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ログイン2025年9月30日
1.発展改革委員会での備案(中長期外債)
「企業中長期外債審査登記管理弁法(国家発展改革委員会令2023年第56号)」により、2023年2月10日から、中長期外債に関する国家発展改革委員会での備案手続きが強化されましたが、その近況を下記します。
第56号弁法には、中長期外債(借入期間が1年超の対外債務)に関して、「対外借入前に、国家発展改革委員会で、企業借用外債審査登記証明を取得する事(第10条)」や、「この登記証明を取得していない場合は、外債登記・資金の受領・引出しが認められない事(第17条)」が規定されています。
因みに、(56号には明記されていませんが)国家発展改革委員会・外資司にヒアリングした結果では、投注差方式を採用している場合は備案の対象外。マクロプルーデンス方式を採用している場合のみ備案が必要という回答でした。
2.外貨管理局と発展改革委員会
発展改革委員会での備案は、第56号弁法施行以前から、発改外資[2015]2044号(失効)により要請されていましたが、これが守られていませんでした。
これは事後報告だったからという点もありますが、外債登記を担当する外貨管理局が、発展改革委員会での手続を要求しなかったというのが重要な理由です。
これは、2044号が外貨管理局との連名ではなく、発展改革委員会が単独で公布したものであるため、外貨管理局は「与り知らない」という姿勢を取っていたもので、複数の行政機関が関係する場合、この様な齟齬は、実務上生じうるものです。
第56号弁法も国家発展改革委委員会が単独で公布したものであるため、公布時の上海・広州の外貨管理局での意見徴収時には「外債登記にあたり、発展改革委員会の備案は不要」との回答でした(地域によって回答は異なります)。
更には、国家発展改革委員会・外資司のヒアリングでも、「現地の外貨管理局が、国家発展改革委員会の審査登記証明の提出を要求しない場合、現地外貨管理局の意見を尊重する」と回答しています(その場合はやむを得ないという趣旨)。
ただ、2022年より、一部地域において、外貨管理局ではなく銀行が外債登記手続きを行うようになり、匯発[2023]30号で、その地域は上海市、江蘇省、広東省(深セン市を含む)、北京市、浙江省(寧波市を含む)、海南省全域に拡大しています。
この場合、銀行は発展改革委員会の要求を無視するわけにはいかず、手続きの徹底が図られている状況にあります。
3.備案手続きと所要時間
第56号弁法に基づく備案時に、提出する書類は多岐にわたりますが、「組織の関係図」、「内部決議書」、「過去の外債実績」、「専門機構の法律意見と真実性の確認書(通常は弁護士事務所が作成)」等が要求されます。
弁法には、受理後3か月以内に備案証を交付すると規定していますが、受理までに要する時間があるため、3~5か月程度が必要。更に、「専門機構の法律意見と真実性の確認書」の作成には、弁護士事務所によって所要時間は異なりますが、1か月程度の時間を要しますので、約半年の期間を想定する必要があります。
この様な状況を勘案し、昨年時点では、国家発展改革委員会に申請した時点で外債登記を認める銀行もありましたが、発展改革委員会の指導も有り、この様な緩和措置が認められなくなっているようです。
以上からも分かる通り、マクロプルーデンス方式に基づく中長期外債は、企業にとって大きな負担がかかるものになっており、敬遠される傾向にあります。
一応、短期外債であればこの必要はありませんが、返済できず、ロールオーバーする場合は、中長期外債扱いになり、同様の手続きが必要となるため注意ください。
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