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日中比較文化論(1)

中国ビジネスレポート 投資環境
旧ビジネス解説記事

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2007年8月3日

記事概要

 日本人と中国人は同じ東洋人であり、黒い瞳、黒い髪、皮膚の色など外見はそっくりでちょっと見ただけでは区別がつきません。その上日本は中国とは古来より「一衣帯水」の関係(遠くから見ると、そこにあると思えないほどの狭い川、つまり日本と中国はほとんど隔てられる障害がないほどの親密な関係である)と言われるほど、中国から非常に大きな影響を受けてきました。

新しいページ 1日本と中国は一衣帯水の国

 日本人と中国人は同じ東洋人であり、黒い瞳、黒い髪、皮膚の色など外見はそっくりでちょっと見ただけでは区別がつきません。

 その上日本は中国とは古来より「一衣帯水」の関係(遠くから見ると、そこにあると思えないほどの狭い川、つまり日本と中国はほとんど隔てられる障害がないほどの

親密な関係である)と言われるほど、中国から非常に大きな影響を受けてきました。

古くは後漢の光武帝の時代、西暦57年に日本の九州の一小国の王の使節が朝貢し、「漢倭奴国王」の金印を授かっています。その後、三国時代の238年(*注1)には、西日本を統治していたと言われる邪馬台国の女王「卑弥呼」が魏の皇帝「曹丕」に使者を派遣していることが魏志倭人伝(正確には魏志東夷伝倭人の条)に記されています。

以来遣隋使や遣唐使が当時の先進国であった中国の文化や政治を学ぶため派遣され、律令制度や京都、奈良で見られるような条里制(碁盤の目のように東西南北の通りで作られた都市設計)などが取り入れられました。

その他にも漢字や仏教の伝来などがあり、これらの文化は今でも日本人の生活の中に深く入り込んでいます。

 このように外見的に似ている上に文化面でも中国文化の影響を強く受けた日本が

中国人と同じ考え方をすると考えるのは至極当然のことだと思えます。しかし実際は

私たちが思っている以上に大きな違いがあるのです。

 

*注1.魏志倭人伝では、倭の使者「難升米」らが帯方郡に皇帝との謁見を願い出ると書かれているが、この時、帯方郡(朝鮮)では「公孫淵」と「司馬懿」の戦闘が行なわれており、この年ではおかしい。日本書紀に記されている景初三年(239年)が正当と思われる。

 

日本人と中国の考え方

 日本人は何事にも控え目で、物事に対してYES、NOをはっきり言わない国民だと

よく言われますが、中国からの文化を取り入れて来たにもかかわらずこう言った考え方の日本人と、物事をはっきりと表現する中国人とは大きな違いがあります。

中国から漢字を学びその漢字からひらがなやカタカナを作り出していったように、受け入れた中国文化も日本人の考え方にそって歴史と共に少しずつ変化が生じてきました。

 もともと日本人の考え方の中にはできるだけ人との争いを避けたいとする考え方があり、これがはっきりと「NO!」と言えない文化の原点になっています。

また物事をはっきり言わなくても相手の言葉の裏を理解しあえる日本独自の文化と相まって一層このことが日本人を曖昧な性格と思わせてしまっているのです。

 中国人は島国の日本と違い大陸の人種ですから欧米人と似た考え方をします。 争いをいとわず白黒をはっきりとさせようとするのは彼ら共通の考え方です。

自分の考えを主張したりYES、NOをはっきりさせようとする考え方は中国が長年にわたる封建制度から抜け出し、共産主義による近代国家を打ち立ててから、より一層強くなったように思われます。

 日本の「阿吽の呼吸」(「阿」は息を吐くことで、「吽」は息を吸うこと。お互いに考えていることや感じていることがぴたりと合うこと)だとか、「一を聞いて十を知る」(初めを聞くと終わりまで理解できるという意味)といった独自の文化を重視する日本が国際間の交渉において極めて優柔不断で真意が分からないと非難されることが多いのはこのような日本人の考え方を中国人や欧米人も理解できると思い込んでいることに問題があります。

 まだ欧米人は日本人と比べても目の色や髪の色、皮膚の色も違いますので、考え方が違ったとしてもある程度納得できますが、中国人は日本人とよく似ているためどうしても日本人と同じ思考回路を持っていると思ってしまいがちです。

同じような顔をしていても日本と中国の考え方には大きな違いがあるということを

はっきりと認識することが必要です。このことを明確にした上で中国文化を理解しようとしないと、いつまでたっても「どうしてこんなことがわかってもらえないのか」とか、「なぜそんなことを言うのだろう」と言うような疑問を抱くばかりで、少しも問題解決にはなりません。

 

中国文化、大きな三つの特徴

 それでは中国文化を理解する、言い換えれば中国人を知る上で最も大切なことは何か。このことについてお話しましょう。

ポイントは三つあります。一つ目は「関係」。日本語ではコネと訳されていますが、日本のコネが一方にだけメリットがある形態でも可とするのに対し、中国の「関係」は必ず双方にメリットが無ければならないという点が少し違います。

二つ目は「面子」。日本語でもメンツと言って使われますが、日本人にとって「面子」とは自尊心(プライド)であって、それ以外の感情はあまりありません。しかし中国人中国人の「面子」には自尊心のほかにも虚栄心、見栄と言ったものが複雑に絡み合っていて、日本人が用いる意味よりもっと奥深い、彼らの本質にかかわるようなものが感じられます。

 三つ目は「人情」。日本人も義理、人情と言った感情は理解できますが、「関係」や

「面子」との相関関係において複雑に絡んでくるので、日本の義理人情以上の「濃い感情」とでも言えばそのニュアンスが分かりやすいかもしれません。

 それではこれら三つのポイントをひとつずつ説明していきましょう。(2007年8月記 2,174字)

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