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中国東北エリアに新しい経済区を作る計画

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2007年8月23日

記事概要

 中国国務院が批准した『東北地区振興規劃』が8月20日に公布された。経済区として地位を確立した珠江デルタエリア・長江デルタエリア・京津冀エリアに次ぐ4つめの経済区として、中国政府中央が力をいれることが明白になった。また、本計画では大連商品交易所を中心に、先物取引を発展させ、アジアで存在感ある先物交易センターに成長させたいとしている。

●10年以上の長期スパンで

 

 中国東方エリアというと、もともとは中国の伝統的な重工業の発展エリアでもあった。ところが、華東や華南エリアの発展に伴い、昨今では存在感が低くなってきた印象が否めない。今回の『東北地区振興規劃』でも、今後10年~15年の期間をへて、東北エリアの産業構造を変革させ、これまでの資源枯渇型の工業発展から都市経済型の模式に換えていきたいとしている。環境問題に対しても、積極的に取り組んで行きたいと明記された。また、今回の規劃構想のなかに、1.国際競争力のある製造業基地、2.中国が推し進める新材料・エネルギー開発保障基地、3.中国の重要な食糧・牧畜生産基地、4.中国の重要な技術開発基地、5.自然環境の保全保障区、といった戦略目標を打ち出している。

 

●ロシア・内蒙古との関係強化

 

 東北地区振興計画のなかで、興味深いのは中国東北エリアと隣接しているロシアと内蒙古エリアとの関係強化だ。このなかで、特に最近急速に力を付けているロシア極東地区との関係強化で、東北エリアが戦略的な意味をもつ。すでに、上海合作会議でのプーチン大統領と胡錦涛国家主席との首脳会談で、東北工業基地の復興とロシア極東地区との関係強化に力を入れることを確認している。

 さらに、今回の計画のなかには、東北エリアの概念のなかに、遼寧省・吉林省・黒竜江省以外にも内蒙古自治区の呼倫貝尓市・興安盟・通遼市・赤峰市・錫林郭勒盟が含まれ、面積は145万平方キロメートル、人口は日本の人口に匹敵する1.2億人規模となる。これら内モンゴル自治区の東部は、かねてから中国東方区エリアと経済的な関係が強く、今回の計画のなかにも取り込まれた。東北エリアの経済区が北進するために最前線基地として、また東北地区の環境保全ラインとして、内蒙古自治区東部の存在感が増す。

 

●天然ガスのネットワーク

 

 東北地区振興計画で、重要なエネルギー供給元となるのが天然ガスだ。今回の計画の中にも、東北エリア全域での電力ネットワークと天然ガスネットワークの構築に力を入れる。また、大慶油田の継続的な発展を目指して、最近新たに発見された大慶油田の深部天然ガス開発が行われ、年間100億立方メートルの産出を目指す。エネルギー資源が中国の中でも豊かなエリアだけに、今後の開発に大きな期待がかかっている。

 

●省が県を直接管轄するしくみ

 

 中国では一般的に、省・市・県・郷・鎮の、いわゆる「5級行政区劃制度」を採用している。これは、国際的にみても多すぎるため、とくに行政コストの肥大が問題視されていて、地方都市では簡素化を求める声が大きい。そこで、全国に先駆けて導入されることになったのが、省が県を直接管轄する「省直管県」制度だ。現在、まだ全国的に推進するところまでには達していないが、部分的には試行されている。これを今回の『東北地区振興規劃』の中に取り入れられており、注目されている。

 折しも、国務院の温家宝総理も2006年に行われた全国農村総合改革工作会議で、「省が県を管轄する財政体制」、「郷の財政は市が管轄して郷が使う」というような新しい財政管理方式を打ち出し、中国の地方行政の中では、画期的な改革として注目されている。

 

 『東北地区振興規劃』が出されたことで、今後中国東北エリアの開発がさらに進むものとみられ、企業の誘致・投資も盛んになることは確実だ。(2007年8月記・1,592字)

参考文献:『羊城晩報』2007年8月21日、『東方早報』2007年8月21日

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