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越境EC における知的財産権特集

中国ビジネスレポート 知的財産
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褚淑傑

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2026年1月14日

世界中の越境EC市場では、知的財産権侵害が増加しており、中でもいわゆる「ヒット商品への便乗」が典型例として挙げられます。ある商品が人気になると、画像の無断転用やデザインの一部変更を施した模倣品が市場に溢れ、低価格で消費者を奪い合う事態が起きています。これは、オリジナルブランドの利益と信用を損なうだけでなく、健全な貿易秩序をも乱す深刻な問題です。

こうした知的財産権侵害の蔓延という課題に直面する中、能動的な権利保護は越境EC企業が向き合わざるを得ない重要なテーマとなっています。積極的かつ効果的な権利保護によってこそ、模倣品の流通を抑え、消費者の信頼を維持し、イノベーションの成果とブランド価値を守ることができます。これは、同質化・価格競争に陥る悪循環を避け、業界を「製造」から「知的創造」へと導く原動力となります。最終的には、国際市場で持続可能な競争優位性を築き、革新的な企業が利益を享受し、市場が健全に発展するというウィンウィンの構図の実現に繋がります。

本シリーズでは、越境EC企業の知的財産権保護能力を高めるため、実践的な情報を提供してまいります。第1回となる今回は、海外における知的財産権ポートフォリオの強化についてご紹介いたします。

1、海外戦略の強化が事前対策の要
世界的なEC市場の拡大に伴い、中国の販売事業者やブランドは、かつてない規模で世界市場へ参入しています。しかし、こうした機会が増大する一方で、知的財産権侵害のリスクも世界的に深刻な課題となっています。この課題に対応するため、知的財産権リスクへの事前対策が越境ECにおけるリスク管理の基盤となります。効果的な事前対策は、リスク対応の前倒しを可能にし、「受動的対応」から「積極的防御」への転換をもたらします。これは単なるコストではなく、企業の海外展開を支え、ブランドの中核的価値を守るための戦略的投資なのです。
このような強固な防御体制を築くには、先を見据えた体系的な海外における知的財産権の展開が不可欠です。海外での知的財産権ポートフォリオは、権利侵害の監視やリスク評価を行うための法的根拠となるだけでなく、今後のあらゆる権利行使において、権利証明と戦略的基盤ともなります。

2、海外における知的財産戦略の強化方法
商標、特許、著作権の三つの側面から体系的に保護を進める必要があります。

商標「盾(シールド)」:自他双方の権利侵害の防止
越境ECにおいて、商標はブランドを識別する重要な要素です。商標出願は、自社ブランドの保護、消費者の信頼向上、顧客の定着率向上に貢献します。越境EC企業は先見性を持ち、商品の製造国、販売国、主要な中継・港湾国等で商標展開を行い、ブランドを守る「最初の防衛線」を築くべきです。これにより、商標の冒認出願や権利侵害を回避し、商品の製造や販売に支障を来す事態を防ぎます。

専利(特許、実用新案、意匠)「剣(ソード)」:イノベーションと競争力の保護
自主製品を研究開発している越境EC企業にとって、特許保護は極めて重要です。研究開発の成果と市場戦略を連携させ、コア技術については、対象国で発明特許または実用新案権を戦略的に出願する必要があります。また、製品の独自性のある外観については、積極的に意匠を出願し、イノベーションの成果を法的に保護される無形資産に転換することが求められます。専利展開の核心は「時機を逃さない」ことにあり、製品の公開や発売前に出願を完了させることで、模倣品に対する堅固な防壁を築きます。

作権「盾(ガード)」:創造性とコンテンツの保護
越境ECにおける商品画像、商品詳細ページの文案、取扱説明書、ブランドストーリー、店舗デザインで使用される宣伝動画や画像等は、すべて著作権の対象です。企業はこうした創作コンテンツについて著作権登録を行い、競合他社による無断転用を防止するとともに、万一の紛争に備えた有力な証拠として活用すべきです。

3、海外における知的財産権の展開を強化する意義
孔子は「工欲善其事、必先利其器(事を成すには、まず道具を整える必要がある)」と説いています。越境ECにおける知的財産の戦場では、海外での綿密かつ堅実な専利展開こそが、企業にとって最も有用な「先行投資」となります。これは権利保護の最初の防衛線を築くと同時に、その後の監視、プラットフォームへの苦情対応、法執行、訴訟といった一連の積極的権利行使行動に対し、揺るぎない権利基盤と戦略的支点を提供するものです。

国際市場での本格的な展開と成長を目指す越境EC企業にとって、もはや価格競争力や運営ノウハウだけに依存することは限界です。目標市場において、事前に緻密な知的財産権保護ネットワークを構築し、強固な知的財産権の壁を構築することによって初めて、中国企業は激化するグローバル競争において真の主導権を握ることができます。それにより、確かな歩みを続けながら、自らのイノベーションの成果とビジネスの未来を守り、単なる「製品の輸出」から、真の「ブランドとしての海外進出」へと飛躍することができるのです。

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