<税務・会計>
中国の財務諸表の主要勘定科目についての説明
永岡稔
前回は、貸借対照表の資産の部の主要勘定科目のうち、「貨幣資金」から「売掛金」までの留意点を説明しました。今回はその続編をお送りします。 (注:以下に表記する仕訳は、説明の為に単純化したものであり、実際の仕訳とは若干異なる部分もあります。)
【質問8】 日本と中国では、仕入から販売までの会計処理に違いはありますか? 【回答8】 まず、中国の会計処理上注意しなければならない事を先に説明します。 ・日本においては、仕入時の付随費用(運送料・保険料等)は、取得原価に算入する事となっていますが、中国のおいては、製造業は取得原価に算入、貿易・小売等の流通業では、販売費用に計上する事となっています。 ・中国では使用不能となった在庫品を処分する際に、その在庫品購入時に支払った仮払増値税額を、処分品の原価に算入する必要があります。言い換えれば、その分の仮払増加税は消滅して処分原価となり、企業所得税法上は損金となりますが、納付増値税額は増加します。
次に、仕入−在庫−販売の流れにおける基本的な会計処理の違いについて説明します。 日本では仕入−販売までの流れにおける損益計算上、仕入、売上、繰越材料・製品・商品、という勘定科目を使用する三分法という手法が主に採用されています。一方、中国では、売上原価、売上、原材料・製品・商品、という勘定科目を使用する売上原価法が主に採用されています。 両方式の特徴・利点及び欠点は次表の通りです。
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三分法
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売上原価法
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会計処理上の特徴 |
販売時には売上仕訳のみ
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販売時には売上仕訳に加えて売上原価への振替仕訳も行う。 |
利点 |
仕訳数が少なくて済む
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販売後の売上原価と在庫高が元帳上のみで判明する |
欠点 |
販売後の売上原価と在庫高は元帳上では判明せず、月末に帳簿を締切って初めて判明する。期中在庫は在庫有高帳で確認。
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販売時の仕訳数が多くなる |
例:原価8,000、売価10,000の商品の取扱
【日本の三分法】(税抜方式採用で消費税率は5%とする)
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