中国はわずか30年で世界一の貨物貿易国となった。その中で、加工貿易の貢献によるところが大きい。税関総署の統計によると、2015年の中国輸出入総額において加工貿易関連の輸出入が占める割合は約35％であり、国務院2016年1月の「加工貿易創新発展の促進に関する若干の意見」も、中国の加工貿易産業の発展をさらに推進するものと掲げている。その一方で、近年においては、加工貿易に従事する企業、特にその外資企業が税関法令への違反により行政罰として巨額の罰金に処せられ、あるいは刑事責任を追及される事件が著しく増加しつつあり、その企業信用等級の引下げにより輸出入業務が厳しい管理下に置かれるようになった事例も多くなる。それゆえ、加工貿易を行う企業は、税関法令違反のリスクを回避するための社内管理のあり方を整えることが急務となり、以下においては、特に注意すべき保税材料、転厰、消耗率申告、無償貸与設備の問題につき注意事項を簡述するものとしたい。