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ログイン2006年6月7日
<投資環境>
労務管理編 今回は、現地の従業員を採用するにあたっての雇用契約上のリスクマネジメントとして就業規則について詳しく見てみたいと思います。
日本の労働法では、労働契約と就業規則の関係は就業規則の方が上位と位置づけられていますが、中国でその関係は明らかになっていません。したがって、就業規則は中国の労働法上、明確な根拠規定を持っているわけではありませんが、労働契約の中に「詳細は就業規則に規定する」と明記して、労働契約の一部として機能させることが重要です。
実際に中国国内企業にはどの会社にも就業規則はあり、改定時には董事会で改定の意思決定を行い、それを受けて総経理が日常的な運営を行っています。
以下、就業規則の代表的な章立てと内容を見たいと思います。
(1) 総則・・・適用範囲、規則の遵守、法令順守、制定改廃など (2) 採用・・・採用、試用期間、提出書類など (3) 勤務・・・就業時間、休憩時間、休日出勤、時間外勤務、配置転換・出向、年次有給休暇、業務上疾病休暇など (4) 服務規程・・・服務心得、秘密保持、就業禁止、私用外出・面会・電話など (5) 賃金・・・賃金、休暇中の賃金、退職時の経済保証金・医療補助金 (6) 安全衛生・・・安全衛生、災害予防、安全衛生規則 (7) 教育・・・教育訓練、教育訓練費用の弁済 (8) 災害補償・・・災害補償等 (9) 退職・・・退職、定年、予告を要する解雇、予告を要しない解雇、解雇事由となる規則違反、整理解雇、解雇制限、従業員からの労働契約の解除など (10) 賞罰・・・表彰、制裁の種類・規模、訓戒、減給、出勤停止、論旨解雇、制裁解雇など
就業規則の作成上の注意点は、地域性の考慮とで実際性です。 中国は広大なために、従業員の管理には、地域性の理解が必要で、就業規則にも地域性などがを考慮しないと実情に合わなくなります。日本の本社の就業規則をそのまま訳すということをする企業の方もいますが、これは避けるべきでしょう。現地の中国人労務管理者、地元政府の管理部門、日系企業からのヒアリングなどを通じて、実情にあったものをつくる必要があります。
特に、従業員の解雇については、地域性も考慮して細則を就業規則に明記しておく必要があります。労働法上、解雇できないケース(職業病、治療中、妊娠、出産、授乳期、兵役など)を除き、予告を要する解雇(30日前に書面での通知)、予告を要しない解雇、整理解雇の3つのケースの分けて各条件を地域性を考慮して、明記しておく必要があります。
尚、実際の解雇にあたっては、「解雇権乱用」の指摘を受けないように、書面による注意勧告を日ごろから徹底し、その書面を基に「工会」などと連絡を密にしたうえで、実施を行う慎重さを持ったほうが良いでしょう。解雇した元従業員から「解雇権乱用」で訴えられるケースが最近では増えてきています。
さて、今まで中国労務管理について一般的な注意事項について会社側の観点から労務管理を見てきました。今回は中国学生の就職先人気度から学生サイドに立った日系企業の労務管理のあり方を考えてみたいと思います。 大学の新卒採用業務代行の中国最大手の中華英才網が昨年7月21日に行った2005年の学生の企業人気度調査によると、大学生の希望就職先上位50位以内で日系企業として入っているのは、前年同様ソニー22位(前年26位、前前年17位)と松下42位(前年46位、前前年32位)の2社だけで、トヨタは50位以下となっています。 一方、1位は前年に続きハイアールで、2位IBM、3位P&Gの欧米系が、8位にLG電子、11位にサムスンと韓国系企業が上位を占めています。 今回の調査項目は、報酬、ブランド力、企業文化の3点を中心に調査を行っています。報酬面では、給与以外に、長期的観点から見た教育訓練の機会の有無、戸籍問題、住宅問題、労働時間のフレックス制度などが重視されています。ブランド力では、業界内の企業影響力の有無、製品開発力と発展性、社長の個性なども重視され、その印象はマスコミなどの企業イメージ広告や大学におけるスポンサー活動などが影響を与えているようです。また、昨年までとの大きな違いは、企業文化、国際的な事業活動の有無、良好な労使関係などを学生が重視するようになってきており、就職を考える場合の中国人学生の意識の変化を垣間見る事が出来ます。 では、日系企業は何故人気が無いのでしょうか?我々が行った中国人の労働者意識調査で出てくる理由としては、 ユーザー登録がお済みの方ユーザー登録がお済みでない方有料記事閲覧および中国重要規定データベースのご利用は、ユーザー登録後にお手続きいただけます。 最近のレポート
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