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加工貿易制限分類の拡大と規制強化のポイント

中国ビジネスレポート 金融・貿易
水野 真澄

水野 真澄

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2007年7月28日

記事概要

2007年7月23日に、商務部・税関総署公告[2007]第44号が公布され、8月23日から施行される事となりました。2005年末より、加工貿易禁止分類に関る公告・通知が矢継ぎ早に公布されてきましたが、それに際して、新しい制限分類製品目録の公布が2006年中に公布されると言われてきました。それが実現した形ですが、今回の公告(第44号)では、従来噂されてきた、制限分類製品の大幅な拡大だけでなく、制限分類を扱う加工貿易企業の中西部シフト、加工貿易保証金制度の強化を伴う、影響の大きな内容となっています。

2007年7月23日に、商務部・税関総署公告[2007]第44号が公布され、8月23日から施行される事となりました。

2005年末より、加工貿易禁止分類に関る公告・通知が矢継ぎ早に公布されてきましたが、それに際して、新しい制限分類製品目録の公布が2006年中に公布されると言われてきました。

それが実現した形ですが、今回の公告(第44号)では、従来噂されてきた、制限分類製品の大幅な拡大だけでなく、制限分類を扱う加工貿易企業の中西部シフト、加工貿易保証金制度の強化を伴う、影響の大きな内容となっています。

ここでは、今回の公告の内容と、その影響を解説します。

 

1.制限分類の意義と制限分類製品拡大

今回の公告では、プラスティック、紡織糸、家具等を中心に、税関製品分類の15%に相当する、1,853品目が、加工貿易制限分類に加えられています(394品目から2,247品目へと大幅に拡大)。

ここで問題になるのは、「制限製品とは一体どの様な意義を持つのか」という事でしょう。

例えば、加工貿易禁止分類とは、文字通り、中国で加工貿易を行うことが禁止される品目を指しますので、これに該当する製品を取り扱う企業は、加工貿易を行う事はできなくなります。

一方、制限分類とは、加工貿易事態は可能なものの、加工貿易を行うにあたって、一定の制限が付けられる製品を指しますが、どの様な制限が行われるのでしょうか。

 

従来の制限製品は、使用する原材料の内外価格差が大きい事などから、国内での転売(密売)が生じやすく、一定の租税担保の徴収が、管理上望ましい品目が指定される、というのが、一義的な位置付けであり、保証金の徴収義務が、制限の主要な内容でした。

但し、今回の大幅な拡大により、制限分類製品を、「相対的に付加価値の低い製品」と位置付け、規制の対象にしようと言う色合いが濃くなっており、その制限内容も大幅に拡大されています。

公告公布に伴う記者発表でも、今回の公告の意義は、「貿易摩擦の解消・輸出政策の矛盾解消の一環であり、加工貿易の高付加価値化、実施地域差別化、中西部移転を促進するためのものである」とのコメントが、商務部産業司の責任者より行われています。

 

 

2.加工貿易保証金に付いて

今回の公告により、制限分類製品を取り扱う加工貿易企業の保証金積み立て義務が強化されています。では、この保証金制度とは、どの様なものでしょうか。

加工貿易保証金制度は、積み立て義務が、加工貿易企業の分類(A~D類)に連動していますので、保証金積み立て制度を理解する前に、先ずは、企業分類を理解する必要があります。

加工貿易を行う企業は、その規模・パフォーマンスによって、A~Dの4分類に分けられます。

具体的には、以下の通りです。

A類:商務主管部門・税関が指定する特定の優良企業

B類:密輸暦が無く、適正な活動を行っている企業

C類:密輸暦はないが、軽微な違法行為があった企業

D類:密輸暦がある、若しくは3回以上の違法行為がある企業

 

上記の4分類のうち、D類企業は加工貿易が禁止されますので、実際に加工貿易を行っている企業は、A・B・Cの3分類に分かれます。

但し、A類は特定の優良企業、C類は軽微な違法暦がある企業ということで、ある意味では特殊な位置付けであり、全体に占める割合は多くありません。

通常の企業(大部分の加工貿易企業)は、B類であり、税関より分類に関する特段の通知が無い企業は、B類企業という事になります。

 

公告施行前後では、保証金の積み立て義務は、以下の通り変更される事になります。

A類:(施行前)取り扱い製品に拘らず保証金積み立て不要

   (施行後)制限分類製品を取り扱う場合は、保証金の50%相当を積み立て

B類:(施行前)制限製品を取り扱う場合のみ保証金の50%相当を積み立て

   (施行後)同様

C類:(施行前)取り扱い製品に拘らず保証金積み立て必要

   (施行後)同様

 

 

3.加工貿易保証金の積み立て方法

加工貿易保証金制度(来料・進料の双方が対象となります)は、1999年から実施されている制度で、原材料輸入時に、輸入段階の関税・増値税に相当する保証金を銀行に積み立てる方法(実転)と、実際の保証金は積み立てず、保証金台帳管理のみを行う方法(空転)の2種類が存在します。

従来(公告施行前)の規定では、A~C類企業に関する管理は以下の通りでした。

● 公告施行前(2007年8月23日前)

A類:実転・空転共に不要。

B類:原則空転。

但し、制限分類製品を取り扱う場合のみは、輸入関税・増値税の50%相当額を実転

C類:輸入関税・増値税の100%相当を実転。

 

公告施行後は、制限製品を取り扱う場合には、A・B・C類を問わず、実転が採用される事になりますが、その方法は、具体的には以下の通りです。

 

a. 新しい保証金の基準

公告施行後は、制限製品を取り扱う加工貿易企業は、A・B類に付いては保証金額の50%相当を積み立て、C類に付いては輸入関税・増値税の100%の保証金を積み立てが義務付けられる事となります。

A・B類企業の保証金額は、輸入制限分類・輸出制限分類の区分に応じて、以下の通りとなります。

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