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【心理学とロジックで勝つ中国ビジネス 】Vol.2 中国では「ミニサイズ」の化粧品は売れない

中国ビジネスレポート コラム
江口征男

江口征男

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2013年9月24日

日本で新しい化粧品を販売する場合、フルサイズの本商品以外に、ミニサイズや無料サンプルを用意することがよくあると思います。初めて新しい化粧品を使う消費者にとって、それが自分にあうか、本当によいか分からない段階でフルサイズの本商品を買うのはリスクがあります。そこで消費者に無料サンプルを提供したり、値段の安いミニサイズをまず買ってもらい、その化粧品を実際に利用して納得してもらった上で、フルサイズ本商品購入してもらうというアプローチでしょう。

しかし残念ながら、このアプローチは中国でうまくいきません。中国ではミニサイズは売れないからです。

なぜミニサイズは売れないのか。

それは本商品よりも性価比(=お値打ち度、コストパフォーマンス)が低いからです。例えば、本商品200mlが200元で販売されているクレンジングオイルの場合、ミニサイズは50mlで80元くらいするのが普通です。この2つの性価比(=1元当たりの容量(ml))を比較すると、本商品が1.0(ml/元)、ミニサイズが0.625(ml/元)となり、圧倒的に本商品の性価比が高いことが分かります。中身が同じ商品であれば、性価比が高い本商品の方をほぼ間違いなく買うのが中国人消費者なのです。

もちろんいきなりフルサイズを買って、商品があわない可能性もあるのは中国人も分かっています。従って日本人以上に、ネットでクチコミを調べたり、知人に聞いたり、実際に試用してみたりと入念に準備をします。でもいざ「買う」と決めたら、ミニサイズではなく性価比が高いフルサイズを選ぶのです。

実際、中国でミニサイズを販売している化粧品ブランドは、ほぼ日系だけです。そして(大幅な値引きをして性能比を本商品に近くした場合を除いて)ミニサイズは実際売れていません。

ミニサイズはダメかもしれないけど、無料サンプルは中国でも有効だろうと思う方もいるでしょう。その通り有効です。ただ無料サンプルは「買う前」ではなく、「買った後」に提供するのが中国では常識なのです。もちろん中国でも本商品を買う前のお客様に無料サンプルを使ってもらうことで、気に入って買ってくれる人もいます。ただそれ以上に多いのが、無料サンプルの悪用者達です。1人で何個も無料サンプルを受け取って自分で使うだけならまだしも、無料サンプルを集めてネットで売る消費者や、店舗の無料サンプルを無断で大量にくすねて、ネットで販売する店員もいるくらいです。特に中国では、相当気を付けないと、せっかく用意した無料サンプルが、潜在顧客よりも悪用者に流れることが多いのが現状なのです。実際、化粧品メーカーが中国で新商品のサンプルを大量に無料配布した際に、中国の内陸都市からのサンプル請求が異常に多いでおかしいなと思いながらも、一応請求があったからということでサンプルを送ったところ、しばらくしてその内陸都市の人が、タオバオでそのサンプルが大量に販売されていたという笑えない話もあるくらいです。

中国での正しい無料サンプルの使い方は、実際に本商品を購入した人に(もしくは購入を決めかねている人に、もし買ってくれたらこれをおまけにつけますと)、無料サンプルを提供することです。できるだけ商品を購入する真実の瞬間まで引き付けて、本当に潜在顧客かどうかを見極めた後でサンプルを提供するのです。本商品と同じ商品のサンプルをもらえれば、もちろんお客様に取っては性価比が高くなりますし、実際に商品を購入したお客様に別の商品の無料サンプルを提供することで、次回そちらの商品も買ってもらえるかもしれません。性悪説の中国では、しっかりお客様を選びながらサービスを提供するべきなのです。

中国では、このように日本のやり方を鵜呑みにせず、中国人消費者の特徴や心理を考えた上でビジネスを組み立てる必要があるのです。

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