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NVOCC業務(非船舶運航業務)ライセンスの申請について

中国ビジネスレポート 投資環境
Mizuno Consultancy Holdings Ltd.

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2018年4月13日

中国でNVOCC業務(非船舶運航業務)に従事するためには、船荷証券を登記し、かつ80万元の保証金が必要です(中華人民共和国国際海運条例(以下、海運条例)第7条、8条)。
この保証金を支払わなければ、NVOCC業務に従事するためのライセンスの発給が認められませんが、実際に保証金を用意するのは資金面での負担が大きいこともあり、保険商品の購入や保証状の差入れといった方法による対応も可能となっています。
以下、NVOCC業務ライセンスの申請について解説します。

1.NVOCC業務(非船舶運航業務)
NVOCC業務とは、非船舶運航業者が運送人として荷送人の貨物運送を引き受け、自己名義の船荷証券又はその他の船積書類を交付し、荷送人から運送費を受領し、国際船舶運送業者を通じて国際海上貨物運送を行い、運送人の責任を負う国際海上運送事業活動と定義されています(海運条例第7条)。
中華人民共和国国際海運条例実施細則(以下、実施細則)によると、非船舶運航業者には中国非船舶運航業者と外国非船舶運航業者が含まれます。中国非船舶運航業者とは、海運条例および実施細則にもとづきNVOCC業務ライセンスを取得した中国企業を指し、外国非船舶運航業者とは、外国の法律にもとづき設立され、海運条例および実施細則にしたがい、中国の港湾に入出港する貨物のNVOCC業務ライセンスを取得した外国企業を指します。

2.中国企業によるNVOCC業務ライセンスの申請手続き
NVOCC業務ライセンスの申請先は、交通部および所在地の交通主管部門となります。
申請先の交通部へ下記の必要書類を提出すると同時に、所在地の交通主管部門へコピーを提出します。そのうえで、先ず所在地の交通主管部門で審査が行われた後(7営業日以内)、交通部での審査があり(15日営業日以内)、問題がなければ船荷証券の登記および「非船舶運航業務経営資格登記証」が発行されます(実施細則第11条)。
なお上海市では、交通運輸部公告2014年第16号により、上海市交通委員会が交通部よりNVOCC業務に対する管理権限の委譲を受けているため、同委員会への申請、審査(10営業日以内)のみで手続きが完了します。この特例は現時点では全国で上海市のみとなります。

必要書類:
(1)申請書(所定フォーム)
(2)F/S報告書
(3)営業許可証コピー
(4)B/L
(5)財務責任証明資料

上記(5)の財務責任証明資料とは、80万元の保証金を支払った場合は銀行の証憑となりますが、保証金責任保険を購入する場合は保険証書などの関連資料、保証状制度を利用する場合は担保機構が発行する保証状などを提出することになります(詳細は3.を参照ください)。
なお、上述の必要書類は中国企業がNVOCC業務ライセンスを申請する場合となり、外国企業が申請する場合には、関連政府機関との連絡窓口として届け出が要求される中国国内連絡機構(自社の現地法人や駐在員事務所、他社中国企業など)に関する書類も要求されます(実施細則第24条)。

3.財務責任証明の方法
当初は政府指定の専用口座に80万元を払込む方法しかなく、申請者にとっては大きな負担となっていましたが、現在は保証金責任保険制度や保証状制度の活用による対応も可能となっています。
(1)現金による払込み
政府指定の専用口座に80万元を払込みますので、相応の資金負担の発生がデメリットとなります。なお、将来NVOCC業務に従事しなくなった際に、当該保証金は利息とともに返還されます。
(2)NVOCC保証金責任保険制度の活用
根拠規定:NVOCC保証金責任保険制度操作弁法に関する通知(交水発[2013]600号)
NVOCC保証金責任保険制度とは、80万元の保証金の払込みの代わりに、中国保険業監督管理委員会及び交通運輸部へ登録済みの保険商品を1年以上購入する制度です。
メリットとしては、相対的に資金面への影響が小さい点が挙げられますが、デメリットとしては、毎年保険会社へ納付する保険料は返還されません。
(3)保証状制度の活用
根拠規定:NVOCC保証金保証状制度操作弁法の試行に関する通知」(交水発[2013]601号)
保証状とは、中国銀行監督管理委員会が認可した担保業務に従事できる担保機構(銀行、担保会社、財務会社等)に80万元相当の保証状の発効を依頼する制度で、担保期間は1年以上の必要があります。
資金負担がないのが最大のメリットといえますが、会社の信用状況によっては、担保機構から保証状が発行されない可能性があります。

4.保証金の運用
これまでにも述べたとおり、「非船舶運航業務経営資格登記証」の取得のためには80万元の保証金の支払いが要求されていますが、この保証金は以下の事由以外では運用してはならないとされています(実施細則第19条)。
(1)非船舶運航業者が運送人の義務を履行しない、または不当な履行のため、司法機関による有効な判決、あるいは司法機関が執行を裁定した仲裁機構の採決にもとづき賠償責任を負わねばならない場合と非船舶運航業者が執行を拒否する場合。
(2)交通主管部門により、法にもとづいて罰金を科せられる場合と非船舶運航業者が執行を拒否する場合。
これらの事由により、保証金から振替える必要がある場合は、法にもとづき実施されます。

なお、保証金が海運条例の規定金額に合致しない場合は、交通部から書面により補充について通知され、当該通知を受領してから30日以内に補充しない場合は、経営資格が取り消されますので注意が必要です。

水野コンサルタンシー 杉山竜一

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