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ログイン2018年4月16日
2018年4月4日に、「増値税率の調整に関する通知(財税[2018]32号)」・「増値税小規模納税人基準の統一に関する通知(財税[2018]33号)」が公布され、同年5月1日より、増値税率の一部変更、一般納税人資格基準の変更が実施されます。
制度変更の概要を解説します。
1.税率変更
財税[2018]32号に基づく引下げは、以下の通りとなります。
(1)現在の税率
1)財貨の増値税
● 基本税率 17% … 財貨の販売、加工補修役務
● 特定物品 11% … 農産品(食糧を含む)、水道水、暖房、石油ガス、天然ガス、食用植物油、冷気、熱水、ガス、住居用石炭製品、食用塩、農機、飼料、農薬、農業用フィルム、化学肥料、メタンガス、メチルエーテル、図書、新聞、雑誌、映像製品、電子出版物
● 小規模納税人の税率…3%
注:11%の税率が適用される特定産品に付いては、2017年7月1日より、13%から11%に引下げが実施されています。
2)役務の増値税
● 基本税率 … 6%
● 有形動産リース … 17%
● 交通運輸、郵便、基礎電信、建築、不動産リース、不動産販売、土地使用権譲渡 … 11%
● 小規模納税人の税率…3%(不動産に付いては5%)
(2)変更後の税率
1)財貨の増値税
● 基本税率 16% … 財貨の販売、加工補修役務
● 特定物品 10% … 農産品(食糧を含む)、水道水、暖房、石油ガス、天然ガス、食用植物油、冷気、熱水、ガス、住居用石炭製品、食用塩、農機、飼料、農薬、農業用フィルム、化学肥料、メタンガス、メチルエーテル、図書、新聞、雑誌、映像製品、電子出版物
● 小規模納税人の税率…3%
2)役務の増値税
● 基本税率 … 6%
● 有形動産リース … 16%
● 交通運輸、郵便、基礎電信、建築、不動産リース、不動産販売、土地使用権譲渡 … 10%
● 小規模納税人の税率…3%(不動産に付いては5%)
(3)輸出還付
税率変更に伴い、課税率・還付率共に17%の商品に付いては、輸出還付率を16%に調整。
課税率・還付率共に11%の商品に付いては、輸出還付率は10%に調整されます。
また、この様な商品(課税額=還付率となる商品)の輸出に付いては、以下の様な経過措置が認められています。
1)販売会社(対外貿易企業)
販売会社の2018年7月31日までの輸出に付いては、当該商品購入時の税率が、引き下げ前であった場合は、引き下げ前の税率で、引き下げ後であった場合は、引き下げ後の税率で、輸出還付が行われます。
2)生産型企業
生産型企業の2018年7月31日までの輸出に付いては、引き下げ前の税率(17%・11%)で、輸出還付が実施されます。
尚、輸出日は、輸出通関単上の輸出日が基準となります。
2.一般納税人資格
2018年5月1日より、財貨の増値税と役務の増値税の一般納税人基準が統合され、年間課税売上高が500万元超となります(財税[2018]33号)。
但し、今回の通知は、一般納税人の基準はなく、「小規模納税人の基準」として公布されており、その基準は、「年間の増値税課税売上高500万元、及び、それ以下とする」と規定されています。
つまり、一般納税人を通常の状態と位置付け、小規模納税人を、一定条件を満たした場合の特例と位置付けています。この点、従来の、「一定基準を満たした場合、一般納税人としての登記を認める」という対応とは違いがみられます。
尚、一般納税人基準の変更は、以下の通りです。
(1)現在の一般納税人基準
財貨の増値税 製造業は、年間課税売上50万元超・その他(商業等)は80万元超
役務の増値税 年間売上500万元以上
(2)変更後の一般納税人基準
財貨・役務増値税共に、年間課税売上高500万元超
⇒ 通知は、年間課税売上高500万元以下の場合は、小規模納税人と認めるとの記載。
制度変更前の増値税一般納税人資格の位置付けは、財貨の増値税(増値税暫定条例に基づく増値税)と、役務の増値税(財税[2016]36号)で、以下の通り異なっていました。
● 財貨の増値税
上記課税売上基準は、一般納税人取得の条件であり、これに満たない場合は、一般納税人資格は取得できない。
● 役務の増値税
年間売上高が500万元以上となった場合、一般納税人登録が義務付けられる。
