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ログイン2011年5月17日
販売先に値上げ情報を流すだけでは通常違法にはなりませんが、「情報の流布により市場価格の秩序をかく乱させた場合」、処罰の対象となります。本稿は、多国籍企業ユニリーバに対する200万人民元の処罰事件を取り上げ、日本企業に中国の価格法に関する留意点を喚起したいと思います。【1,533字】
Q.
当社は、販売先に対して、来月から値上げをするとの情報を流してはいけないでしょうか?どのような状況になれば、中国の価格法に違反し処罰の対象になるのでしょうか。
A.
ユニリーバへの処罰事件
2011年5月6日、国家発展改革委員会は、ユニリーバ(中国)(中国名:聯合利華(中国)有限公司)が「値上げの情報を流布し、市場価格の秩序をかく乱させた」として、上海市物価局が200万人民元の過料を科す行政処罰を下したことを明らかにした。これは、値上げの情報を流布したことにより市価の秩序を混乱させた行為に政府の主管部門が初めて下した高額の処罰となった。
国家発展改革委員会の担当者によると、ユニリーバは今年の3月に、複数の大型スーパーに対してユニリーバの一部の洗剤類用品について4月1日から値上げすることを発表し、ユニリーバのスポークスマンもまた、3月21日から多くのメディアに対して、「洗剤類用品業界は値上げの時期に入った」、「今後、更なる値上げの可能性も排除できない」などと発言した。
洗剤類用品の値上げ情報を広範囲にわたって広めたこれらユニリーバの行為が、複数の都市では消費者による洗剤類用品の買占め行為を発生させ、一部の都市ではユニリーバ製品の販売価格が通常の数倍から数十倍に上がったなど、市場秩序に重大な混乱を招き、「値上げ情報の流布により、市場価格の秩序をかく乱させる」価格違法行為に該当すると判断された。
行政指導が行われた後、ユニリーバは値上げ調整の中断を発表したうえ、消費者に対してお詫びを行い、自らの違法行為による損失の軽減に努めたが、上海市物価局は関連規定に基づきユニリーバ(中国)に200万人民元の罰金を科す行政処罰を下した。
値上げ情報の流布とは
中国の「価格法」14条によると、経営者は値上げ情報の捏造・流布、価格のつり上げ、販売促進商品価格の過剰な引き上げ行為を行ってはなりません。また、「価格違法行為行政処罰規定」6条によれば、経営者が価格法14条の規定に違反し、値上げ情報の捏造・流布を行い市場価格の秩序をかく乱させた場合、政府価格主管部門は、是正を命じ、違法所得を没収し、違法所得の5倍以下の過料を命じることができます。また、違法所得がない場合には、5万元以上50万元以下の過料を、情状が比較的に重大である場合には50万元以上300万元以下の過料を命じられ、情状が重大である場合、営業停止、是正命令または工商行政管理機関により営業許可証を取り上げられる、となっています。
教訓
今回、政府価格主管部門がユニリーバの値上げ情報の流布につき、市場の秩序を乱す行為として厳しい処罰を行った目的は、物価の安定ひいては社会的安定にありますが、同時に、すべての経営者、とくに市場シェアが比較的大きい大企業に対して、「価格法」、「独占禁止法」、「価格違法行為行政処罰規定」、「価格独占禁止規定」などの法律規定の遵守を徹底させ、市場支配の地位を乱用した値上げ情報の捏造、流布行為の防止を教訓としてくみ取らせる狙いがあろうと思われます。要するに、単に値上げ情報を発表し市場の反応を試してみる目的であっても、いったん悪意があると認定され、かつ市場の秩序に重大な影響をもたらした結果があった場合、同じく処罰を受ける可能性があるため注意が必要です。
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