1種類の外国語を併用することが出来る(注:実務上は、政府提出書類については中国語のみが主流)。 | 第22条 |
会計資料 | 原始証憑・会計伝票・会計帳簿・会計報告等は、全国で統一的に定められた会計制度(一例:企業会計制度)に従ったものである事。 | 第13条 第14条 |
帳簿の種類 | 総勘定元帳・補助帳簿(補助元帳、資産管理台帳等)・多桁式明細帳・現金預金出納帳等。 | 第15条 |
経理担当者の要件 | 公的な会計従業証を有すること。 経理責任者は、会計従業証を有し且つその従業経験が3年以上であること。 経理担当者は、下記「内部統制の必要」の内容から、最低2名は必要。 会社に経理部門を置かない場合は、公認された記帳代行組織に記帳代行を依頼する。 |
第38条
第37条 |
帳簿作成時の注意事項 | 帳簿には連続した頁数を記載し、会計資料に誤記・欠頁・欠行等が生じた場合は、関連会計規程に基づき修正を行い、かつ会計担当者等が修正箇所に訂正印を押す。原始証憑の修正は、その発行元のみ可能。 | 第14条 第15条 |
コンピューター会計 | 国家規定等に符合したものを使用 | 第15条 |
内部統制の必要 | 内部統制の確立の要請 出納担当者は資料チェック・会計資料の管理・出納以外の記帳業務を兼任してはならない。 経理部門は、内部統制制度(注:相互チェック体制)が機能していなければならない。 |
第27条 第37条 |
定期点検 | 定期的に、会計証憑金額及び実際金額と帳簿金額、各帳簿間の金額、帳簿金額と会計報告上の金額を、突合すること | 第17条 |
会計報告の追加的記載事項 | 会計処理方法の変更及びその影響額 質権設定・未解決の訴訟等の偶発事象 |
第17条 第19条 |
法定監査の必要 | 法定監査を要する事業体は、中国公認会計士の監査を要する(注:外商投資企業等は、設立後間もない場合等の特殊事情を除き、法定監査を要する)。 | 第31条 |
政府検査項目 |
財政機関による監督事項 その他の機関(税務、業種別監督官庁)の監督事項 |
第32条 |
重要禁止事項 | 会計資料の偽造・改竄・虚偽報告の禁止。 二重帳簿作成。 みだりに会計処理方法や各種データの計上基準を変えること、及び利益操作。 違法な会計行為の強要 |
第13条 第14条 第26条 第28条 |
違法行為の告発権 | 事業体及び個人は、違法行為の告発権を有する。 政府部門は、告発人・告発内容の秘密を厳守する。 |
第30条 |
罰則 |
1.一般的違反の罰金 2.会計資料の偽造・虚偽の申告等・会計資料の隠匿や故意による破棄の罰金 3.上記2の指図等をした者に対する罰金 経理担当者が加担していた場合は、その者の会計従業資格を取り上げる。 |
第42条
第43条 第45条 第42〜44条 |
以上が会計法の概要です。
【全般的注意事項】
中国の会計規定は、形式上は日本よりも厳格に定められていますので、適切な処置を継続的に行っていなかったり、うっかり処理を忘れたりして財政税務機関の調査を受けた場合、思わぬ行政処分・罰則等を受けたりします。違法行為と知りつつ誤った会計処理を行ったり、また経理担当者にこれを強要した場合は、刑事罰を受ける可能性がある事も忘れてはなりません。日本も同様ですが、違法行為が発覚するのは、内部関係者の密告に因る場合が多いです。管理者の皆様方には、そのリスクを十分に知って頂き、コンプライアンスに基づいた処理をして頂きたいと存じます。
次回は、企業財務報告条例から説明させて頂きます。
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