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これは知っておきたい最新中国ビジネス事項16

中国ビジネスレポート 金融・貿易
水野 真澄

水野 真澄

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2010年9月27日

記事概要

第1項では、今年2月の深セン市政府会議紀要(深府弁[2010]17号)後の、非法人来料加工営業証の発行状況について深セン市当局へ確認した結果の報告、第2項では、租税条約適用に関する事前登記の実務運用について解説します。【1,884字】

1.深セン市における来料加工廠受入れ態勢について

深セン市政府会議紀要(深府弁[2010]17号)とは、09年末に深セン市が決定した、「対外来料加工特准営業証の期限延長を許可しない」という方針への救済措置を定めたものであり、具体的には、対外来料加工特准営業証の期限満了後は、延長をしない代わりに非法人来料加工営業証(来料加工営業執照)を発行するという内容です。
本稿では、この非法人来料加工営業証の現在の発行状況につき、深セン市当局へ確認した結果を報告します。

a.非法人来料加工営業証の現在の発行状況
非法人来料加工営業証の現在の発行状況について深セン市市場監督局に確認したところ、現状は従来通り対外来料加工特准営業証の期限延長を認めており、非法人来料加工営業証の発行は行っていないという事でした。
また、この期限延長については2012年末までとする旨、基本方針とされていましたが、2012年末以降の延長が認められた事例も調査により確認されています。この点についても同監督局に確認したところ、広東省の方針が2012年末までに来料加工廠の外資企業転換を実現する事であるので、たとえ2012年以降まで延長された場合でも、期限通りに来料加工廠の継続が認められる保証はないというものでした。(ただし、深セン市の工業貿易局などはこのような発言をしていませんので、必ずしも統一された見解ではないようです)

b.総括
上記状況から、2012年末以降も来料加工廠が継続して活動を許されるか不明確なこともあり、基本的には広東省の方針に基づいた外資企業転換の準備を進める事が、適切なリスク回避方法といえます。

2.租税条約適用に関する事前登記の実務運用

2009年10月より「非居住者が享受する租税協定の優遇管理弁法・施行(国税発[2009]124号)」が施行され、租税条約の優遇を享受するには、一定の事前登記が義務付けられました。しかし、事前登記に必要な資料などが規定上明確にされておらず、実務運用が不統一な状況となっています。本稿では、この租税条約適用に関する事前登記手続について解説します。(当該弁法では、所得の内容を「投資所得・譲渡所得」、「事業所得・労務所得等」に分け、異なる登記手続を定めています。)

a.投資所得・譲渡所得
投融資については、租税条約適用の為の実態のない迂回投融資(条約漁り)が無いかを審査するため、許可制がとられています。審査は「租税協定の受益所有者を如何に理解し認定するかの通知(国税函[2009]601号)」に基づいて行われ、その際に必要な提出書類は以下となります(国税発[2009]124号参照)。

●租税条約優遇享受に関する申請書
●租税条約適用に関する身分証明
●相手国(非居住者所在国)の税務局が、前年度開始以降に発行した納税者の身分証明
●所得に関連する契約書、支払証憑、所有権証明、その他
●税務局が要求するその他の書類

このうち、相手国の税務局が発行する身分証明については、「非居住者が享受する租税条約の優遇管理弁法(試行)に関する補充通知(国税函[2010]290号)」に、「相手国税務局が発行する単独の書類」と「中国側税務局に提出する書類に対する相手国税務局の捺印」の選択適用が認められる事が規定されていますが、後者については実務的に困難であり、前者「単独の証明書」の取得が一般的となります。ちなみに、税務局の証明でなくても、非居住者の会社の登記証明などで代用可能な例も多数ありますので、事前に所管税務局に確認するとよいでしょう。

b.事業所得・賃金給与・各種報酬
これらについては、届出制が採用されておりますので、居住地の確認ができれば租税条約の適用が可能となります。届出に必要な書類は以下となります(国税発[2009]124号参照)。

●租税条約の享受に関する登録申請書
●相手国(非居住者所在国)の税務局が、前年度開始以降に発行した納税者の身分証明
●税務局が要求するその他の書類

相手国税務局の発行する証明書については、上記a.の場合と同じです。また、個人の場合は、パスポートが相手国税務局の証明に代替するケースもありますので、この点も所管税務局に確認が必要となります。

以上の通り、所管税務局が事前登記の手続きに関し、それなりの簡便措置(パスポートでの代替など)を認めています。尚、源泉徴収方式で納税が行われる場合、非居住者である納税義務者が源泉徴収義務者に所定の資料を提示しない場合は、租税条約の優遇が享受できませんので注意が必要です。

(1,884字)

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