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韓弁護士の中国法務1問1答Vol.1中国における商業賄賂の認定基準

中国ビジネスレポート 法務
韓 晏元

韓 晏元

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2010年10月13日

記事概要

うっかりして中国の商業賄賂に該当したため処罰を受けないようにするには、中国の商業賄賂の認定基準、3つの構成要件を把握する必要があります。【1,133字】

Q.取引において相手企業の担当者に1円でも財物を与えると、これは商業賄賂に該当してしまうのでしょうか。中国の商業賄賂に該当しないようにするには、何に留意すべきでしょうか。

A.

1.商業賄賂の禁止

「中華人民共和国不正競争防止法」および「商業賄賂行為の禁止に関する暫定規定」等により商業賄賂が禁止されています。

2.商業賄賂の構成要件

上記諸規定から、商業賄賂に該当するには、以下の3つの構成要件が必要となります。

第一に、商業賄賂を行った主体は、経営活動を行う経営者であることです。

第二に、経営者は経営活動の中でその主観において、取引の機会を受け他との競争を排除する目的を持って、商業賄賂を行っているということです。実務では、贈賄行為は、すなわち主観的に取引の機会を受ける目的があると直ちに推定されることがほとんどで、仮に経営者側が商業賄賂に該当しないと弁護するには、自らがこのような目的を有していないということを立証しなければなず、このような立証は現実的に非常に困難です。

第三に、客観的に取引相手財物またはその他の手段を通じて贈賄した行為があることです。
ここにいう「財物」とは、現金と実物を含め、販売促進費、宣伝費、援助費、科学研究費、労務費、コンサルティングフィー、コミッション等の名義に見せかける、あるいはこれらの各種費用を精算する方法により、財物を支給することを指します。
上述の「その他の手段」とは、国内外の各種名義の旅行、視察等、財物以外のその他の利益を支給する手段のことを指します。
また上述の「取引相手」とは、直接的な取引相手(商品を購入してくれる人)に限定するのか、それとも直接的な取引相手と関連性のある人も含まれるのか、未だに議論のあるところですが、商業賄賂の認定機関である工商行政管理部門はこれを広く解釈し、直接的な取引相手だけでなく、取引行為に密接な関係を有するその他の人、商品販売に直接に影響有する人も、取引相手として認定しています。

3.商業賄賂に該当しないためには

商業賄賂の認定に当たり、財物の価値自体はそれほど重要視されていないことにも留意しておくべきです。つまり理論上では、不正に取引の機会を受けるための意思が存在すれば、たとえわずか1円の受け渡しですら商業賄賂に該当するとみなされることになります。もっとも、商業慣例に従い、不正に取引の機会を受けるための意思がなく取引相手に小額の広告用景品を与えることは、商業賄賂に該当しないとみなされます。

(1,133字)

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