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ログイン2003年9月16日
<税務・会計>
中国の外商投資企業等に適用される会計法規(2)
〜企業財務報告条例〜
前回は、会計関連法規の概要とその最上位に位置する中国会計法を説明しました。今回は、その続きとして企業財務報告条例から説明します。
企業財務報告条例
本法は、会計法の下、財務報告を規範化し、その真実性を保証すべく制定された条例で、主に会計報告の表示及び作成手続きを記した規定です。
前回説明しました会計法と重なる部分以外で、この条例で押えておきたいポイントは下記の通りです。
項目
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内容
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主要条文番号
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財務報告の定義 | ある特定日の財務状況と、特定会計期間の経営成績及びキャッシュフロー等の書面… すなわち、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、利益処分計算書等の財務諸表 |
第2条 第7条 第12条 |
財務報告頻度の種類 | 月次、四半期、半期、年度の各種類 | 第12条 |
各財務報告の構成内容 | 【年度・半期財務諸表】 貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、利益処分計算書、財務諸表注釈、財務状況説明書 【四半期・月次財務諸表】 貸借対照表、損益計算書、その他国家規定で指定した場合は、その資料 |
第7、8条 |
比較性の付与 | 年度財務諸表、半期財務諸表については、前期比較が出来るように表示する。 | 第13条 |
各財務諸表内の表示区分の説明 | 貸借対照表…資産、負債、資本の各部 損益計算書…収益、費用、利益の各部 キャッシュフロー計算書…営業活動、投資活動、財務活動、の各部 |
第9〜11条 |
財務諸表注釈の内容 | 企業の財務内容に大きな影響を及ぼすものを、数値ではない文章形式で列挙し、投資者等に判断材料をより多く与える事を目的としている。最低限、下記項目の記載を必要とする。 1.基本的会計仮定と合致しないものの説明 2.重大な会計方針及び会計見積とその変更状況、変更の原因及びそれらが財務諸表に及ぼす影響 3.偶発事象及び貸借対照表日後に発生した後発事象の説明 4.関連会社、及び関連会社との取引内容 5.重要な資産の譲渡等及びその売却状況 6.企業の合併・分割 7.重要な投融資活動 8.財務諸表中の主要科目別内訳 9.その他財務諸表の理解と分析に必要な資料 |
第14条 |
会計チェック内容 | 後述します。※ | 第20〜24条 |
財務報告の様式 | 外部に提供する財務報告は、下記形式を備える事。 1.順番どおりに重ねて製本し、頁番号をつける。 2.会社印を押印する。 3.表紙には、企業名称、企業統一番号、企業組織形態、企業住所、財務諸表の所属年度・月数、作成日、企業責任者(総経理)と経理部門責任者、経理主任のサイン及び押印を要する。 |
第31条 |
罰則 | 会計法に同じ | 第39、41条 |
※会計チェックの内容
企業財務報告条例では、財務報告を作成するにあたり、会計証憑と実物、各財務諸表数値との関連をチェックする事をうたっています。会計法でも同様の規定は有りましたが、企業財務報告条例の方がより詳細に記載しています。管理者の方は他所での経験上、ああ、売上高・仕入高の確認や棚卸の事だろうな、とお考えになると存じますが、いざ財務報告作成時にチェックすべき事項を列挙してみろ、といわれると、経理畑の人を除き、おそらくその全てを回答するのは不可能ではないかと存じます。ここでは再確認の意味も含め、本法の第20〜24条の内容に準じて纏めてみました。今後のチェック作業でお役に立てれば幸甚です。
【重要確認内容】・・・確認後に、菫事会等に報告を要する事項。
確認内容
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確認詳細
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決算項目 | 1.次の存在の確認 |
(1)未収勘定(売掛金等) (2)未払勘定(買掛金、未払税金等) | |
2.外部確認事項 | |
債権債務を有する外部事業者等が確認したその金額と、自社の債務債権の金額の相違 | |
在庫 | 原材料・仕掛品・半製品・在庫商製品等の、帳簿数量と実際有高が一致しているかどうか。また、長期在庫・損失品はないかどうか |
投資項目 | 各投資項目の存在、及びその投資収益の計上の適格性 |
固定資産 | 建物構築物、機械設備、輸送設備等の資産の、帳簿数量と実際有高の確認 |
建設仮勘定 | 帳簿金額と実際発生金額の確認 |
【一般的確認内容】・・・常日頃から注意すべき最低事項
確認内容
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確認詳細
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会計記録の正確性 | (1)会計証憑(領収書等の原始証憑)・会計伝票の各金額と、帳簿・財務諸表記載金額が一致しているか確認 |
(2) 記帳漏れがないかどうか確認 | |
(3)また、記帳方法が正しいかどうかも確認 | |
決算日確認 | (1)現預金残高確認 |
(2)各会計帳簿間の同一科目の残高が一致しているか確認 | |
(3)特定科目の残高が、その内訳明細の合計額と一致しているか確認 | |
(4)今期若しくは前期以前の会計処理等について、会計処理上の誤りや会計方針の変更等により、修正すべきものがないか確認 | |
会計チェック体制 | 経理部の会計チェック体制が、国家規定等で定められた通りに行われているか確認(特に内部統制、現預金管理) |
以上が企業財務報告条例の概要です。
(03年7月31日記・1,923字)
上海邁伊茲諮詢有限公司
税理士 永岡稔
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