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納税義務者への大きなコンプライアンスリスク

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2014年2月4日

本日はカンボジア税制の特徴の一つである、クレジット・インボイス方式(省略してインボイス方式)とそのコンプライアンスリスクについて説明していきます。

インボイス方式とは、付加価値税(VAT : Value Added Tax)の計算方式の一つで、VATの計算時に売上に課税されたVATから仕入に課税されたVATを取引単位で控除する方式のことです。インボイス方式は、取引単位で課税を行うため、流通の特定段階での免税が可能であること、会計年度より短い期間で申告期間を設定できることなどが他の制度よりも優れているとされています。

カンボジアには月次税務申告という制度があり、他の税金とともにVATの申告も月次ベースで行われます。このVATの計算に使用されるのは、上記の通り売上と仕入のインボイスであり、月次税務申告時にインボイスのコピーも申告書に添付して提出する必要があります。

カンボジアの税法やその他法令では、帳簿に関するVAT独自の義務的記載事項はなく、欧州付加価値税制度のようにインボイス上の記載項目が詳細に定められています。
カンボジア税法(Law on Tax)第77条、VATに係る閣僚会議令(Sub-Decree on The Value Added Tax)42条では、インボイスの記載事項として以下の項目が定められています。

1.商品・サービス販売者の名前と税務登録番号
2.インボイスの発行日
3.商品・サービス購入者の名前と税務登録番号
4.商品・サービスの量、価格、詳細
5.Specific tax を除いた商品・サービスの合計金額とVATの合計金額
6.課税対象商品・サービスの合計金額(項目5番での商品・サービスの合計金額と課税対象商品・サービスの合計金額が異なる場合のみ)
7.未払いのVATの金額
8.商品・サービスの提供日(インボイスの発行日と提供日が異なる場合のみ)

これらの記載項目を全て満たしたインボイスの保有が前段階税額控除の前提条件となり、項目の一つがかけた場合は前段階税の控除権を失ってしまいます。一方、VAT徴収納税義務のある商品・サービス提供者が上記の項目を全て満たしたインボイスを発行しなかった場合は、例え形式的なミスによるものであったとしても重いペナルティの対象となります。記載事項の有無だけではなく、記載内容の明確性や正当性、VAT取引に関係する様々な記録や証憑の完璧な保管なども求められるため、VAT納税義務者には大きなコンプライアンスリスクが発生しています。

カンボジアの現行のインボイス方式が、VAT納税義務者の取引の実体的要件とは異なったコンプライアンスリスクを発生させていることで、外資企業のカンボジア進出における大きな妨げになっていることは事実であり、今後の法整備の同行を注意深く見ていく必要がある。

以上

Tokyo Consulting Firm
澤柳匠

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