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【中国深読みコラム】第30回~熊本地震とドローンと中国~

中国ビジネスレポート コラム
松本 健三

松本 健三

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2016年5月9日

 今回の熊本地震ではメディアや大学が熊本城の被害状況をドローン(小型無人飛行機)で空から調査を行い、NTT西日本の通信線の被災状況の把握にもドローンが利用されました。又国土地理院は地震発生翌日の4月15日に、調査員3名が中国DJI製ドローンの「ファントム3」を伴って現場に入り、16日から阿蘇大橋の決壊などを撮影し、当日には国土地理院のホームページなどで動画が公開され、同日中にYouTubeで約25万回再生されました。中国DJIとは深センに本社を置く大疆創新科技有限公司のことで、ドローンの世界市場シェアは50%以上に達しています。と云う訳で、今月はドローンと中国の関係を深読みしたいと思います。

 4月11日の全国紙に、イオンモール幕張新都心(千葉県)の屋上から720ミリリットルのワインボトルを籠に載せたドローンを飛ばし、続いて高さ31メートルの10階建てマンションに市販の薬を運ぶ実証実験が行われたと報じられました。GPSで位置を確かめながらの自律飛行です。ドローンの宅配便での応用はインターネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムが2013年12月、商品を小型ドローンで配達する新サービスの構想を明らかにしたことで世界的に注目され、中国のアリババなども事業化を検討中です。近い将来スマホから注文すると、空を飛んで商品が届く時代が来るでしょう。実はこのドローンは中国が世界一の生産国で、玩具産業と密接な関係があります。

 今年の1月28日付南方日報によりますと、深セン市税関は2015年のドローン輸出総額は30億9,000万元(約540億円)で前年の8.2倍に増えたと発表しました。主要輸出先は香港が同6.9倍の22億元で全体の71.1%を占めていますが、大部分は香港から北米と欧州へ再輸出されています。米国は14倍の6億3,000万元、欧州連合(EU)は15.2倍の2億元でした。主要生産・輸出企業では深センに本社を置く大疆創新科技(DJI)が95%以上を占め、同社の世界市場シェアは50%以上に達しています。
 
 又3月16日付雷鋒網によりますと、DJIは3月中に農薬散布などに活用できる同社初の農業用ドローン「MG―1」を発売すると発表しました。航続時間は農薬満載の状態で10分、無荷重時は24分。農業用ドローンの平均航続時間は1時間とされていますが、燃料はガソリンです。MG―1はバッテリー搭載の充電式です。10キログラムの農薬を搭載でき1回の飛行で6,700~1万平方メートルの農地に農薬散布が可能。作業効率は人が行う場合に比べ40~60倍向上し農業従事者に健康被害が及ばないなど複数のセールスポイントがあるといいます。農業用ドローン市場は未成熟で、中国全土での保有量は現在3,000台未満と云われており、需要は今後更に拡大するとみられています。
 
 また昨年11月2日付深セン特区報には、中国初となるドローンの業界団体「無人機行業協会」が10月31日、深セン市に設立された、とあります。深セン市は中国国内でドローンの一大生産基地でDJI以外にも関連企業は300社超に上り、一般消費者向けドローン市場での世界シェア70%、業務用ドローンの国内シェアは60%、年商は160億元(約2,720億円)に達する、と報じられています。
 
 一方、中国は玩具製品の生産・輸出大国で2014 年中国玩具業界の売上高は前年比12.2%増の1,964 億9,000万元(約3兆3,400億円)、総利益は前年比12.4%増の98 億1,000 万元(約1,670億円)でした。また、14 年中国玩具製品の輸出量は前年比8.3%増の301 億700 万個、輸出額は前年比14.2%増の141 億3,600 万米ドル(約1兆5,700億円となっています。輸出相手国・地域としては米国、香港、英国、フィリピン、日本、ドイツ、シンガポール、ロシア、オランダ、韓国などがありますが、米国、香港および英国の3カ所が輸出額全体の34.1%、6.2%、6.0%をそれぞれ占め上位3位の輸出相手国・地域となっています。

 このうち、広東省は中国最大の玩具生産・輸出地域で2014年の広東省玩具輸出量は中国全体の37.2%、輸出額は中国全体の67.4%を占めました。広東省では主に電動玩具、乗り物とプラスチック玩具を生産しており、この基礎技術がドローン開発と生産に大いに貢献していることは間違いありません。

 震災や事故の捜索・レスキュー、農業以外にも、ドローンは都市計画や地図作成、測量、不動産・建設、スポーツ中継、映画撮影など幅広い産業に応用することができ、いずれも経済と社会に良い影響を与えるものばかりなので、ドローンの産業利用には今後巨大な商機が見込まれています。

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