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CAAT(コンピュータ利用監査技法)を使い始めて (第4回)

国際ビジネスレポート
川島 肇

川島 肇

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2017年12月4日

前回から少し間隔が開いてしまった事もありまして、今回は現在におけるCAATのトレンドを紹介する事でワンテンポ置き、再スタートしたいと思います。

前回までに説明してきたヒストグラムやバブルチャートは、監査ソフトの分析アプリを利用して取得したテーブルデータをグラフにより視覚化するものでした。ヒストグラムではデータ項目の分布を視覚的に把握する事を容易にし、異常値の発見やデータの集中する様子を「見えるか」しました。又、バブルチャートでは縦軸と横軸で交差する座標を点ではなくバブルという大きさで表示する事で、3つのデータを2次元のチャート上で表現しました。これらの作業は、分析アプリの使い勝手が格段に進歩した事により、内部監査人やリスク管理責任者などがソフトをインストールすれば手軽に利用できるようになりました。

しかし、この分析した報告書が如何に素晴らしい報告書であっても、会社の経営層や管理責任者へ意図された内容として、タイムリーに伝わなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。この点を改善する為に情報の受信者へ適格なタイミングで分析資料が配信できる仕組みが、最近の監査ソフトでは非常に充実して来ています。

今回は、継続的な内部監査のモニタリングの実施に伴うダッシュボード、KPIレポート、ストーリーボードの各種レポートの機能と、それに伴う自動化の工夫について紹介していきたいと思います。

(1) ダッシュボードについて
ダッシュボードでは、ユーザーに必要となる複数のレポートから全ての重要情報を1ページにまとめて表示され、それらの情報が閲覧可能になります。現在では簡易的なERPシステムでもこのようなダッシュボードの機能が付いてくるようになりました。詳細データへのドリルダウン機能、あるいはドリルスルー機能(2つのレポートで関連付けされ、フィールドがハイパーリンクされることで、メインレポートの特定の値がリンクされた2番目のレポートへ移る機能)などにより、より詳細なデータを精査できるようになりました。ダッシュボードに表示される数値や表示をドリルダウンやドリルスルーする事で、経営者やリスク管理者は必要な情報を容易に「掘り下げる」ことが可能になります。

(2) KPI(主要業績指標)レポートについて
KPIレポートは、特定のビジネス領域、活動、業務に基づいて、組織の目標に対する達成度を評価するプロセスです。ビジネスの現在の状態を評価する事で、改善の可能性がある主要な領域を特定して行きます。通常は、1つの数値データ(メトリック)、1つのフィルター、1つの日付制限あるいは期間設定の3要素で構成され、テーブルデータ上の数値データ(メトリック)を使用し、目標への達成度とその傾向を分析していきます。KPIレポートは独立したレポートとしてではなく、KPIダッシュボードタブとして利用されます。レポートの種類は、指標数値のみの標準型、カテゴリ―別に分割したもの、時系列のデータでその傾向を表示できるものなど幾つかのタイプから選べます。

(3) ストリートボード
ストーリーボードでは、単一のプレゼンテーションで複数のレポート、グラフ、あるいはイメージ動画を使用したスライドショーを作成し、アクセス権限者だけがそれを閲覧する事ができるツールです。経営者やリスク管理者は、より視覚的に問題の本質を理解し、ドリルダウンにより問題を「掘り下げる」ことができます。又、ストーリーボード上では、スパークラインなどを使い、リアルタイムにパフォーマンスを監視します。スパークライン上ではトリガーしきい値線を表示するなどして時系列で主要業績指標のトレンドを示します。

(4) 自動化の工夫
電子メールの自動配信機能はタイムリーに分析結果を報告する仕組みの1つとして挙げられますが、配信するタイミングの設定は、以下のような条件が考えられます。
・重大優先度が割り当てられたレコードが検出された場合
・集約された数値データがしきい値を超える場合
・主要指標を監視し、大きな変化が認められる場合
このような自動化はデータ監査ソフトの強みであり、条件設定によりあらゆるトランザクションを対象として、アラーム表示が可能となります。

又、アンケート形式による質問による情報収集の手法も自動化の対象となります。アンケートの配信とその回答の収集、回答の進捗状況の追跡(調査に回答を送信した受信者の横には、”回答済み” というメッセージが表示され、調査に回答を送信していない受信者の横には、”保留” というメッセージが表示)、そして調査結果の配布等の各場面で、タイムリーな処理が可能となります。

モニタリングの自動化では、主要指標を監視し計算の値をテストするしきい値条件でトリガーを設定する事が重要になります。トリガーとは特定の変更が発生したときに自動的に実行する一連のアクションですが、例えば主要指標の条件のいずれかがしきい値を超えたと評価されると、ダッシュボード上のトリガーの計算値が基本色からしきい値色に変わる事により、主要な関係者への通知などの関連付けられたアクションが実行されるようになります。
 
ここで説明した機能は、以前はデータ監査ソフトのメインな部分ではありませんでしたが、データ監査で得られた情報を分析し、成功の達成度やリスクの許容度で表示し、必要に応じて「深掘り」していく事で、有効なツールとなってきました。

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