<金融・貿易>
大連に大窑湾保税港区、深セン塩田港も保税港区申請へ
藤田 康介
2006年10月11日、大連市は国務院により、大窑湾に保税港区が批准されたことを正式に宣言した。2005年12月に上海で洋山保税港区が中国ではじめて設置され以来、3箇所目となる。
90年代から始められた保税制度とは、税関の批准によって、輸入貨物に対しては税金を一時的にかけないで、課税させる権限は残しておいたまま、貨物の管理が行われる制度だ。その後、これをもとにして、保税港区の概念が生まれた。これは「特区の中の特区」とも言われる。保税港区には、港とそれに付帯する陸地の部分が含まれ、国際自由貿易の慣例に従って、保税区・輸出加工区・保税物流園区の3つのエリアを一箇所にまとめたものである。中国国内においてはもっとも政治的・制度的に優遇が受けられる特殊管理エリアともいわれ、中国の対外開放政策のモデルとなっている。
2005年に中国で初めての保税港区となる、上海の洋山保税港区が共用を開始して以来、そのコンテナ取扱量は順調に増えている。洋山保税港区の2006年度のコンテナ取扱量は2000万TEU(Twenty Foot Equivalent Unit)を突破するとみられ、シンガポール、香港に続く世界第3位の地位を確実なものとした。
そして、2006年に入って、天津東疆保税港区が国務院の批准を受けた。面積は約10平方キロメートルで、中国で最大の面積を誇る保税港区だ。また、同時に天津に濱海新区が設定され、深セン経済特区、浦東新区につぐあたらしい行政区ができた。
◎ 大連に大窑湾保税港区が批准される
今度は大連に大窑湾保税港区が批准された。中国で3箇所目の保税港区だ。面積は6.88平方キロメートルで、大連保税物流園・大窑湾保税区・さらにコンテナ港や自動車港なども含む。港・物流・河口・展示の4つの機能をもち、港岸作業・積み替え・国際配送・国際購買・転口貿易・輸出加工・展示など7つの業務を行う。
大連市の夏徳仁市長のコメントによれば、大連大窑湾保税区の発展が、中国東北部の産業発展に大きく寄与することが期待されていることが分かる。長江デルタエリアや珠デルタエリアと比較すると、伝統的な東北エリアの工業の発展の遅れが指摘されていたが、これで渤海をはさんで、大連と天津の2つの保税港区が中国北部に存在することになる。
現在の状況では、コンテナ取扱量はまだまだ上海に及ばない。しかし、今後は東北・華北および内陸エリアの貨物を一気に引き受けることとなり、コンテナ取扱量においても、上海に引けをとらない規模になる可能性は十分にある。
名称 |
批准時期 |
面積(平方キロ) |
上海洋山保税港区 |
2005年12月 |
8.14 |
大連大窑湾保税港区 |
2006年10月 |
6.88 |
天津東疆保税港区 |
2006年10月 |
10 |
(東方早報より抜粋)
◎ 深センも塩田を保税港区申請へ
2006年11月に入って、深セン市政府は、広東省と政府中央に対して、塩田区を保税港区にするように申請を出した。申請が許可されれば、中国で4箇所目の保税港区となる。深センが申請している保税港区の範囲は、東は塩田港から西は蛇口、赤湾、媽湾港に至るエリアで、その中心部は塩田港となる。
その背景には、深セン市で取り扱われる貨物量の急増が挙げられる。2005年度の深セン市の貨物取り扱量は1620万TEUで、さらに第十一5か年計画の中で順調に行けば2010年までに2600万TEUに達するものと予想されている。
専門家の間では、もし深センに保税港区が設立されれば、香港で扱っている貨物の15%前後は深センに流れるものと見られており、その数は450万TEUになる見込みだ。となると、2010年の深セン港の貨物取り扱量は3000万TEUを超え、現在の香港に匹敵する貨物量となる。(以上)
(06年11月記・1,548字)
上海エクスプローラー
中国ビジネス解説編集委員