この基準に満たない場合でも、納税者が一般納税人取得の取得を望めば、登録が認められる。
この違いは、財貨の増値税の場合、売上が有る場合は、必ず対応する仕入が有るため、仕入控除・輸出還付が認められないと、採算上、大きく不利になる。一方、役務の増値税は、仕入がないケースもあり、一般納税人が必ずしも有利とはいえない(仕入控除が認められなくても、税率が低い小規模納税人の方が有利な場合が有る)ことから生じるものと思われます。
今回の変更により、基準が、役務の増値税に準じて統合された事になります。
尚、一般納税人登録手続きについては、2018年2月1日から、「増値税一般納税人登記管理弁法(国家税務総局令2017年第43号)」により規制緩和(手続の簡略化)が実施されています。この様に、一般納税人資格取得のハードルは、かつてと比べると、少なからず、引き下げられています。
【参考資料】
この日本語訳は仮訳です。ご利用にあたっては必ず原文をご参照ください。
原文はこちらからご覧ください。
財税[2018]32号 財税[2018]33号
財税[2018]32号(邦訳)
財政部 税務総局 増値税税率の調整に関する通知 財税[2018]32号
各省、自治区、直轄市、計画単列市財政庁(局)、国家税務局、地方税務局,新疆生産建設兵団財政局
増値税制度を充実させるために、増値税税率の調整に関する政策を下記の通り通知する。
一、納税者に増値税課税販売行為または貨物の輸入があり、17%と11%の税率を適用していた場合、税率をそれぞれ16%、10%に調整する。
二、納税者が農産物を購入し、11%の控除率を適用していた場合、控除率を10%に調整する。
三、納税者が16%の税率を適用する商品を生産販売または委託加工するために農産物を購入した場合、12%の控除率で仕入税額を計算する。
四、17%の税率を適用し、かつ輸出税額還付率が17%である輸出商品の場合、輸出税額還付率を16%に調整する。11%の税率を適用し、かつ輸出税額還 付率が11%である輸出商品、越境課税行為については、輸出税額還付率を10%に調整する。
五、対外貿易企業が2018年7月31日までに輸出した第四条に掲げた商品、販売した第四条に掲げた越境課税行為で、購入時に既に調整前税率で増値税を徴 収した場合、調整前の輸出税額還付率を実施する。
購入時に既に調整後の税率で増値税を徴収した場合、調整後の輸出税額還付率を実施する。
生産企業が2018年7月31日までに輸出した第四条に掲げた商品、販売した第四条に掲げた関連越境課税行為について、調整前の輸出税額還付率を実施す る。
調整された輸出税額還付率の実施日及び商品の輸出日は、輸出貨物報関単に明記された輸出日に準ずる。
調整された越境課税行為税額還付率の実施日及び越境課税行為の販売日は、輸出インボイスの発行日に準ずる。
六、本通知は2018年5月1日より実施する。これまでの関連規定が本通知に定められた増値税税率、控除率、輸出税額還付率と相違する場合、本通知に準ず る。
七、各地は増値税税率調整作業を重要視し、実施前の各種準備作業及び実施中のモニタリング・分析、宣伝・解釈などをよく行い、増値税税率調整作業が平穏か つ秩序よく推進されるようにする。
何か問題があった場合、速やかに財政部と税務総局まで報告するものとする。
財政部 税務総局
2018年4月4日
財税[2018]33号(邦訳)
財政部 税務総局 増値税小規模納税人基準の統一に関する通知 財税[2018]33号
各省、自治区、直轄市、計画単列市財政庁(局)、国家税務局、地方税務局,新疆生産建設兵団財政局
増値税制度を充実させ、中小零細企業の発展をより一層支えるために、ここに増値税小規模納税人基準の統一に関連する事項を下記の通り通知する。
一、増値税小規模納税人基準は、年間の増値税課税売上高500万元及び以下とする。
二、『中華人民共和国増値税暫定条例実施細則』第二十八条規定に従い、既に増値税一般納税人として登録された企業及び個人は、2018年12月31日まで は、小規模納税人に転じて登録することができ、未控除の仕入税額については振替処理とする。
三、本通知は2018年5月1日より実施する。
財政部 税務総局
2018年4月4日
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